保育士資格は独学で取れる?高校卒業後の受験条件と合格するための勉強法

保育士試験は、独学でも合格することは可能です。ただし、決して簡単ではなく、しっかりとした学習計画と十分な勉強時間が必要になります。
保育士資格を取得する方法は、「指定保育士養成施設を卒業する」か「保育士試験に合格する」の2パターンです。養成施設以外のルートを選ぶ場合は、国家試験である保育士試験を受験する必要があります。今回は、保育士試験の難易度や合格率、そして独学で合格するために必要な勉強量について詳しく紹介します。

目次

保育士資格は独学で取得できる?
高校卒業後に保育士試験を独学で受験する方法
学歴別の受験資格一覧
高卒の場合は実務経験が必要
養成校の場合は卒業と同時に保育士資格を取得できる
保育士試験の難易度と合格率
合格率は約20%|9科目すべてで6割以上が必要
実技試験は独学での対策が難しい傾向がある
独学で合格するために必要な勉強量
独学で合格するためのポイント
試験範囲の全体像を把握してから勉強を始める
過去問を中心に繰り返し解く
実技試験は早めに対策を始める
スケジュール管理とモチベーション維持に気をつける
保育士資格を取得するには独学と養成校どちらがおすすめ?
独学がおすすめな人
養成校がおすすめな人
まとめ

保育士資格は独学で取得できる?

保育士資格は、独学でも取得できます。ただし、国家試験である保育士試験は簡単ではないため、しっかりとした学習計画と継続的な勉強が必要になります。
保育士資格を取得する方法は、次の2パターンがあります。

●厚生労働大臣が指定する指定保育士養成施設(専門学校・短大・4年制大学など)を卒業する
●年2回実施される保育士試験を受験して合格する

高校卒業時点で保育士になることを決めている場合は、指定保育士養成施設へ進学するケースが一般的です。この場合、試験を受けることなく、卒業と同時に保育士資格を取得できます。
一方で、進学後に保育士を目指す場合や、いったん別の仕事を選んだあとに目指す場合は、改めて指定保育士養成施設へ再進学するか保育士試験(国家試験)を受験することになります。保育士試験には一定の受験資格がありますが、条件を満たせば独学での合格も不可能ではありません。

高校卒業後に保育士試験を独学で受験する方法

保育士試験は年2回実施されますが、挑戦するには「受験資格」を満たしている必要があります。そして受験資格は、大卒・短大卒・高卒・中卒といった学歴ごとに異なることが特徴です。学費をできる限り抑えて保育士になりたい方や、高校卒業後すぐに保育士試験を受験できるのか気になっている方は、下記の受験資格をふまえて、自分に合った進路を考えてみてください。

学歴別の受験資格一覧

最終学歴ごとの受験資格は、次のとおりです。

最終学歴 受験資格の条件
大学卒(2年以上在学・62単位以上修得) 実務経験不要、すぐ受験可
短大・専門学校卒 実務経験不要、すぐ受験可
高卒(平成3年3月31日以降) 児童福祉施設で2年以上・2,880時間以上の実務経験が必要
中卒 5年以上・7,200時間以上の実務経験が必要

大学・短大・専門学校(2年以上)を卒業している場合は、実務経験がなくても保育士試験を受験できます。卒業した学部・学科が、保育士とまったく関係がなくても構いません。一方、高卒・中卒の場合、受験するためには「実務経験」が求められます。つまり、高校卒業後すぐに保育士試験を受けることはできません。

高卒の場合は実務経験が必要

平成3年3月31日以降に高校を卒業した方が保育士試験を受験するには、2つの条件を満たす必要があります。

●児童福祉施設での実務経験が2年以上
●総勤務時間数2,880時間以上

高校卒業直後に受験できない点は、進路を考えるときに、必ず意識しておきましょう。なお、受験資格の対象となる施設としては、次のような例が挙げられます。

●認定こども園
●幼稚園
●家庭的保育事業
●小規模保育事業
●居宅訪問型保育事業
●事業所内保育事業
●一時預かり事業
●小規模住居型児童養育事業

これらの施設で「保育補助」や「指導員」などとして実務経験を積めば、保育士試験を受験できます。

養成校の場合は卒業と同時に保育士資格を取得できる

高校卒業後、確実かつ最短距離で保育士資格を取得したい場合、やはり卒業と同時に保育士資格を取得できる養成校(専門学校・短大・大学)へ進学するのがおすすめです。実務経験を積まずに保育士になることを不安に感じる方もいるかもしれませんが、養成校では保育所での実習なども積めるため、卒業する頃にはすぐに現場で活かせる知識やスキルが身についているでしょう。高校卒業時点で保育士になることを決めている場合は、ぜひ養成校への進学を考えてみてください。

保育士試験の難易度と合格率

さて、保育士試験は独学での挑戦も可能ですが、試験内容は簡単ではなく、誰でも合格できるものではありません。しっかりと対策した方でも初回では受からず、何年かかけて受験することになる可能性もあります。ここからは独学を検討している方のために、保育士試験の難易度と合格率について解説します。

合格率は約20%|9科目すべてで6割以上が必要

保育士試験の合格率は、例年約20〜30%の間で推移しています。受験者の大半が落ちる、厳しい試験なのです。このように保育士試験の合格率が低い理由としては、筆記試験の科目数と合格基準が挙げられます。
保育士試験では、以下の9科目が出題されます。(参考:全国保育士養成協議会)

1.保育原理
2.教育原理
3.社会的養護
4.子ども家庭福祉
5.社会福祉
6.保育の心理学
7.子どもの保健
8.子どもの食と栄養
9.保育実習理論

9科目すべてで満点の6割以上を得点しなければ、その年の筆記試験は不合格となります。なお、基準を上回った科目は受験年を含め3〜5年間有効なため、複数年かけて合格を積み重ねることも可能です。しかし、それでもすべての科目に合格するのは簡単ではありません。

実技試験は独学での対策が難しい傾向がある

保育士試験を突破するためには、筆記試験だけではなく、実技試験にも合格しなければなりません。実技試験の科目は下記の3つで、2分野を選んで受験し、合格基準は満点の6割以上です。

●音楽に関する技術(幼児に歌って聴かせることを想定し、課題曲を2つ、ピアノもしくはギターで弾き歌いする)
●造形に関する技術(設定されたテーマを絵画で表現する)
●言語に関する技術(3歳児クラスを想定し、子どもが集中して聴けるように童話を読み聴かせる)

いずれも独学では客観的なフィードバックが得られず、対策が難しいことが特徴です。しっかりと対策しないと、実技試験合格まで何年もかかってしまうでしょう。

独学で合格するために必要な勉強量

独学で保育士試験に合格するために必要な勉強時間は、もともとの知識量や学習効率によっても異なりますが、一般的には200〜400時間といわれています。9科目の筆記試験に加え、実技試験の対策も必要なことを考えると、実際にはさらに多くの時間が必要になるケースもあるでしょう。
高校卒業後、実務経験を積みながら、さらに200〜400時間の勉強時間を確保するのは簡単ではありません。試験前の1年間、毎日1時間勉強したとしても、必ず合格するとは限らないことを考えると、ハードルの高さが実感できるでしょう。養成校に進学するのではなく、独学で保育士を目指す場合、しっかりとした覚悟と計画が必要です。

独学で合格するためのポイント

さて、独学で保育士試験に合格するためには、闇雲に勉強するのではなく、いくつかポイントを押さえる必要があります。いくつか例を紹介するので、独学できそうか判断する際の参考にしてみてください。

試験範囲の全体像を把握してから勉強を始める

独学で保育士試験に臨む際、まず取り組んでほしいのが、試験範囲の全体像を把握することです。保育士試験の筆記試験は9科目にわたり、それぞれに出題傾向・頻出テーマが存在し、難易度も異なります。それにもかかわらず全体像を把握せずに勉強を始めると、あまり出題されないテーマに時間を割きすぎたり、苦手科目の対策が後回しになったり、非効率な学習になりかねません。

そのため効率的に学習を進めるためには、全体像を把握し、どの科目にどれくらい時間をかけるかを最初に決めることが大切なのです。独学の場合、この計画を自分一人で立てなければならない点が、最初のハードルといえるでしょう。

過去問を中心に繰り返し解く

試験範囲の全体像を把握したら、過去問を繰り返し解くのがおすすめです。保育士試験では、似たようなテーマや問題形式が出題される傾向があるため、過去問はもっとも効率的な学習教材といえます。なお、過去問を繰り返す際は、ただ答えを覚えるのではなく、なぜその答えになるのかまで理解しましょう。回答の理由まで覚えれば、少し違うテーマが出題されても柔軟に対応できるようになります。
また、過去問を繰り返し解いていると、自然と苦手分野が見えてきます。いつも間違える分野については、テキストで重点的に復習し、理解度を深めていきましょう。

実技試験は早めに対策を始める

保育士試験の実技試験は、筆記試験に合格した人のみが受験します。しかし、筆記試験の勉強と並行して、実技試験の対策も早めに始めておきましょう。筆記試験から実技試験までは1か月半程度しか準備期間がないためです。
とくに、ピアノやギターの経験がない方が「音楽」を選択する場合、弾き語りができるようになるまでにはそれなりに時間がかかります。これらの楽器を習ったことがある場合も、人前で歌いながら演奏するには練習が必要でしょう。
また、「造形」「言語」についても、限られた時間で課題を仕上げるためには、繰り返し練習しなければなりません。早めに受験分野を決めて、筆記対策が忙しくなる前に準備を始めておきましょう。

スケジュール管理とモチベーション維持に気をつける

独学で保育士試験に合格するためには、学習方法だけでなく、スケジュール管理とモチベーション維持も重視しましょう。スケジュール管理については、試験日から逆算して学習計画を立てるのが基本です。いつまでにどの科目の対策を終わらせるのか、月単位・週単位で決めておきましょう。
また、働きながら長期間勉強を続けるのは、思っている以上に大変です。受験資格を得るまでモチベーションを保って勉強を続けるためにも、小さな目標を設定し、達成感を積み重ねながら学習を進めてみてください。孤独になりがちな独学では、自分で自分をコントロールすることが何よりも大切です。

保育士資格を取得するには独学と養成校どちらがおすすめ?

さて、結局のところ、保育士資格を取得するには「独学」と「養成校」のどちらがおすすめなのでしょうか。どちらのルートにもメリット・デメリットがあるため、はっきりとした正解はありませんが、高校生向けに判断基準を紹介します。

独学がおすすめな人

独学のメリットとしては、学費を抑えられることが挙げられます。テキスト代・受験料のみで資格取得を目指せるため、養成校への進学と比べると、経済的な負担は少ないでしょう。また、自分のペースで学習を進められる点もメリットです。
一方で、デメリットとしては、自分で学習計画・進捗管理に対応しなければならないことや、実技試験の対策がしづらいことが挙げられます。受験対策として通信講座を活用する方法もありますが、費用をかけるなら、確実に保育士資格を取得できる養成校へ進学したほうがいいでしょう。また、高卒の場合、受験資格を得るまでに時間がかかる点もデメリットです。
このような特徴をふまえると、独学での保育士資格取得が向いているのは、以下のような方だといえます。

●すでに受験資格を満たしている(高校卒業後、実務経験を積んでいる)
●自己管理・スケジュール管理が得意
●まとまった学習時間を確保できる
●学費を抑えることを優先したい

養成校がおすすめな人

養成校へ進学する最大のメリットは、卒業と同時に保育士資格を取得できることです。とくに、高校卒業後に最短距離で保育士資格を取得したい場合は、2年制の専門学校へ進学するといいでしょう。また、カリキュラムに沿って学べるため、体系的に保育知識を身につけられることもポイントです。
一方、独学と比べると、学費がかかることは事実です。ただし、奨学金制度や教育ローンを活用できる場合もあるため、費用面が気になる方は進学前に確認してみてください。このような特徴をふまえると、養成校への進学が向いているのは、以下のような方だといえます。

●高校卒業後、最短で資格を取得したい
●実務経験を積むハードルを避けたい
●授業や保育実習を通じて体系的に学びたい
●勉強のサポートを受けたい
●仲間がいる環境で学びたい
●就職までサポートしてもらえる環境で安心して保育士を目指したい

まとめ

保育士資格は、独学で取得することも可能です。しかし高卒の場合、受験資格を得るまでに最低2年の実務経験が必要で、すぐに受験できない点は知っておきましょう。また、保育士国家試験の合格率は約20〜30%で推移しており、実技試験の対策も必要なため、独学での合格は簡単ではありません。一方、養成校に進学すれば、卒業と同時に保育士資格を取得できます。体系的に保育技術を学べることはもちろん、就職サポートまで受けられることもメリットといえます。
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