絵本と保育 子どもと遊んだ絵本の世界

 

幼稚園教諭時代の 絵本の思い出

みなさんは覚えていますか?小さな子どもの頃、保育園で先生が絵本を読んでくれた、優しい声。懐かしい絵本。

きっと、大きくなった今も、ふと「あの絵本、もういちど読みたいな」と懐かしく思う方は、多いのではないでしょうか。

幼稚園教諭をしていたころ、現場で絵本を読みながら、「この楽しさや感動が、子ども達の心と体のどこかに、のこってくれるといいな」と願っていました。

絵本がくれた思い出は数えきれないほどです。

もう一回!もう一回!とせがまれて、「特別おまけのもう一回ね」…と、なんども同じ絵本を読んだこと。

絵本をテーマに劇遊びをした時。絵本に出てくる登場人物の衣装を作って盛り上がったこと。

たくさん読んでボロボロになった絵本は、簡単には捨てられず、子どもたちが帰ったあとにセロハンテープで直したこと。

そして、絵本を通して、いろいろな気持ちを、子ども達とわかちあったこと。

時に笑い、驚き、心ときめかせ、時には息を止め、固唾を飲み、恐ろしさに震え上がり、絵本の世界に夢中になった子どもたちの表情は、今でも昨日のことのように思い出します。

今回の記事は、私が幼稚園教諭として働いていた時、子どもたちと一緒に楽しんだ絵本と、その思い出をご紹介します。

やきそば ばんばん

「やきそば ばんばん」あかね書房

(作 はらぺこめがね)

給食に、焼きそばが出てきた日に、4歳児クラスで読みました。一人笑えば皆笑う…そんな一体感が嬉しくて楽しくてたまらない!のが4歳児。まさかの展開、リズミカルな文に、みんないっしょに大笑い!それに、なんといっても絵本に出てくる焼きそばがあまりにも美味しそうでおいしそうで…クラスみんなで「焼きそばをつくって食べよう!」とクッキングに挑戦しました。ホットプレートに山盛りできた焼きそばの、おいしかったこと。みんなはあの味を覚えているかな…私は今でも、焼きそばを見るたびに、あの時の子どもたちを思い出しています。

「エルマーのぼうけん」福音館書店

「エルマーのぼうけん」

(作:ガネット 翻訳:渡辺茂雄)

長編の児童童話です。少し文章量が多いので、5歳児クラスで10日間に渡って読み聞かせました。

絵本に出てくる主人公、エルマーは、恐ろしい猛獣が住む「どうぶつじま」へ冒険に出かける、勇敢な少年です。お話を聞けば聞くたび、主人公エルマーが大好きになった子どもたち。それに、出てくる動物たちも、ちょっとこわいけどなんだか面白くておかしくて…あっというまにみんなが1つの物語に夢中になりました。絵本を読み終わった時には「おはなしがおわるの、さみしい」と涙を浮かべた子がいたほどです。

発表会ではこの絵本を題材にしたオペレッタに挑戦!勇ましいエルマーと、恐ろしい動物たちに扮して、クラスみんなで歌って踊って演じた、楽しい思い出の絵本です。

きょだいなきょだいな

「きょだいなきょだいな」福音館書店

(長谷川摂子 作・降矢なな 絵)

《あったとさ あったとさ ひろいのっぱらどまんなか…》

リズミカルな言い回し、くりかえしのテンポが心地よい絵本です。当時読んであげた4歳児クラスでは大人気で、本棚においておくと取り合いになるほど。何度も読んで!読んで!のリクエストに応えているうちに…なんと、子ども達は本文をそっくりそのまま覚えてしまいました!

そこで、声を合わせて群読に挑戦。「このえほん、だいすき」の気持ちが、子どもの心と声をひとつにしてくれました。

(群読:詩や物語を複数人で声を揃えて朗読すること。)

「11ぴきのねこ ふくろのなか」

「11ぴきのねこ ふくろのなか」こぐま舎

(馬場のぼる作)

4歳児クラスの子どもたちが夢中になった絵本です。「みんながいれば こわくない」という集団心理や、リーダーシップを取ろうと奮闘する、「とらねこたいしょう」の張り切りっぷりは、みんなにそっくり!子ども達自身も、愉快で呑気、明るいなねこたちに、親しみを覚えたようです。絵本を題材に、劇ごっこにも挑戦。11ぴきのねこの真似をして、みんなで頭にお花をつけ、リュックサックを背負い、元気いっぱい歩きましたよ。楽しかったなあ。

おわりに

保育者は、園生活の中で、気付きや感動のきっかけ、心地よい一体感のきっかけを、絵本を用いて工夫します。

みなさんが先生になったとき、ぜひ子どもたちの今をしっかり掴み、「ここぞ」というときに「とっておき」の絵本を読んであげてくださいね。

みなさんと、絵本の楽しさを授業で分かち合える日を楽しみにしています!

おまけ

娘がまだお腹のなかにいたとき。なにからなにまで心配で、不安に胸が押しつぶされそうだった頃…この絵本を読んで、1日も早く赤ちゃんに会いたくなりました。

「かみさまからのおくりもの」

(こぐま舎 ひぐちみちこ作)

「お腹にいる赤ちゃんは、神様からどんなおくりものをもらって出てくるのかな」

そう思うと、不安だった育児も出産も楽しみになったこと、そして大きなお腹に向かって、読み聞かせたことを懐かしく思い出します。

「一日も早く赤ちゃんに会いたい」という気持ちにさせてくれた絵本です。娘がもう少し大きくなったら…改めて、膝の上にのせて読んであげたい、宝物です。

 

 

 

 

 

この記事を書いた先生

  • 保育士科
  • 保育士科 夜間主コース

上條 友葉先生

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