言語聴覚士はやめたほうがいい?現実と魅力を高校生向けに紹介

言語聴覚士を目指したいけれど、「やめたほうがいい」という声を見かけて不安に感じている人もいるでしょう。大変な面はありますが、言語聴覚士にはそれ以上のやりがいや魅力がある仕事です。
本記事では、言語聴覚士がやめたほうがいいと言われる理由と、それでも目指したくなる魅力をあわせて紹介します。進路選びの参考にしてください。

目次

言語聴覚士とはどんな仕事?
言語聴覚士は「やめたほうがいい」と言われる5つの理由
勉強量が多く資格取得のハードルが高い
給与水準が他の医療職より低めになりやすい
リハビリの効果が出るまでに時間がかかる
患者・家族の感情に寄り添う精神的な負担がある
理学療法士・作業療法士よりも求人数が少ない
それでも言語聴覚士を目指したくなる、4つの魅力
国家資格のため転職・復職に強い
医療・福祉・教育など幅広い分野で活躍できる
専門知識とスキルが生涯役立つ
患者や家族の回復を間近で感じられる
言語聴覚士に向いている人
人と関わることが好き
観察力や忍耐力がある
専門知識を学ぶ意欲がある
チームで働くのが得意
まずは学校のオープンキャンパスに参加してみよう
まとめ

言語聴覚士とはどんな仕事?

言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」に困りごとを抱える人を支援する国家資格の専門職です。病気や事故、発達上の課題などが原因で、うまく話せない・聞き取れない・飲み込めないといった状態になることがあります。言語聴覚士はそうした人に対して検査や評価を行い、一人ひとりに合ったリハビリや指導を実施します。
支援の対象は子どもから高齢者まで幅広く、本人だけでなく家族へのサポートも担います。医師や看護師、理学療法士などと連携しながら、ことばや聴こえ、食べる機能の面からその人らしい生活を支える仕事です。

言語聴覚士は「やめたほうがいい」と言われる5つの理由

やりがいの大きい言語聴覚士ですが、「やめたほうがいい」という声が聞かれるのも事実です。ここでは、そのように言われる主な理由を5つ紹介します。

勉強量が多く資格取得のハードルが高い

言語聴覚士になるには、指定の養成校で3〜4年間学んだうえで国家試験に合格する必要があります。学ぶ内容は医学・心理学・言語学・音声学など多岐にわたり、さらに病院や施設での臨床実習も課されます。
国家試験の合格率は過去5年で約66〜75%で推移しており、2026年実施の第28回試験では66.4%でした。看護師国家試験の合格率が平均90%前後であることと比べると、難易度の高さがうかがえるでしょう。資格取得までに必要な時間と勉強量の多さが、「やめたほうがいい」と言われる理由のひとつです。
しかし、その分専門性の高い知識とスキルが身につき、長く現場で必要とされる人材として活躍できる点は大きな魅力といえるでしょう。

給与水準が他の医療職より低めになりやすい

言語聴覚士の全国平均年収は約444万円とされており、給与所得者全体の平均である約478万円をやや下回っています。同じ医療職で比較すると、看護師の平均年収は約520万円となっており、言語聴覚士のほうが低い水準です。
ただし、言語聴覚士の資格は1997年に誕生した比較的新しい資格で、有資格者には20〜40代の若手が多い傾向があります。経験年数に応じて年収は上がっていく傾向があるため、キャリアを重ねるほど年収は上がっていきます。また、認定言語聴覚士などの専門資格を取得したり、役職に就いたりすることで、さらなる収入アップも期待できるでしょう。

リハビリの効果が出るまでに時間がかかる

言語聴覚士が行うリハビリは、短期間で成果が出るものばかりではありません。失語症の訓練ではことばを繰り返し練習しながら少しずつ改善を目指し、嚥下障害の訓練でも安全に飲み込めるようになるまで根気強く続ける必要があります。
思うように回復が進まないと、支援する側ももどかしさを感じる場面があるでしょう。また、多くの患者を担当する場合は、一人ひとりに十分な時間を割けず、理想どおりのケアができないと悩むこともあります。こうした積み重ねが、「やめたほうがいい」と感じるきっかけになることもあるようです。
一方で、小さな回復や変化を長期的に支えられる点に大きなやりがいがあり、患者の人生に深く関われる魅力のある仕事ともいえます。

患者・家族の感情に寄り添う精神的な負担がある

言語聴覚士は、患者本人だけでなくその家族とも深く関わる仕事です。家族から回復への強い期待を向けられることがあり、それに応えようとするあまり精神的なプレッシャーを感じる場面も少なくありません。回復が思うように進まないケースでは、自分の支援方法が正しいのか自問し続けることもあります。
さらに、嚥下の支援では誤嚥性肺炎などの重大なリスクを防ぐ責任も伴うため、わずかな判断ミスが許されない緊張感のなかで働かなければなりません。患者との信頼関係を築きながら責任を背負い続ける点が、精神的な負担につながりやすいとされています。
一方で、患者や家族に寄り添いながら信頼関係を築けることは大きなやりがいにつながり、人の人生を支える実感を得られる仕事ともいえるでしょう。

理学療法士・作業療法士よりも求人数が少ない

言語聴覚士は、理学療法士や作業療法士と比べて求人数が少なく見えることがあります。専門性が高く支援対象が限られるため、病院や施設での配置人数が理学療法士や作業療法士ほど多くないことが背景にあるでしょう。地域や分野によっては、希望する職場がすぐに見つからない場合もあります。
また、言語聴覚士の資格は1997年に法制化されたのに対し、理学療法士と作業療法士は1965年と30年以上の差があり、一般的な認知度にも開きがあるのが現状です。しかし、高齢化に伴う嚥下支援や発達支援の需要は年々高まっており、言語聴覚士の活躍の場は広がっています。分野や働き方を柔軟に選ぶことで、自分に合った職場を見つけやすく、今後さらに需要の拡大が期待できる職種といえるでしょう。

それでも言語聴覚士を目指したくなる、4つの魅力

ここまで言語聴覚士の大変な面を紹介してきましたが、それでも言語聴覚士を目指す人が多いのには理由があります。ここでは、言語聴覚士ならではの魅力を4つ紹介します。

国家資格のため転職・復職に強い

言語聴覚士は国家資格であり、資格を持っている限りその専門性は全国どこでも通用します。転職や復職の際にも、一定以上の知識と技術がある証明になるため、採用する側にとっても安心材料になるでしょう。
たとえば結婚や出産でいったん仕事を離れた場合でも、資格があればブランクを経て現場に戻りやすい環境が整っています。医療系の国家資格は病院や介護施設など勤務先の選択肢が広く、地域を問わず求人が見つかりやすい点もメリットです。
ライフステージに合わせて働き方を変えながらも、専門職としてのキャリアを途切れさせずに続けていけます。長く安定して働きたい人にとって、国家資格を持っていることは大きな強みになるでしょう。

医療・福祉・教育など幅広い分野で活躍できる

言語聴覚士の活躍の場は、医療機関だけにとどまりません。主な分野と勤務先の例は以下のとおりです。

言語聴覚士の主な活躍分野

医療施設 ・大学病院
・総合病院
・リハビリテーションセンター
・診療所など
介護施設 ・介護老人保健施設
・デイケア
・訪問リハビリなど
福祉施設 ・児童発達支援センター
・放課後等デイサービスなど
教育施設 ・小中学校
・特別支援学校など
保健施設 ・保健所
・保健センター
・行政機関など

キャリアを重ねるなかで「子どもの支援に携わりたい」「高齢者のケアに力を入れたい」など、自分の関心に合わせて働く分野を変えられる点は言語聴覚士ならではの魅力です。ひとつの職場や分野にとらわれず、柔軟にキャリアを築いていける職種といえるでしょう。

専門知識とスキルが生涯役立つ

言語聴覚士は、医学・心理学・言語学・音声学など複数の学問領域にまたがる知識を身につけます。こうした幅広い専門知識は、職場や分野が変わっても長く活かし続けられるスキルです。なかでも摂食・嚥下の訓練は理学療法士や作業療法士にはない言語聴覚士ならではの専門スキルであり、高齢化が進む日本では今後ますます必要とされるでしょう。
さらに、認定言語聴覚士や呼吸ケア指導士といった上位資格を取得すれば、専門性をより深めることも可能です。学んだ知識やスキルが時代とともに価値を失うのではなく、むしろ社会のニーズに合わせて活躍の幅が広がっていく点は、言語聴覚士の強みといえます。

患者や家族の回復を間近で感じられる

言語聴覚士の仕事は、患者の変化を目の前で実感できるやりがいのある職種です。たとえば、脳梗塞の後遺症でことばが出なくなった人が少しずつ会話できるようになったり、嚥下障害で食事が難しかった人が再び口から食べられるようになったりする場面に立ち会えます。
回復の過程で患者の表情が明るくなり、前向きなことばが聞けたときの喜びは、言語聴覚士にしか味わえないものでしょう。また、リハビリを通じて患者が社会復帰を果たしたり、日常生活を取り戻したりする姿を見届けられる点も魅力です。一人ひとりの生活や気持ちに寄り添いながら、その人らしい暮らしを一緒につくっていける仕事といえます。

言語聴覚士に向いている人

言語聴覚士に興味があっても、自分に向いているかどうか不安に感じる人もいるでしょう。ここでは、言語聴覚士に向いている人の特徴を4つ紹介します。

人と関わることが好き

言語聴覚士の仕事は、患者やその家族と密に関わりながら進めます。ことばがうまく出ない患者の気持ちを表情やしぐさから読み取るなど、相手に寄り添ったコミュニケーション能力が必要です。
リハビリは長期にわたるケースも多く、患者との信頼関係があってこそ回復につながります。だからこそ、人と向き合うことを負担ではなく喜びに感じられる人は、この仕事に向いているといえるでしょう。「困っている人の力になりたい」「悩みを抱える人を支えたい」という気持ちがある人は、言語聴覚士の仕事に大きなやりがいを感じられるはずです。

観察力や忍耐力がある

言語聴覚士が支援する相手は、高齢者や幼児、後遺症に向き合う人などさまざまです。多くの人が思うように気持ちを伝えられないもどかしさを抱えているため、表情や視線、しぐさの小さな変化に気づける観察力が欠かせません。
また、リハビリはすぐに成果が出るとは限らず、改善と後退を繰り返しながら少しずつ進めていくものです。思うような結果が出ない時期でも、患者を励ましながら地道に訓練を続けられる忍耐力が求められます。一人ひとり障害の内容や目標が人それぞれ異なるため、その人に合った訓練を選び、粘り強く取り組める人は言語聴覚士に向いているでしょう。

専門知識を学ぶ意欲がある

言語聴覚士は、資格を取得したあとも新しい知識や技術を学び続ける姿勢が欠かせません。ことばや聴覚、嚥下に関わる障害は症状のあらわれ方が一人ひとり違い、決まった訓練方法だけでは対応しきれない場面も多いためです。
学会や研修に参加して最新の知見を取り入れたり、関連書籍を読んで知識を広げたりと、自発的に学び続けられる人ほど現場で成長していけます。ひとつのアプローチでうまくいかないときに別の方法を試せる柔軟さも、学びを重ねるなかで磨かれていくものです。新しい情報への興味を持ち続けられる人は、言語聴覚士として長くキャリアを積んでいけるでしょう。

チームで働くのが得意

言語聴覚士は一人で完結する仕事ではなく、医師や看護師、理学療法士などとチームで患者を支える職種です。患者の状態や訓練の経過をわかりやすく共有し、協力しながら動ける協調性が求められます。そのため、チームで何かを成し遂げるのが好きな人は、現場でも力を発揮しやすいでしょう。
ここまで向いている人の特徴を紹介しましたが、当てはまらなくても心配ありません。観察力やコミュニケーション力は、養成校での学びや現場での実践を通じて少しずつ身につけていけます。言語聴覚士として人の役に立ちたいという気持ちがあれば、必要なスキルは後からついてくるでしょう。

まずは学校のオープンキャンパスに参加してみよう

言語聴覚士に少しでも興味を持ったら、養成校のオープンキャンパスに参加してみるのがおすすめです。実際の授業を体験したり、先生や在校生に直接話を聞いたりできるため、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
埼玉福祉保育医療製菓調理専門学校の言語聴覚士科は、午前中心の3年制課程です。1日3コマのカリキュラムで、独自の「10ステップ」によりコミュニケーション力と臨床力を段階的に身につけられます。言語聴覚士の仕事をもっと知りたい人は、まずオープンキャンパスに参加してみてください。遠方の人やまずは情報を集めたい人は、資料請求から始めるのもよいでしょう。

まとめ

言語聴覚士は「やめたほうがいい」と言われることもありますが、その多くは勉強量の多さや給与面への不安が理由です。一方で、国家資格ならではの安定性や、患者の回復を間近で感じられるやりがいは、ほかの職種では得にくい魅力といえます。言語聴覚士は大変な面もあるぶん、人の役に立っている実感を持ちながら長く働ける仕事です。
言語聴覚士が自分に向いているか確かめたい方は、まずは養成校のオープンキャンパスに参加してみるのがおすすめです。授業や実習の雰囲気を体験すれば、自分に合うかどうかが判断できるでしょう。

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