介護福祉⼠の資格と実務者研修について

「介護に資格は必要?」
心の片隅に、このような気持ちがありませんか?
こちらの記事では、介護福祉士の資格、そして実務者研修についてご説明します。

【INDEX】
■資格がなくても働ける福祉現場の現実
■介護の現場で資格がなくても大丈夫なのか
■介護の資格の種類
■実務者研修について
■実務者研修の時間が短くていいのか?
■これからの介護の必要性について
■介護職の確保について
■未来の仕事

****************この記事を書いた人****************
介護福祉士 田村 先生

【資格】
介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員/高校教諭(福祉) 所持
 

【経歴】
祖父が入院・入所した経験から福祉・医療に興味を持ち、高校・大学で福祉を学ぶ。一時期、社会福祉士としての就業を目指すが、大学時代に介護福祉士としてアルバイトをしたことがきっかけで、介護の現場で就職。延べ11年間現場業務を行う。父が余命3ヶ月を受け、在宅看取りを行う。看取りをした後、今までの介護を振り返る中で、以前から、介護現場の育成に興味があり、講師業を経て専門学校の専任教員となる

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■資格がなくても働ける福祉現場の現実


「ー資格がなくても、働けるし」という気持ちはありませんか?
確かに、資格がなくても働けます。 

 資格がなくても働けますが、 何もわからないまま、現場に飛び込むことになります。
 仕事の初日から、目の前の高齢者や障がいを持っている方等(以下、利用者)は、サービス提供者だと思い話しかけてきます。 

「誰とでも話せます。笑顔でいられます」
とても素晴らしい長所だと思います。 

しかし、利用者さんが求めていることを叶えることは、それだけではありません。
利用者さんはプロの介護職だと思い話しかけてきます。

知識も資格もないままでは、 何のアイテムも持たないまま、冒険に出ているのと同じです。 

■介護の現場で資格がなくても大丈夫なのか

 少しでも現場での仕事において、不安があるなら、誰かの役に立ちたいと考えているなら資格を取得して活かした方がオススメです。 

 「資格がなくても、初心者でも大丈夫です。」 と、昨今うたっている求人が多いです。
大丈夫かもしれませんが、仕事ができるかは、分かりません。 

知識や心構えというアイテムを持たずに、現場という冒険に出ているので、アクシデントが起こった時に何も出すことができない(対処できない)からです。 

 資格講義を受講したことはありますか?その講義講師は現場経験が必要となっています。
そのため、現場での話やリアルな利用者様の様子などを聞きながら知識をつけることができます。 

仕事に着く前に、資格を取得することで仕事における事前のシミュレーションをすることができます。
資格だけでなく、誰かの経験があなたの擬似的な経験に繋がりアイテムとなります。 

■介護の資格の種類



介護の資格は 、下記の4つが基本です。

・初任者研修
・実務者研修
・介護福祉士(国家資格)
・認定介護福祉士

 国家資格を持っていることは、信頼や自信、アイテム的にも強いと思います。
今回は、実務者研修についてお伝えします。 

 ■実務者研修について

実務者研修とは、介護福祉士の国家試験を受けるために必要な実務者ルートになります。
養成校等に行かずに介護の仕事を始めて、国家試験を受験する場合、 3年の実務就業をし、加えて実務者研修を受け国家試験を受験できるという流れになります。 


引用元:第4回福祉人材確保対策検討会(H26.7.25)参考資料2

実務者研修では介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準の獲得が到達目標となっています。


引用元:
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf

 以下、厚労省の説明です。 

実務者研修:6ヶ月・450時間以上
介護実習:なし 

(1)目的 

① 1,800時間課程のうち、実務経験のみでは修得できない知識・技術を中心に構成。
② 原則として、科目をⅠ・Ⅱに分割。既存研修による科目単位での修了認定を認める。

Ⅰ:基本的事項(就業初期の段階で受講することが望ましい事項)

Ⅱ:応用的事項(知識・技術の効果的な定着・向上を促す観点から、一定の実務を経た後に受講する
 ことが望ましい事項)
③ 多様な教育主体によって教育が担われる(科目単位での修了認定を認める)ことから、教育水準を 担保するため「到達目標」を規定し、基準化。 

(2)面接授業について 

① 面接授業の時間数は、最低限「45時間(:ケーススタディ(応用的な事例を用いて実践力を養成する)、介護技術の評価、通信教育等で修得した知識の修得度確認)+α(:医療的ケアのうち演習)」。
② 他の学校・養成施設、介護実習Ⅱを行う施設・事業所に実施させることが可能。 

(3)通信課程での評価 

○ 科目ごとにレポート(課題)を提出し、添削指導、評価 

■実務者研修の時間が短くていいのか?


実務者研修の時間が短くていいなと思いますか?
介護の仕事をしていると「介護福祉士の受験を!」と話が出ることになるのが大方でしょう。介護福祉士の資格を取得するには、年に1度の国家試験を受験しなければなりません。資格を取得しないまま働いた方を選択したとしても、現場では国家試験受験に向けて資格取得の学びが始まり、働きながら、実務者研修の受講となります。そして、更に国家試験の学習をするという流れになります。働きながらの講義や受験勉強は、かなり骨が折れることになるでしょう。
 

 「じゃぁ資格はいいや」 と思いますか? 

冒頭で出た通り、資格の有無で大方の仕事が制約されることはありません。
ですが、同じ仕事をしていても、介護福祉士と介護士では、給料に差があります 

あなたは、一生懸命働いているのに、給与に差が出るのは損をしている気がしませんか?
 給与のことも気になるかと思いますが、 給与が高い事業所ほど、介護福祉士取得が求められます。 

事業所としては、介護福祉士が多ければ多いほど、プロフェッショナルな施設として、加算が徴収することができます。また、加算だけではなく、実習受け入れ施設としても名をあげることができます。 

《参考資料はこちら》

 ■これからの介護の必要性について

男の平均寿命は 81.05年、女の平均寿命は87.09年(厚生労働省は2023年7月28日、2022年分の平均寿命と平均余命が記載された令和4年簡易生命表を発表)と、日本の女性は世界第1位の長寿国となりました。食事も医療も安定している国だということでしょう。 

では「どんどん人が増えるばかりだ!?」というと、そうではありません。 

日本の人口は、 「我が国の総人口は2005年に戦後初めて前年を下回った後、2008年にピークとなり、 2011年以降、11年連続で減少している。 2021年は64万4千人の減少となり、減少幅 は比較可能な1950年以降過去最大となった。
(引用:2021年 総務省統計局)」
 

ということで、日本の人口は減り続けています。 

 寿命は伸びているのに、人口は減っているなぜでしょう?
合計特殊出生率というものが、あります。 

これは、1 人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当します(厚労省)。人口を維持するためには、おおむね2.07を保つ必要があるとされています。現在、日本合計特殊出生率は1.26で過去最低 令和4年人口動態統計(2023年9月15日)と生まれている子どもの数が減っています。 

 現在の日本は、 子どもは少ないけど、長生きできる国となっています。 

 そのような日本は、高齢率が 2023年は29.1%と過去最高を更新しています(引用:2023年 総務省統計局)。先進国では第1位の割合です。男性は、4人に1人が高齢者という割合になります。 

 ■介護職の確保について

 高齢になるということはどういうことか、考えたことがありますか?
 ネガティブなイメージになっていませんか? 

これは、日本特有のイメージなのかもしれません。福祉の制度が安定・充実している先進国では、歳を重ねることを楽しみにしている国もあります。社会全体で福祉を支える体制ができているからこそ、安心して歳を重ねることができているのかもしれません。日本はどうでしょうか? 

 高齢化が進み、若者が少なくなっている中で介護人材は、 

・2023年度には約233万人(+約22万人(5.5万人/年))
・2025年度には約243万人(+約32万人(5.3万人/年))
・2040年度には約280万人(+約69万人(3.3万人/年))
※()内は2019年度(211万人)比
 

の介護職員を確保する必要があると推計されています。
(引用:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について 厚労省) 

 厚生労働省が、介護職員の不足数について2023年度に約22万人、2025年度に約32万人、2040年度に約69万人が不足すると試算しています。 

 ■未来の仕事


未来の社会は49%がAIに仕事が変わると言われています。

介護業界も 今、介護ロボットやAIが発達していますが、人の温もりや、優しさは、何にも変えられません。 

無くならない仕事の一つだと思います。
ただ、更にプロフェッショナルしか残っていかない仕事になる可能性はあります。 

もっと言うと、 実務者研修のように6ヶ月、450時間以上の講義では、対人援助技術を身につけるには短い時間だとも言えると思います。 

 対人援助をするためには、介護の知識を詰め込むだけではなく、 モチベーションや自己コントールなどのメンタル面、人との関わり方等の自分を知り相手を知る方法や、持続力をつけるための自己発見力など幅広い知識が必要になります。 

 これは、現場とは離れて、基礎力をつけ、自分を見つめる機会を培うことが必要だと思います。 

私は、学んで現場に出ました。
初めは理想と現実との葛藤がありました。しかし、学校で学んだ時の気持ちや技術の基礎を振り返ることが11年も現場にいられた力になっていると強く感じています

このコラムを選んだあなたこそ 資格取得に適していると思いますよ。 

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