福祉に興味のある人は多くいると思います。
自分の周囲に障がいのある人がいたり、お年寄りがいたり、最近はコロナ禍や災害などの経験からも、福祉の仕事をしてみたいと思う方がいるでしょう。
福祉の分野で働くといっても、どのような職種があるのか、またどのような仕事内容なのかを詳しく知る機会は少ないかもしれません。
福祉の専門職である社会福祉士とはどのような資格なのでしょうか?またどのような仕事内容なのでしょうか?
今回は、社会福祉士になるための流れとして、社会福祉士の受験資格や、国家試験の内容について紹介したいと思います。
【目次】
1 社会福祉士とは
2 社会福祉士の仕事内容
3 社会福祉士の受験資格
4 社会福祉士の国家試験について
5 さいごに
1 社会福祉士とは
社会福祉の分野で働く専門職はいろいろあります。社会福祉の分野の国家資格では「社会福祉士」や「介護福祉士」が挙げられます。では、社会福祉士と介護福祉士の違いは何でしょう?
社会福祉士は福祉の分野での「相談援助」のスペシャリストです。一方、介護福祉士は「身体介護(ケア)」のスペシャリストです。同じ福祉職でも援助のしかたが違いますね。
では、社会福祉士の「相談援助」とはどのような援助をするのでしょうか?
相談援助とは、ソーシャルワークとも呼ばれ、金銭的、身体的、物理的、精神的に困っている人の相談にのり、様々な機関と連携をとり解決に導く仕事です。そのような仕事をする人をソーシャルワーカーといいます。ソーシャルワーカーが働く場所は、病院、高齢者施設、障害者施設、児童施設、行政、社会福祉協議会、教育委員会など多岐にわたり、それぞれの場所の相談窓口となる役割を担っています。
では、社会福祉士は、どのような仕事をするのでしょうか?
2 社会福祉士の仕事内容
『相談にのる』といっても、その相談内容はさまざまです。「金銭的に困っている」「福祉サービスを利用したい」「困りごとがあるがどこに相談していいかわからない」など、どのような相談にも対応できる知識が必要となります。対象者は、病院であれば患者さんですし、高齢者施設や障害者施設であれば利用者さんですし、地域支援であれば地域住民の方々です。また、相談にのるだけではなく、その問題解決のために、さまざまな専門職や機関との連絡・調整などもおこないます。
私は10数年医療ソーシャルワーカーをしていたのですが、実際に「入院費が払えない」「介護保険サービスを使いたいけど利用の仕方わからない」「(病気やケガで)今まで通りに仕事ができない」などの相談を受けて、サービスの提案や調整、行政や福祉サービス事業者と連携していました。
相談援助の場所も相談内容も多岐にわたるため、社会福祉士の資格を取得するには、受験資格と、多様な科目で構成される国家試験に合格するための勉強が必要となります。
3 社会福祉士の受験資格
社会福祉士の国家試験は誰でもすぐに受けられるわけではありません。受験するためのルートとしていくつかご紹介します。
- 福祉系の4年制大学を卒業する
- 一般の4年制を卒業後、社会福祉士養成施設(学校)に1年間通う
- 相談職を4年間以上経験し、社会福祉士養成施設(学校)に1年間通う
社会福祉士の養成施設には通学制や通信制があります。
また、そのほかにも受験資格が得られるルートがあるので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのホームページでご確認ください。
最近は、福祉の仕事を経験したことがない社会人でも社会福祉士受験資格を取得して、国家試験を受ける方が多くいます。
では、社会福祉士の国家試験はどのように行われるのでしょうか?
4 社会福祉士の国家試験について
社会福祉士の国家試験は年に一回、毎年2月に行われています。今回の国家試験は36回目となり、令和6年2月4日(日)に行われます。
今回の試験科目は、①人体の構造と機能及び疾病、 ②心理学理論と心理的支援、 ③社会理論と社会システム、 ④現代社会と福祉、 ⑤地域福祉の理論と方法、 ⑥福祉行財政と福祉計画、 ⑦社会保障、 ⑧障害者に対する支援と障害者自立支援制度、 ⑨低所得者に対する支援と生活保護制度、 ⑩保健医療サービス、 ⑪権利擁護と成年後見制度、 ⑫社会調査の基礎、 ⑬相談援助の基盤と専門職、 ⑭相談援助の理論と方法、 ⑮福祉サービスの組織と経営、 ⑯高齢者に対する支援と介護保険制度、 ⑰児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度、 ⑱就労支援サービス、 ⑲更生保護制度 です。
ここで、大変重要なことがあります!
知っている方も多くいるかと思いますが、近年、社会福祉士が社会的に重要な役割を担っていることから、社会福祉士のカリキュラムが大幅に改正され、第37回国家試験からは新カリキュラムでの試験となります。
令和7年2月に行われる第37回国家試験の新カリキュラムでの科目は、①医学概論、②心理学と心理的支援、③社会学と社会システム、④社会福祉の原理と政策、⑤社会福祉調査の基礎、⑥地域福祉と包括的支援体制、⑦社会保障、⑧障害者福祉、⑨権利擁護を支える法制度、⑩刑事司法と福祉、⑪ソーシャルワークの基盤と専門職、⑫ソーシャルワークの理論と方法(共通)、⑬福祉サービスの組織と経営、⑭高齢者福祉、⑮貧困に対する支援、⑯保健医療と福祉、⑰ソーシャルワークの理論と方法(専門)です。
第37回の国家試験からは、全問題数や、科目ごとの問題数も変わるようです。
第37回以降に受験する方は、令和6年4月以降から公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのホームページを都度チェックしておくといいでしょう。
国家試験の申込みに必要な「受験の手引き」は、毎年7月下旬~8月上旬に請求方法が発表されます。また、国家試験の申込みも毎年9月中旬~10月上旬となっていますので、忘れずに確認しましょう。
5 さいごに
社会福祉士は、福祉分野の国家資格であり、相談援助(ソーシャルワーク)のスペシャリストです。
資格を取得するためには、国家試験に合格しなければなりません。しかし、社会福祉士の資格があれば、様々な分野で活躍することができます。
埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校の社会福祉士養成科は、社会福祉士の一般養成施設です。一般の4年制大学等を卒業した方が、一年間オンラインを併用の通学をして資格取得を目指します。
卒業生・在校生の約70%が福祉未経験者で年齢も20代~60代と幅広いです。
******************入学前の状況****************************
事務職、営業職、パート、アルバイト、大学生、大学院生、
主婦、派遣社員、介護職など
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福祉に興味のある方は、国家資格を取得する第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。