言語聴覚士はどんな障害を対象にするの?

言語聴覚士はどんな障害を対象にするの?

 「言語聴覚士になりたい!」と当校を訪れて下さる方には、高校生のほか、社会人として様々な経験を積まれた方々が多くいらっしゃいます。人生の出会いを通じ言語聴覚士の仕事を志して下さる方々には、言語聴覚士の適性がとても高い方が多いです。

今回は言語聴覚士がどんな障害を対象にするのか、お話しいたします。

<聴覚障害>
言語聴覚士は聞こえの障害のある人に対して聴覚検査をし、聞こえの評価を行ったり、補聴器や人工内耳の調整を行います。
生まれた時から聴覚障害がある場合は、言語の獲得に大きな影響が出てしまい、言葉を学習するための支援やコミュニケーション支援は継続的に必要です。このためなるべく早期に難聴を発見し、適切な対応をすることが求められます。

<失語症、高次脳機能障害>
失語症は、脳血管障害や頭部外傷や脳腫瘍などによって、大脳の言語中枢が損傷を受けることで発症します。聞く、話す、読む、書く、計算することに障害が生じます。
高次脳機能障害は、同様の原因によって大脳が損傷し、記憶力や注意力や判断力や構成能力や視覚認知といった認知機能に障害がおきてしまうことです。
長期的に回復する障害であり、それぞれの評価や訓練も重要ですが、心理的支援や家族への助言や社会生活に復帰するための支援も大切になります。

<構音(こうおん)障害>
舌や唇や軟口蓋などの発声発語器官が、麻痺で動かなくなったり手術で切除したり上手に動かせず、発音ができないことを構音障害と言います。
発音を評価し、正しい発音方法を獲得させたり、代償的に発音する方法を見出していきます。言葉によるコミュニケーションが難しい場合は、音声出力ができる会話補助装置などのコミュニケーション機器を導入することもあります。

<摂食・嚥下(えんげ)障害>
「摂食」とは食事をすること、「嚥下」とは食べ物を飲み込むことです。お口の器官やのどの麻痺や加齢による筋力低下などによって、十分に噛み下せなかったり、食物を上手く飲み込めずむせたり、誤嚥性肺炎になってしまうことを、摂食・嚥下障害といいます。
言語聴覚士は、御本人に合った食物や姿勢を評価したり、食べる機能の維持回復のために訓練をしたり、多職種やご家族に専門的な説明を行います。再び食べられるようになることは、人生の大きな喜びにつながります。

<音声障害>
声の振動源である声帯の炎症やポリープや結節などの病変によって、いつもと違う声になってしまうことが音声障害です。声を酷使する機会の多い方が対象になりやすいです。
楽な呼吸法や発声法を練習したり、禁煙や節酒や水分摂取などの生活指導も行います。

<吃音>
音や単語の一部を繰り返したり(連発「か、か、かめら」)、音を伸ばしたり(伸発「かーーめら」、言葉が詰まって出てこない(難発「……っかめら」)など、滑らかに話すことができない状態を吃音と言います。
御本人との訓練のほか、環境にも働きかけて、からかいを無くするなど吃音を正しく理解してもらいます。

<発達障害>
自閉症スペクトラムや、注意欠陥・多動性障害や、学習障害や、知的障害などによって、発達に遅れや偏りが見られるお子さんがいます。小さい頃は「言葉が遅い」ことに対して困っている保護者が最も多くいらっしゃいます。
言語聴覚士は、お子さんの言語やコミュニケーションを中心とした様子を観察したり検査にて評価し、発達に必要なことを訓練したり提案します。また、保育士らと連携して、集団生活の中でのコミュニケーション支援を行います。

このようなコミュニケーション障害について、埼玉福祉・保育専門学校で一緒に学べることを楽しみにしています!

この記事を書いた先生

  • 言語聴覚士科
  • 言語聴覚士科Ⅱ部

室田 由美子先生

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