施設実習巡回レポート-現場で学んだ福祉マインド-

夏に考えさせられること

24時間テレビや、4年に1度のパラリンピックなどを通して、障害福祉や支援事業が注目される機会は、夏であることが多いと感じています。

相模原障害者施設殺傷事件(2016年7月26日)を思い返し、障害とは、人とは、人権とは…と、毎年必ず立ち止まり考えさせられるのも7月の終わり-いよいよ酷暑のこの時期です。

保育士科の授業では「障害者基本法」から始まり、「障害者差別解消法」、そして「障害者総合支援法」を学びました。特別な支援を必要とする人の生きやすい社会生活を支えるための法律ですが、いずれも理念には、全ての人は障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものと謳われています。

分け隔てない命の尊さに気付ける子どもは、どのように育つのでしょうか。人生で最も重要な時期と言われる幼児教育を担う、保育者の立場でできることはなんでしょうか?

あってはならないことがこの先も起きないように、保育士科の我々も、考え続けるべきこと、大切にする理念があるはずです。

保育士科2年生 施設実習巡回レポート

保育士科2年制課程では、児童福祉法を根拠とする保育士資格を取得する上で、福祉施設で2週間の実習が必須となります。施設実習を経験し、福祉施設の役割、機能を知り、保育士の立場でできることを考える視点を養います。

7月は2年生の施設実習の時期。今年も、それぞれが希望した福祉施設へ実習に出掛けていきました!

実習先は

  • 児童発達支援センター
  • 障害児入所施設(医療型・福祉型)
  • 就労継続支援事業所
  • 児童養護施設
  • 乳児院

など。保育所外の福祉施設で、保育士資格を活かした業務を経験します。

7月中旬、就労継続支援事業所(障害のある成人の方の作業所)で実習をしていた学生を訪ね、巡回訪問へ行きました。元気な顔を見て安心したことは勿論、なにより嬉しかったのは、「現場でしか得られない学びを得ています!」という学生たちの笑顔でした。

「こんなに素直に笑い合えることって、なかなかない。とにかく楽しいんです!重い知的障害がある成人の方と一緒に働くことは、難しそうだと不安でいっぱいでしたが…仲良くなれた7日目の今、利用者の方を「かわいい」と思う自分がいます。表現が他に見つからないのですがそう思います」

その学生が語る「かわいい」という言葉からは、決して卑下しているのではなく、「その人のことが好きになった」という思いが伝わってきました。

「私は子どもと関わる仕事がしたいと思って入学しましたが、つまり、人が好きだということがここに来てわかりました」

堂々と語るその言葉に、対人援助職の素質を感じます。

「する、される」ではなく「共に」

同じく就労継続支援事業所で実習をしていた違う学生からはこんな気付きがありました。

「障害者は支援してあげなくてはいけない存在だと、ずっと思っていました。なにか助けてあげることが仕事だと思っていたけれど、出会ってみると、できること、知っていること、経験してきたことは私が知らなかっただけでいっぱいありました。一緒に楽しく働いています。する、される、してあげる、してもらうという関係ではなく「一緒に働く」ために学んでいるんだとわかりました」

施設で学生たちが利用者の方々と笑顔を交わす場面を見ていると…「福祉」という言葉には「幸せに生きる仕組み」という意味が込められていることを、しみじみ感じます。

人を尊く思う気持ちがあるから「する、される」ではなく「共に生きよう」とする方法を探ることができる-福祉職は人の幸せをつくる仕事であることを学生から学ばされます。

学校で学ぶ保育士科の学生に、その福祉の理念-マインドが育っていることを感じ、嬉しく、誇らしく思った巡回の帰り道です。

今年の夏も、様々に考えさせられています。

本校は学校名こそ今年4月に改名し新しく生まれ変わったように見えますが、1996年に大宮の土地で開校してから30年近くの歴史を誇ります。歴史と共に、施設や関係機関との連携の幅は広がり、繋がりが続いています。そのため、幅広い福祉施設実習先候補があることも本学科の強みです。国家試験受験ではなく、通学し保育士資格を取得する場合は、現場実習が必須となります。実習について知りたい方はぜひ一度本校をお訪ねください。

この記事を書いた先生

  • 保育士科
  • 保育士科 夜間主コース

上條 友葉先生

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