絵本を選ぶために大切なこと
保育士科では、絵本を分析しその性質や特徴を知る授業、そして実際に読み聞かせを行い、技術を磨く授業があります。保育士科の1年生は、入学して間もなく、「保育内容演習」の授業で絵本の選び方、読み方を勉強しました。絵本は読むだけではなく、選びかたも大切。適した絵本を選ぶには、まずは子どもの発達を理解することが重要です。
こちらの記事では、0歳、3歳、5歳の子どもの発達段階と、年齢別おすすめ絵本をご紹介します。子どもが受け取りやすく心から楽しめる絵本、そして更に子どもの世界が広がる絵本を、心をこめて読んであげたいですね。
0歳
0歳はまだ視力が乏しく、視野も狭い時期です。一方で、聴く力は活発に働いていて、赤ちゃんの耳は敏感です。「絵本はまだ難しいかな?」と思われがちですが、絵本を通して言葉との出会いを楽しむのが0歳です!
おかあさんのお腹の中で最初に発達する感覚機能は「触覚」、2番目が「聴覚」です。あたらしい世界で刺激をたくさん受けている赤ちゃん。あたたかい膝の上で聞く優しい読み聞かせの声は、きっと赤ちゃんにとってほっとできるひとときです。
0歳児には、
・はっきりした色や大きくわかりやすい絵
・短く端的な文
・擬音や擬態語など、繰り返しのリズムが楽しい絵本
がおすすめです。
「だるまさんが」ブロンズ新社(かがくいひろし 作絵)
「おしくら・まんじゅう」ブロンズ新社(かがくいひろし 作絵)
「きんぎょがにげた」福音館書店(五味太郎 作絵)
3歳
生活面では、排泄や着脱など、自分の力ででできることが増えてきます。言葉が増え、お話が上手になります。「なんで?」「どうして?」と知りたいこといっぱい、挑戦したいこともいっぱい、自信に満ちた笑顔が眩しい3歳です!。
その一方で、まだまだ唯我独尊、自己中心性が強い発達段階。思うようにいかないとき、涙が溢れることもしばしば。でもそれも大事な成長過程として認めてあげたいですね。
3歳児は、
・繰り返しのテンポが良い絵本
・身近な生活や遊びなどが題材の絵本
・絵と文が溶け合った物語
が特におすすめです。
「ぐりとぐら」福音館書店(中川李枝子 作・大村百合子 絵 )
「みんなうんち」福音館書店(五味太郎 作絵)
「てぶくろ」福音館書店(ウクライナ民謡:エウゲーニー・・ラチョフ 絵 ・うちだ りさこ 訳)
5歳
耳で聞いて言葉を理解する力が目覚ましく伸びます。言い換えると、言い回しの面白さ、言葉の深み味わえる年齢になった、ということです。
目に見えない「気持ち」や「決まり」について気付き、理解できるようになってきます。物語を通して登場人物の気持ちや、さまざまな世界観に触れ、たくさんの刺激、感動を味わってほしい、就学前の大切な時期です。登場人物に自分を重ねて楽しめる物語、子どもたちの心に響くストーリーを、丁寧に読み聞かせてあげたい、5歳児です。「続きはまた明日」ができるようにもなるので、少し長い物語をじっくり楽しむのも良いですね。5歳児は
・情緒を育む絵本
・様々な事象に関心を持ち、興味が広がる絵本
・想像力を育む詩
がおすすめです。
「いやいやえん」(福音館書店)(中川李枝子 作・大村百合子 絵)
「へいわとせんそう」(ブロンズ新社)(谷川俊太郎 文・noritake 絵)
「はじめてのおつかい」(福音館書店)(筒井頼子 文・林明子 絵)
最後に…
子どもが「これ読んで」と持ってくる絵本は、実際の年齢に対応していないものや、擦り切れるほど読んだものの場合もありますが、
「もう5歳なのに赤ちゃん絵本なんてかっこわるい」
「もう何度も読んだから覚えているでしょ」
なんて言わずに、ぜひ読んであげてくださいね。
絵本の内容以上に、大好きな人の声のぬくもりと、絵本を読んでもらう心地よい時間がなにより嬉しいのが子どもです。
また、ご紹介させていただいた絵本と対象年齢はあくまでも目安です。実際に保育現場で読み聞かせ用の絵本を選ぶときには、目の前にいる子どもたちの興味関心やこれまで培ってきた聞く力をよく理解して選べると良いですね。
本校の保育士科では、現場での実践力を育むための、演習形式(実践形式の参加型授業)の授業が多くあります。
机上の学習だけではなく、実際に声を出して絵本を読んだり、歌ったり…保育の現場に近い環境で学びたいという方、ぜひ本校の保育士科で一緒に勉強しましょう♫毎週末のオープンキャンパスでは、保育の楽しい体験授業(絵本の授業もありますよ!)を準備してお待ちしています。ぜひ遊びにきてください!