⾔語聴覚⼠の国家試験について〜過去問も ご紹介〜 必要な知識&技術は?

■はじめに

「話す」「聞く」「食べる」に関するリハビリテーション専門職、言語聴覚士。

脳に何らかの疾患を発症し、上手く話せなくなってしまった方(高次脳機能障害、失語症)、病気や高齢化が原因による難聴の方(聴覚障害)など、「話す」「聞く」ができない人たちや、筋力の衰えが原因で、食べ物を飲み込めない方(嚥下障害)の人など、さまざまな人たちを支えるプロフェッショナルです。

あらゆる現場からニーズが高まっている一方で、その知名度はまだあまり高くありません。言語聴覚士になるためには、どのような学びを身につけ、どんな試験を受けなければいけないのでしょうか。

■言語聴覚士になるには

言語聴覚士になるには、年に1度実施される国家試験に合格しなければいけません。その受験資格として、高校卒業者は言語聴覚士学科のある3〜4年制の専門学校や4年制の大学で、大学卒業者は2年制の専門学校か大学院専攻科で、専門的な知識と技術を身につける必要があります。

■学校では、幅広い知識と技術を学ぶ

ここからは専門用語がたくさん出てきますが、「幅広い知識と技術を身につける必要があるんだな」ということを知っていただければと思います。

 専門学校や大学などの教育内容や単位数は、法令で定められています。
学びの内容は、大きく分けて「専門基礎分野」「専門分野」「臨床実習」があります。

「専門基礎分野」には、

①言語とコミュニケーションに関する学び
②人体のしくみ・室病と治療(解剖学・生理学・病理学などの基礎医学など)
③心の動き(心理測定、臨床心理、生涯発達など)
④生活と社会(学校教育、リハビリテーション、社会保障)
などが含まれます。

「専門分野」では、

①言語・認知系(失語・高次脳機能障害領域、言語発達障害領域)
②発声発語・摂食嚥下系(発話障害領域、音声障害領域、摂食嚥下障害領域など)
③聴覚系(聴覚障害領域)
④共通(言語聴覚療法の評価診断、言語聴覚療法マネジメントなど)
を学びます。

「臨床実習」では実際の患者さんやその家族と関わりながら、それまでに修得した知識や技能などを駆使して、言語聴覚療法の評価診断の技能や、訓練および指導・支援などを実践・修得することをめざします。

高校卒業後の3〜4年制のコースでは、上記に加え、人文科学・社会科学・自然科学などの基礎分野を学習し、教養を身につけます。

埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校では、下記のような授業を用意しています。

■「言語聴覚障害概論」(1年次)

病院や特別支援学校など、多彩な現場で活躍してきた教員による授業です。その幅広い臨床経験を活かし、失語症、高次脳機能障害、音声障害など、さまざまな言語聴覚障害の症例を紹介するほか、動画などを用いて指導します。専門分野の導入となる授業です。

■「言語聴覚障害診断学Ⅱ」(2年次)

成人領域を対象に、障害を持つ患者さんに対する実際の臨床について学ぶ授業。対象者の状態を的確に評価・診断するために必要な「スクリーニング」や検査法などに関する知識や技術について理解し、結果の処理や解釈に関するスキルを身につけることをめざします。

■「言語聴覚障害診断学Ⅲ」(3年次)

これまでの授業で習った内容を復習し、国家試験問題を解きながら知識を定着させ、レベルアップをめざす授業です。「アクティブラーニング」を通じて、より個人の記憶に残るように学習を進めます。

■国家試験の内容は?

国家資格を取得するための「言語聴覚士国家試験」は年に1回、毎年2月に実施。午前と午後の2部構成で行われ、問題数は各100問ずつの計200問が出題され、120点以上で合格となります。試験時間は各150分で合計300分です。

試験科目は、下記の通り。

基礎医学/臨床医学/臨床歯科医学/音声・言語・聴覚医学/心理学/音声・言語学/社会福祉・教育/言語聴覚障害学総論/失語・高次脳機能障害学/言語発達障害学/発声発語・嚥下障害学及び聴覚障害学

令和5年に実施された「第25回言語聴覚士国家試験」の合格率は、67.4%。
2515名が受験し、1696人が合格しました。

例年の合格率は70%前後となっていて、理学療法士や作業療法士などの他リハビリ職の国家試験よりも少しハードルが高いのも特徴の一つです。

一体、どんな問題が出題されているのでしょうか?
過去問題の中から、少しだけご紹介します。

①聴覚系の問題

関連する組み合わせはどれか

・前庭水管 - 聴神経
・乳突洞  - ラセン神経節
・耳石器  - 前庭神経
・内耳道  - 三叉神経
・鼓膜張筋 - 顔面神経

 ②小児系の問題

自閉症スペクトラム障害を合併する頻度が低いのはどれか

・レット症候群
・ターナー症候群
・脆弱X症候群
・結節性硬化症
・ダウン症候群

 ③嚥下系の問題

食物を用いて行う嚥下訓練はどれか

・頭部挙上訓練
・ブローイング法
・バルーン拡張法
・頸部回旋法
・咽頭アイスマッサージ

 専門用語を覚えるのはもちろん、さまざまな症状や訓練法をしっかり覚える必要があることがわかりますね。

 国試合格後も「スキルアップ」するために

言語聴覚士だけでなく、医療に関する職業は資格取得をすれば終わりというわけにはいきません。
医療の世界は日進月歩。合格した後も、プロとして成長していくために努力することが大切です。

例えば、言語聴覚士協会が開催している勉強会に参加して新しい知識を得たり、日々の取り組みや成果についてまとめ、学会で発表したりしながら、スキルアップを重ねていくことをおすすめします。

■本学なら、こんなふうに学べる!

埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校では国家試験合格をめざしながら、臨床現場から求められる言語聴覚士になるためのカリキュラムを用意しています。

例えば、「多職種の視点を取り入れた学び」。介護福祉士科、保育科、調理師科と連携し、高齢者や子ども、調理に関連する技術や知識を身につけることが可能です。これは、総合専門学校の本学ならではの学びです。

また、学内で「ことばの教室」を実施しています。これは、障害を抱えている方に対して、状態を評価したり、言語訓練を行ったりするという実践的なプログラムです。先生や先輩からアドバイスをもらいながら取り組めるので、安心して取り組むことができます。

また、午前コースと午後コースを用意しているので、ライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

■おわりに

言語聴覚士になるには、幅広い知識と深い専門性が必要です。
国家試験は他リハビリ職よりもハードルが高く、合格するためにはそれなりに努力しなければいけません。

厳しさがある反面、子どもからお年寄りまで、さまざまな人たちを支えることができるため、大きなやりがいを感じられる仕事でもあります。

本学なら、国家試験に合格するだけでなく、現場から求められる言語聴覚士をめざすことができます。興味を持たれた方は、ぜひ一度オープンキャンパスにいらしてください!学校に来ていただければ、言語聴覚士という仕事がもっと好きになるはずです!

 

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