社会人から言語聴覚士になるには やっぱり大変? ~在校生インタビュー~

■はじめに

「話す」「聞く」「食べる」を支えるリハビリ職、言語聴覚士。超高齢化社会を背景にニーズが高まるとともに、その認知度は少しずつですが上がってきています。

言語聴覚士になるには国家資格を取得しなければいけません。その受験資格を得るために、高校卒業者の場合は文部科学大臣や都道府県知事が指定する学校を、大学卒業者の場合は大学および大学院の専攻科または2年制の専修学校を卒業する必要があります。

本校の言語聴覚士科にはそのような学生のほか、一度社会人を経験してから入学した学生も多く学んでいます。

「言語聴覚士の勉強は大変らしい」
「言語聴覚士になるのは、やめといたほうがいい」

という噂もまだまだ飛び交うなか、彼らはなぜ言語聴覚士をめざし、本学に入学したのでしょうか。

今回は、社会人を経て入学した在校生2人にインタビューを実施。
リアルな想い、学生生活について話していただきました。

【エンタメ業界から福祉の世界へ!40代で入学を決意した佐藤さんの場合】

Q.入学前、どんな仕事をしていたのですか?

A.舞台の仕事です。全国各地で開催されるイベントで、歌をメインとしたパフォーマンスするという仕事に20年ほど携わっていました。

Q.言語聴覚士になろうと思ったきっかけは?

A.舞台の仕事でお世話になった方から、「高齢者デイサービス」でボイストレーニングをしてもらえないかというお話をいただいたのがきっかけです。
声が出しにくい状態の方々を対象として、楽しく歌いながら発声練習をするというトレーニング内容だったのですが、そこで生まれて初めて失語症の方に出逢いました。私の言うことは理解してくれるのですが、いざ発言しようとしても思うように言葉が出ないという状態で。例えば、「あ」と言いたくても、「い」と言ってしまうという感じです。そのことに大きな衝撃を受けました。
それまでは、今まで自分が積んできた経験、磨いてきたスキルを駆使して、支えられたらいいなという気持ちだったのですが、やはり専門知識が必要だと感じ、言語聴覚士という仕事をめざそうと決意しました。

Q.本校へ入学するまでの経緯を教えてください

A.私は高校卒業後、ダンスの専門学校に通っていたため、国家試験を受けるために必要な学びを全く身に付けていない状態でした。当時はすでに結婚して、子どもも設けていたため、昼間の学校には通えないと考え、夜間コースがあるところを探しました。
そのなかで見つけたのが本校でした。何回か学校見学に参加したのですが、学内の雰囲気がとても良かったことが印象に残りました。学生のみなさんが気持ちよく挨拶してくれましたし、先生方もとても親しみやすかったことを覚えています。
当時の私は45歳。年齢的に不安があるということを相談したら「うちなら大丈夫なので、ぜひ入学してください」と背中を押してもらえたので、入学することを決めました。
しかし、言語聴覚士科に入学するには大学卒業資格が必要だったため、まずは働きながら4年制の通信制大学に通うことにしました。大学では社会福祉に関することを学んでいました。必死になって社会福祉士の国家資格も取得し、「言語聴覚士ではなく、社会福祉士でもいいかな…」と迷った時期もあったのですが、「このタイミングを逃したら、二度と勉強しないかもしれない」と考えて、当初の計画通りに埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校へ入学しました。

Q.学校の雰囲気はどうですか?

A.言語聴覚士になる!という覚悟は決めたのですが、それでも入学前は「同じ学年の中でも、おそらく一番年上になるだろうな、大丈夫かな…」という不安は持っていました。
でも、入ってみるとみんないい人ばかりで、恵まれたなと感じています。クラスには、みんなで支えあう雰囲気があります。私は、20年ほどの舞台経験で鍛えられたメンタルの強さをいかして、みんなを励ますことが多いですね。
先生方はみんな「言語聴覚士」という仕事に誇りと熱意を持っていて、お話を伺うたびに「言語聴覚士になりたい!」という気持ちがどんどん大きくなっています。

Q.医療系の学びは大変でしたか?

A.1年次はとても大変でした。授業では初めて聞くような言葉ばかり出てきて、それを覚えなければいけません。スキマ時間を使うなどして、必死に勉強していました。
学びの領域が広いとは聞いていましたが、想像以上でした。「言語聴覚士は、失語症や嚥下などに対応する」というイメージは持っていたのですが、学ぶうちに小児領域との関わりが強いということも知りました。でも、「学ぶのが大変!」というよりは「これだけ活躍できる領域があるんだ!」という気持ちで、前向きに勉強に取り組めました。
昼はデイサービスで働いて、夜は学校に通う毎日。子育てや家事など、家庭のこともしなければいけず、大変なことも多かったです。一方で、学校で学んだ知識をデイサービスで活用するなどしながら、学びをどんどん深められたのは、とても良かったです。

Q.国家試験対策はどうですか?

A.通信制大学で社会福祉士の勉強をした後、国家試験に挑みました。そのときは完全に一人で試験対策を行ったのですが、とても苦労しました。
でも本校では、先生方が試験に向けてのアドバイスをいろいろしてくださったので、大変ありがたかったです。もちろん、自分自身で努力しなければいけないところはありますが、先生方が手厚くバックアップしてくださるという安心感は大きくて、そのおかげで頑張ることができています。

Q.卒業後の目標を教えてください

A.まずは病院で経験を積んでいきたいと考えていますが、最終的には訪問リハビリができるようになりたいです。言語聴覚士が不足しているような地域に訪れて、困っている方々を支えたいと考えています。まずは国家試験合格に向けて、頑張ります!

【祖母の入院をきっかけにSTをめざした笠原さんの場合】

Q.入学前、どんな仕事をしていたのですか?

A.とある医療法人の団体で、総務や人事を担当していました。病院の院長先生などと接する機会はありましたが、病院内部のことを良く知らないまま働いていました。

Q.言語聴覚士になろうと思ったきっかけは?

くも膜下出血で、祖母が倒れたことです。急性期や回復期の病院など、いろいろ回った際に、さまざまな医療職の方々とお会いしました。その中でも、特に輝いて見えたのが言語聴覚士でした。
重度の障害を抱えた祖母は、さまざまなリハビリに取り組んでいました。そんな中で、食べることが好きだった祖母が楽しんでいるように見えたのが、言語聴覚士によるリハビリだったのです。
こんなふうに人の役に立てるなら、やってみたい。そう思って、言語聴覚士になろうと決意しました。

Q.本校へ入学するまでの経緯を教えてください

A.入学を決意したのは、31歳のときでした。学校選びは、通いやすさ、雰囲気の良さ、そして夜間コースがあるかどうかを基準に進めていきました。
いくつかの学校を見学した中で、先生と学生の距離が一番近かったのが本校でした。4年制大学は卒業していたので、2年制の専門学校でも大丈夫だったのですが、アットホームな雰囲気に魅力を感じたので、入学を決意しました。

Q.学校の雰囲気はどうですか?

A.入学前に感じた通りのアットホームな学校です。先生やクラスメイトの支えがあるから、頑張れていると感じています。
先生方はいつも親身に話を聞いてくださいます。勉強のことはもちろん、なんでも相談しやすいですね。
クラスメイトとは、グループLINEでよく連絡を取り合っています。実習中は「そっちはどんな感じ?」など情報交換したり、励ましたりしながら、大変な時期も乗り越えることができました。

Q.医療系の学びは大変でしたか?

A.これまで触れてこなかった領域なので、授業についていけるかという不安はありました。「解剖生理」という科目ではとにかく覚えることが多く、予想通り大変でしたね。
それでも、目の前のことにひたすら取り組むしかありません。帰宅後に必ず復習する、次の授業の前にも改めて振り返る、予習をするなど、コツコツとこなしながら、専門的な知識や技術を身に付けることができています。

Q.国家試験対策はどうですか?

A.過去問題をできるだけ解くようにしています。授業では、そのような時間を設けてくださるし、先生には対策法を聞けるので、助かっています。

Q.卒業後の目標を教えてください

A.祖母がお世話になった理学療法士のように、卒業後は回復期のリハビリを担当したいと基本的には考えています。しかし、実習先で急性期の現場を実際に目にして、そちらも大きなやりがいがありそうだなと思うようになってきました。
言語聴覚士は、「食べる」とか「話す」など、日常に強く結びついている機能の回復を支えられる仕事で、私はそこに大きな魅力を感じています。
回復期、急性期どちら進むにせよ、障害や問題を抱えている多くの人たちとしっかり向き合い、サポートできる言語聴覚士になるのが、いまの目標です。

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