
言語聴覚士を目指すうえで、年収がどれくらいなのか気になる方も多いでしょう。将来の生活やキャリアをイメージするためにも、収入面の情報は知っておきたいポイントです。
本記事では、言語聴覚士の平均年収を年齢別・地域別・経験年数別に紹介します。年収を上げる方法や今後の需要についても解説するので、進路選びの参考にしてください。
目次
言語聴覚士の平均年収は約444万円
・言語聴覚士の年齢別平均年収
・言語聴覚士の地域別平均年収
・言語聴覚士の経験年数別平均年収
・言語聴覚士のボーナス・賞与は約72万円
・言語聴覚士と似た職業の平均年収を比較
言語聴覚士の年収を上げる方法
・経験年数・キャリアを積む
・専門資格やスキルを取得する
言語聴覚士の今後の需要
・高齢化社会における需要の拡大
・医療・福祉・教育分野など活躍の場の幅がある
・専門性の向上によるキャリアアップができる
・AIにも代替されにくい職業
まとめ
言語聴覚士の平均年収は約444万円
言語聴覚士の平均年収は約444万円です。給与所得者全体の平均年収が約478万円であることと比べると、やや低い水準にあります。しかし、言語聴覚士の有効求人倍率は4.26倍と高く、1人に対して約4件の求人がある売り手市場の状態が続いています。求人数に対して人材が不足しているため、今後は待遇の改善が進む可能性も見込まれるでしょう。
また、言語聴覚士は夜勤がない職場が多く、残業も比較的少ない傾向があります。年収の数字だけでなく、働きやすさや安定した需要があることもあわせて考えると、長く続けやすい職種といえるでしょう。なお、年収は年齢や経験年数、勤務する地域によっても変わるため、以降の見出しで詳しく紹介します。
言語聴覚士の年齢別平均年収
言語聴覚士の年収は、年齢が上がるにつれて増加する傾向があります。年齢別の平均年収は下記のとおりです。
言語聴覚士の年齢別平均年収
| 年齢 | 平均年収 |
| 20~24歳 | 約344万円 |
| 25〜29歳 | 約398万円 |
| 30〜34歳 | 約444万円 |
| 35〜39歳 | 約461万円 |
| 40〜44歳 | 約491万円 |
| 45〜49歳 | 約530万円 |
| 50〜54歳 | 約536万円 |
| 55〜59歳 | 約610万円 |
| 60〜64歳 | 約457万円 |
| 65〜69歳 | 約462万円 |
| 70歳〜 | 約409万円 |
20代前半では約344万円ですが、キャリアを重ねるごとに年収は上がり、55〜59歳で約610万円ともっとも高くなります。20代から50代後半にかけて約270万円の差があり、経験やスキルの積み重ねが年収にしっかり反映される職種であることがわかるでしょう。
また、養成校を卒業して働き始める20代前半から30代前半にかけては、約100万円の年収アップが見込めます。若手のうちから着実に昇給していく点は、これから進路を考える高校生にとっても心強いでしょう。
一方、60歳以降は定年や再雇用の影響で年収が下がる傾向にあります。とはいえ、60代以降でも400万円台を維持しており、国家資格があれば長く安定した収入を得られることがわかります。
言語聴覚士の地域別平均年収
言語聴覚士の年収は、勤務する地域によっても差があります。主な地域の平均年収は下記のとおりです。
言語聴覚士の地域別平均年収
| 地域 | 平均年収 |
| 北海道 | 約443万円 |
| 東北 | 約440万円 |
| 関東 | 約459万円 |
| 中部 | 約442万円 |
| 近畿 | 約461万円 |
| 中国 | 約421万円 |
| 四国 | 約436万円 |
| 九州・沖縄 | 約414万円 |
関東や近畿は約460万円と高めで、九州・沖縄は約414万円ともっとも低くなっています。地域間で最大約47万円の差があり、都市部や医療機関の多いエリアほど年収が高い傾向がうかがえます。
都道府県別に見ると、もっとも高いのは愛知県の約503万円、もっとも低いのは岐阜県の約375万円です。同じ中部エリアでも約130万円の開きがあります。ただし、年収が低い地域でも言語聴覚士の需要がないわけではありません。高齢化が進む地方では嚥下障害や認知症の支援ニーズが高まっており、人手不足の地域ほど好条件の求人が出るケースもあります。
年収だけでなく、生活費や住環境とのバランスも考慮しながら、自分に合った働き方ができる地域を選ぶとよいでしょう。
言語聴覚士の経験年数別平均年収
言語聴覚士の年収は経験年数に応じて上がっていく傾向があります。経験年数別の平均年収は下記のとおりです。
言語聴覚士の経験年数別平均年収
| 経験年数 | 平均年収 |
| 0年 | 約372万円 |
| 1〜4年 | 約382万円 |
| 5〜9年 | 約416万円 |
| 10〜14年 | 約439万円 |
| 15年〜 | 約491万円 |
経験0年の時点では約372万円ですが、5年以上になると約416万円まで上がり、15年以上のキャリアでは約491万円に達します。0年目と15年以上では約119万円の差があり、経験を積むほど収入に反映されていくことがわかるでしょう。
注目したいのは、1〜4年から5〜9年にかけての伸びです。この期間で約34万円アップしており、現場での経験を積んでスキルが評価され始める時期といえます。また、15年以上になると約491万円と全国平均の約444万円を大きく上回る水準に達するため、長く続けるほど収入面でのメリットが大きくなります。
医療職は勤続年数に応じて昇給する給与体系の職場が多く、長く働くほど安定した収入アップが見込めます。さらに、主任やチームリーダーなどの役職に就けば、役職手当による上乗せも期待できるでしょう。
言語聴覚士のボーナス・賞与は約72万円
言語聴覚士の平均賞与額は年間約72万円です。賞与は年2回(夏・冬)に支給される職場が一般的ですが、支給額や回数は勤務先によって異なります。たとえば、大学病院や総合病院などの大規模な医療機関では賞与が手厚い傾向がある一方、小規模なクリニックや施設では賞与が少ない場合や、支給自体がないケースもあるでしょう。
また、同じ職場でも勤続年数や役職、人事評価によって支給額に差が出ることがあります。そのため、就職先を選ぶ際は月給だけでなく、賞与の有無や支給実績も確認しておくことが大切です。賞与は年間の総収入に大きく影響するため、求人情報を比較する際にはしっかりチェックしておきましょう。
言語聴覚士と似た職業の平均年収を比較
言語聴覚士と同じリハビリ・福祉系の職種と年収を比較してみましょう。仕事内容や勤務先のちがいもあわせて紹介します。
言語聴覚士と似た職業の比較
| 職種 | 平均年収 | 主な仕事内容 | 主な勤務先 |
| 言語聴覚士 | 約444万円 | 話す・聞く・食べる機能のリハビリや支援 | ・病院 ・介護施設 ・児童発達支援センターなど |
| 作業療法士 | 約444万円 | 食事や家事など日常の作業を通じた訓練・支援 | ・病院 ・障害者施設 ・老人保健施設など |
| 理学療法士 | 約444万円 | 運動療法や物理療法による身体機能の回復支援 | ・病院 ・リハビリセンター ・高齢者介護施設など |
| 医療ソーシャルワーカー | 約441万円 | 患者や家族の経済的・心理的・社会的な問題の相談支援 | ・病院 ・保健所 ・社会復帰施設など |
言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」に特化しているのに対し、理学療法士は歩行や運動機能、作業療法士は日常生活の動作を専門としています。医療ソーシャルワーカーはリハビリではなく、患者や家族が抱える生活上の困りごとを相談・調整する役割です。
年収だけでなく、自分がどの分野で人の役に立ちたいかを考えて職種を選ぶとよいでしょう。
言語聴覚士の年収を上げる方法
言語聴覚士の平均年収は約444万円ですが、働き方やスキルの磨き方次第で上げていくことは十分に可能です。ここでは、年収アップにつながる具体的な方法を2つ紹介します。
経験年数・キャリアを積む
先ほど紹介した経験年数別のデータでは、経験0年の約372万円に対して15年以上では約491万円と、約119万円の差がありました。このように、言語聴覚士は経験を重ねるほど年収が着実に上がる職種です。
ひとつの職場で長く勤務すれば毎年の昇給が期待しやすく、実績が評価されることで主任やチームリーダーといった責任あるポジションを任される機会も増えていきます。役職に就くと役職手当が加わるため、さらなる年収アップにつながるでしょう。まずはやりがいを感じられる職場で経験を積み、スキルと信頼を高めていくことが収入を上げる確実な方法です。
専門資格やスキルを取得する
言語聴覚士は、専門性を高める資格を取得することで手当や評価につなげやすくなります。代表的なのが日本言語聴覚士協会の「認定言語聴覚士」で、摂食嚥下障害領域や聴覚障害領域など6つの専門領域に分かれています。関心のある領域で認定を取得すれば、専門分野での評価が高まり、資格手当や昇進のチャンスにもつながりやすくなるでしょう。
そのほかにも、栄養サポート専門療法士や呼吸ケア指導士など、業務の幅を広げられる関連資格もあります。資格を取った直後にすぐ年収が上がるとは限りませんが、専門性を磨き続けることで長い目で見たキャリアアップにつながります。
言語聴覚士の今後の需要
言語聴覚士を目指すにあたって、将来にわたって安定した需要があるかどうかは気になるポイントでしょう。言語聴覚士の需要は、今後も高まっていくと考えられています。高齢化の進行による嚥下障害や認知症ケアのニーズ増加、活躍の場の広がり、AI時代における専門性の強みなど、将来性を裏づける理由は複数あります。
ここでは、言語聴覚士の需要が伸び続けると見込まれる理由を詳しく見ていきましょう。
高齢化社会における需要の拡大
日本では高齢化が急速に進んでおり、嚥下障害や認知症、老人性難聴を抱える高齢者は今後さらに増えると見込まれています。こうした症状に対応できる言語聴覚士の需要は、ますます高まっていくでしょう。
一方で、言語聴覚士の有資格者数は2025年時点で約4万人と、理学療法士の約22万人や作業療法士の約12万人と比べて大幅に少ない状況です。需要に対して人材が不足しているため、介護施設や訪問リハビリなどを中心に求人数の増加も期待できます。言語聴覚士は高齢化が進むほど必要とされる職種であり、将来性の面でも安心感のある仕事といえるでしょう。
医療・福祉・教育分野など活躍の場の幅がある
言語聴覚士は、医療機関だけでなく介護施設、訪問リハビリ、学校、児童関連施設など、さまざまな現場で求められています。近年は診療報酬や介護保険制度の改定によって、言語聴覚士が関われる対象が広がっており、採用や増員に積極的な施設も増えてきました。
さらに、在宅医療や企業の健康支援といった新しい領域でも需要が生まれ始めています。ひとつの分野に限定されず、子どもから高齢者まで幅広い人を支援できるため、自分の関心やライフステージに合わせて活躍の場を選べる点も強みといえるでしょう。
専門性の向上によるキャリアアップができる
言語聴覚士は、嚥下・聴覚・小児支援など自分の得意な分野に特化しやすい職種です。興味のある領域を深めていくことで、専門家としての評価が高まり、キャリアアップにもつながります。認定言語聴覚士などの上位資格を取得すれば、資格手当や昇進の機会も広がるでしょう。
さらに、医療業界では制度改定や技術の進歩によって、言語聴覚士が対応できる領域が今後も広がっていく可能性があります。自分の専門分野を持ちながら学び続けることでキャリアの選択肢を増やしていける点は、言語聴覚士の大きな強みです。
AIにも代替されにくい職業
言語聴覚士は、AIやロボットによる代替が難しい職業のひとつとされています。リハビリでは患者一人ひとりの表情やしぐさを読み取りながら進める必要があり、こうした細やかな対人対応は現在の技術では機械に任せられません。
実際に、言語聴覚士は「ロボット等での代替が困難な100種の職業」に選ばれており、AI時代においても安定した需要が見込まれています。今後テクノロジーがさらに発展しても、人の気持ちに寄り添いながらことばや食べる力を支える仕事は、人にしかできない領域です。将来のキャリアを考えるうえで、技術革新の影響を受けにくい点は安心でしょう。
まとめ
言語聴覚士の平均年収は約444万円で、経験年数や勤務地域によって変動します。年齢を重ねるごとに昇給しやすく、15年以上のキャリアでは約491万円と全国平均を大きく上回る水準です。専門資格の取得やキャリアアップによって、さらに収入を伸ばすことも期待できます。
高齢化社会の進行やAIでは代替しにくい仕事であることから、今後も安定した需要が見込まれる職種です。
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