製菓衛生師の資格って本当に必要なの?パティシエと製菓衛生師の違い

小学生のなりたい職業ランキングで毎年上位に入っているパティシエ(ケーキ屋さん)。
2021年度、2022年度共に女子児童では第8位でした。
(日本FP協会 小学生『将来なりたい職業』ランキングより)
ここでは、パティシエの知識・技術を証明する資格である「製菓衛生師」についてご紹介します。

製菓衛生師とは?

製菓衛生師は都道府県知事が認定する国家資格です。和菓子・洋菓子などジャンルを問わず、パティシエとしてのさまざまな製菓技術・知識が身についていることの証明になります。

製菓衛生師は都道府県知事が指定する養成施設で1年以上学んだ方が受験をすることができます。または、義務教育を修了し、製菓・製パンの現場で2年以上の実務経験を積んだ方も受験することができます。

製菓衛生師の試験科目はすべての都道府県で7科目(衛生法規、公衆衛生学、食品学、食品衛生学、栄養学、製菓理論、製菓実技)に統一されていて、出題は一部都道府県を除き60問、マークシート方式(4つの中から1つを選ぶ方式)で実施されます。

出題科目の「製菓実技」は、「実技」という名称ではあるものの、回答は筆記でマークシート方式です。製菓衛生師の試験に実技試験はありません。

*製菓衛生師国家試験 出題試験科目

パティシエと製菓衛生師の違いは?

パティシエは職業の名称、製菓衛生師は国家資格の名称です。
パティシエを名乗ってその職業に就くために、絶対に取得しなければならないという資格はありません。

一方で、製菓衛生師は「名称独占資格」なので、製菓衛生師を名乗るためには国家試験を受験して合格する必要があります。

※名称独占資格とは
名称独占資格とは、「栄養士」や「調理師」など、有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格です。
「弁護士」や「公認会計士」のように、有資格者以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格は「業務独占資格」と言います。

製菓衛生師のメリット

スイーツを作るパティシエとして就職をする際、製菓衛生師資格が必ず必要というわけではありません。
ただ、資格を取得しておくことで就職や転職の際に有利になりえるため、取得しておいて損のない資格だと言えます。

製菓衛生師は、前述のとおり「食品学」や「栄養学」「製菓理論」などの試験が課されるため、養成校ではこれらの科目をしっかり学びます。国家資格である製菓衛生師の資格取得者は、「食品衛生」「栄養」「製菓理論」などの知識を習得していることを国が認めた有資格者として、信頼性が抜群です。

科目 内容
衛生法規 法学に関する関するk祖的事項、衛生行政に関する基礎的事項、我が国の衛生行政機関、製菓衛生士法の沿革、製菓衛生士法の概要、食品衛生法の概要、衛生関係法令の概要について学びます。
公衆衛生学 公衆衛生の意義、公衆衛生の現状、衛生統計、環境衛生の意義、環境と健康、感染症の予防、生活習慣病の予防、労働と健康、安全衛生管理などを学びます。
食品学 食品の種類と成分、食品の変質、食品の変質の防止、食品の生産と輸入、食品の流通と価格、食品の消費構造の変化などを学びます。
食品衛生学 食品衛生の意義、食品衛生の現状、食中毒の発生状況、食中毒の病因物質と予防対策、菓子と食中毒、食品添加物の種類と使用方法などを学びます。
栄養学 栄養の意義、栄養素の分類、栄養素の機能などを学びます。
製菓理論 製菓理論、菓子の分類、菓子の原材料、菓子の包装について学びます。
製菓実技 洋菓子・和菓子・製パンの基礎を学びます。

また、将来自分でお店を開業する際も、製菓衛生師資格は役に立ちます。飲食店の開業には「食品衛生師責任者」の資格が必要で、本来であれば講座の受講が必要になりますが、製菓衛生師資格を持っていると講座を受けることなく食品衛生師責任者の資格を取得することができます。

製菓衛生師になるには

製菓衛生師は、都道府県知事の免許を受け製菓衛生師の名称を用いて菓子製造業に従事する者であり、製菓衛生師法により定められた名称独占資格です。
製菓衛生師になるためには、各都道府県で実施される国家試験を受験し、合格することが必要です。試験を受験するためには、指定された養成校で1年以上学ぶか、2年以上の実務経験を積む必要があります。それぞれのルートのメリット・デメリットをご紹介します。

養成施設で1年以上学ぶ

都道府県知事が指定する養成施設で1年以上学ぶことで製菓衛生師受験資格が得られます。

メリット

養成校で学ぶメリットは、製菓衛生師合格に必要な科目をしっかり学べることです。業界未経験の初心者であっても、基礎から知識・技術を学ぶことができます。試験に関する学問を学校でしっかり教えてもらえるので、独学よりも理解が進みやすく、安心して試験に臨むことができます。

デメリット

1年~2年の通学のためにまとまった学費が必要になります。まとまった学費の用意が難しい場合は、奨学金や教育ローンなどを利用するのも一つの方法です。

※製菓衛生師の指定養成施設は全国に123校、埼玉県内には埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校を含め2校あります。(2023年5月現在)

2年以上の実務経験を積む

義務教育を修了(中学校を卒業)し、2年以上菓子製造業に従事すると、受験資格を得ることができます。
菓子製造業の実務経験に含まれるのはもちろん製造業務で、複数の勤務施設の合計でも認められます。ただし、菓子店で働いていても営業や事務などの直接菓子製造と関係がない業務の場合は実務経験に含まれません。パート・アルバイトで働いた期間も実務経験には含まれず、原則として週4日以上・1日6時間以上菓子製造に勤務することが必要です。

メリット

給与をもらって働きながら現場経験が積める点が一番のメリットと言えます。

デメリット

週4日以上の勤務が必要となるため、養成施設で学ぶ場合と比較して、勉強のための時間を取ることが難しくなります。また、独学で学ぶ必要があるため、勉強の負担は大きくなります。

終わりに

パティシエになるために、製菓衛生師が絶対に必要ということはありません。就職・転職の際に必要とされるのはパティシエとしての実力です。しかし、養成施設を卒業したばかりの新卒の場合、当然現場経験はありません。
採用する側としては、実力が未知数の新卒を採用する場合に、製菓衛生師の資格も判断基準の一つになると言えます。
製菓衛生師の資格は、パティシエとしての知識・技術の証明です。新卒者にとっては、自分をアピールする上でも強みになる資格と言えるでしょう。

▼Wライセンスについて詳しく知りたい方はこちら

▼製菓衛生師について
詳しくはこちら

おすすめコンテンツ

    • 先輩が教える学校の魅力
    • Senior Interview 業界で活躍する先輩インタビュー
    • 埼玉福祉で働く先生
資料請求 オープンキャンパス LINE相談