キャリア教育の実践

「キャリア教育」という取り組みがあります。これは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と言われ、あらゆる学校教育の場で実践することが求められております。これは、本校のような専門学校でも例外ではありません。

特に専門学校では、学生一人一人の職業社会への移行が大きな役割となっている関係で、職業人教育と直結した位置づけになっております。本校では、1年生を対象とした「職業人教育」という名称の科目をキャリア教育の根幹として、実施しております。

今回は、社会福祉科1年生の「職業人教育」の取り組みをご紹介いたします。

スマホ1 スマホ2

授業では、学生同士がスマートフォンを向け合っていました。これは、学生がそれぞれ「自己紹介」を行い、それをスマホを用いて動画で撮影し、お互いが見合っておりました。自己紹介は、自分自身を客観的に見ることが求められるとともに、コミュニケーションの基本となる行為です。その場面にスマホを活用することで、各自の振り返りを行うことができます。

続いて、授業は「将来の夢の実現」についての活動が行われました。学生の現在の夢は、資格の取得とそれを生かした職業社会への移行です。しかし、その夢の実現に何が必要となるでしょう。

授業者

夢の実現に関しては、「思い」「気づき」「行動」という3つのポイントがあり、「計画」「実行」「課題の改善」という3つのフォローがあります。さらに目標を明確にし、「PDCAサイクル」による取り組みが不可欠となります。

さらに、目標設定の原則として「実現可能か」「期限はどうか」「取り組みの検証」の視点を挙げました。その視点に基づいて、今必要な取り組みを積み上げることが目標を達成し、夢の実現に近づく道となります。

学生たちは、一つ一つをしっかりと考えながら、熱心にワークシートに記入しておりました。

ワークシート (1) ワークシート (2)

さて、5月28日(日)に行われた、本校の高校生を対象のイベントの裏番組として、私は保護者を対象とした特別講演会「高校卒業後のキャリアを考えることで大切なこと」について、お話をさせていただきました。

この中で、一般的に「進路」と言われることを「ライフステージの移行」と定義いたしました。

人生はその場面場面で、それぞれのステージの上で活動を行っています。たとえば、今学生は「専門学校」というステージで、毎日の学習を行っております。学校を卒業すると、次のステージに移行し、そこで次の活動が行われることになります。そのステージが「職業社会」となります。

高校卒業後のキャリア2 

そのライフステージの移行を重ねていくことによって、自分自身の描く将来の姿に近づけていくことが、すなわち夢の実現につながることとなります。

ところで、最近のテレビCMで印象的なものがありました。

それはサッカー元全日本の 中田 英俊 氏に「ライバルは必要ですか?」と尋ねたところ、中田氏は必要ないです。理想の自分と、現実の自分と、ずっとライバルで居続ける。」と応えましたものです。

「現実の自分」とは、今生きている自分です。そして、「理想の自分」とは、夢を実現させた自分のことと解しております。すなわち、私たちは毎日、「理想の自分」をライバルとして追いつけるよう、「現実の自分」を高めれていることになります。

ぞして、現実から理想への道を「自分軸」と称し、自分軸を補完・補強するものとして、社会の様々な動きや変化である「社会軸」をしっかりと見据えることが必要となります。その図式が、下記です。

高校卒業後のキャリア3

さて、授業では平行して「自分史」の作成も行っております。自分史は、まさに現実の自分を形作っていくものの振り返りにあたります。その上で、理想の自分に向けて時間の活用等について考えました。そして、授業の最後では、毎回のように小テストを実施し、今回の授業をしっかりと振り返っております。

小テスト (2) 小テスト (1)

今回の学生たちは、社会福祉士科という資格取得とそれを生かした職業生活に向けての取り組みを毎日行っております。しかし、「キャリア」とは職業生活をも包含した、人生そのものを意味する言葉です。その意味でも、社会性や人間性、社会通念上の常識、他者の理解と協働意識や柔軟さ、自己理解と自己管理、意志伝達と受容、課題に立ち向かう意志、将来設計、及び中長期的な視点を持てるように、毎日の授業が行われております。そこで身につけていくことがが「キャリア発達」につながっていきます。

このように、本校では毎日の授業に「キャリア教育」の視点を持ち、組織的に取り組んでおります。

 

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