施設見学in児童心理治療施設

みなさんは「児童心理治療施設」という施設をご存知ですか?

以前、こちら(児童虐待から子どもを守る「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」とは?)でご紹介した、新設予定の子ども家庭福祉ソーシャルワーカーとも、大変関係のある施設です。

今回、社会福祉養成科の学生10名と、埼玉福祉を卒業した先輩ソーシャルワーカーが働く児童心理治療施設「こどもの心のケアハウス 嵐山学園」を訪問してきましたので、児童心理治療施設がどのような施設なのか、またどのような職種の人が活躍しているのか、私たちが見学会で教えて頂いたことを少しだけ紹介したいと思います。

■児童心理治療施設とは・・・

児童心理治療施設は、児童養護施設などに比べると多くの人には、馴染みのない方が多い施設だと思います。これは児童福祉法に定められた施設で、心理的な問題を抱え、日常生活でさまざまな場面で支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から、生活支援を基盤としつつ心理治療を中心に、学校教育と連携しながら総合的な治療や支援を行う施設です。

援助対象としているのは、心理的、そして環境的に不適応を示している子どもとその家族等で、施設に入所した子どもは集団生活によりその状況の改善を図り、またカウンセリングなどによる心理治療を行って、子どもの成長・発達と自立を援助しています(参考:児童心理治療施設ネットワークより)。

今回、訪問した嵐山学園では、入所している、ほとんどの子どもたちも虐待経験があるというお話をお聞きしました。


■児童心理治療施設で働く人

児童心理治療施設では、施設長、医師(精神科又は小児科)、心理療法担当職員、児童指導員・保育士、看護師、個別対応職員家庭支援専門相談員、栄養士、調理員といった職員が働いています。
社会福祉士は、この中で、児童指導員、個別対応職員、家庭支援専門相談員として働くことがあります。

具体的にどのような働き方をするのか見ていきましょう。

〇児童指導員

児童指導員は、保護者のいない児童や虐待されている児童など、家庭環境上養護を必要とする子どもが入所する施設で、子どもたちの育成、生活指導等を行います。施設では、朝は子どもたちを起こすところから始まり、学校に送り出し、その後は日誌を記録するなどの事務作業を行い、子どもたちが学校から帰ってきたら、勉強の手伝いや身の回りの世話等を行うなど基本的に子どもたちの生活時間と連動して支援を行います。また必要に応じて保護者や児童相談所などと面談し、対応方針等の検討も行うなど多岐にわたった業務が求められる職種です。

〇個別対応職員

個別対応職員とは、虐待を受けた子ども等の施設入所の増加に対応するため、被虐待児等の個別の対応が必要な子どもへの 1 対 1 の対応、保護者への援助等を行ない、虐待を受けた子ども等への対応の充実を図ることを業務とします。入所児童の生きづらさ(被虐待、トラウマ症状、愛着障害、発達障害)は様々であり、その個別性への対応を求められることが多く、心の傷は一人ひとり異なり、一様に同じケアを行うのではなく、個別にケアしていくことが必要があるために配置されている職員です。

〇家庭支援専門相談員

家庭支援専門相談員は「ファミリーソーシャルワーカー(FSW)」とも呼ばれ、主に児童相談所と連携して、虐待など家庭環境上の理由で施設に入所している子どもの保護者との連絡調整をし、家庭復帰や里親委託などのとりまとめや、子どもが施設を早期退所して、親子関係の再構築を図れるよう支援します。家庭支援専門相談員になるためには、児童養護施設等で児童養育業務に5年以上従事した経験があるか、社会福祉士、または精神保健福祉士の資格を保持している必要があります。


■児童指導員として働くということ

今回、私たちに施設を案内してくれた児童指導員として活躍する社会福祉士の先輩に、仕事の“やりがい”をお聞きしたところ、入所した子どもたちの変化を間近で見られる喜びを話してくださいました。虐待など困難な状況を生き抜いてきた子どもたちは、施設に入所してきた頃は「どうせ大人は信じてくれない」「どうせ頑張っても仕方がない」と「どうせ」という言葉が多く、大人を信用できない子も多いそうです。そのような子どもたちと、生活を共にし、日々の生活の中でお互いの信頼関係を構築しながら、彼らの成長を支える児童指導員という仕事は、大変なことも多いそうですが、大変やりがいのある仕事だと話してくださいました。

■学生の感想(抜粋)

・普段、入ることの出来ない施設を案内して頂き、現在、勉強している、名称や心理の部分を見ることができたので、とても貴重な経験になり見学させて頂けて良かったです。
・演習の授業でお話を伺い、通常なかなか内部に立ち入ることができない施設だということでしたが、今回学校を通じて見学させていただけて貴重な体験ができたと感じています。面談室等を見学させていただいた際は、授業で学んだ面談の事を思い出すと共に、実際に使用されている部屋を見ることができて興味深かったです。

今回は貴重なお時間を頂きありがとうございました。

この記事を書いた先生

  • 社会福祉士養成科

神田 歩先生

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