2026年2月5日、調理師科にて「卒業制作発表会」が開催されました。
今年のテーマは、例年のコース料理展示やSDGsといったコンセプトから一新。「クラスで会社を設立し、2回の販売実習を通じて売上20万円を目指す」という、極めて実践的な卒業制作に挑戦しました。教員サイドはあえて最低限のアドバイスに留め、学生主体の運営を徹底しました。
クラス内には5つの部署を設置。
■店長: 全体の統括と意思決定。
■商品開発部: 利益率とクオリティを両立させたメニュー考案
■営業部: 接客フローの構築と現場指揮
■広報部: 集客のための戦略立案と宣伝活動
■経理部: コスト管理と売上分析



教職員一同、この初めての試みに「一体どうなるのか」と期待と不安が入り混じるスタートでしたが、蓋を開けてみればそこには驚くべき光景が広がっていました。
このプロジェクトの最大の収穫は、従来の調理実習だけでは見えなかった学生たちの「新たな一面」が露わになったことです。緻密な原価計算で利益を追求する経理担当、SNSやAIを駆使してターゲットを絞り込む広報担当、そしてチームの熱量を引き出す店長。クラスごとのカラーが色濃く反映された運営スタイルからは、「食」をビジネスとして多角的に捉える姿勢が感じられました。壁にぶつかり、議論を重ねる過程を経て、彼らの顔つきは一歩ずつプロの顔へと変わっていきました。
発表会当日の司会進行から運営に至るまで、すべてを学生たちの手で完結させました。自分たちで立てた計画を、自分たちの手で形にし、目標達成を目指す。このプロセスを通じて得た「自走する力」は、これから料理界という厳しい荒波に漕ぎ出す彼らにとって、何よりの武器になるはずです。単なる〝おいしい”で終わらない。食の世界の厳しさと面白さを肌で感じた今回の経験が、卒業後の彼らの飛躍を支える確かな土台となることを確信しています。

1組の店舗名は「Happy kitchen」、「HAPPY~心あたたまるもの~」をコンセプトに掲げ、お客様の心に寄り添う食の提供を目指しました。
第1回の販売実習での売上は約6万5千円。目標の20万円(2回合計)を達成するためには、2回目だけで「13万5千円以上」を売り上げる必要があるという、高いハードルが課せられました。
ここで1組が示したのは、驚異的な「修正能力」でした。学生たちは現状を冷静に分析し、2回目の目標を15万円に設定。単なる「頑張り」ではなく、論理的な裏付けに基づいた改善策を講じました。2回目の実習では、メニュー構成からオペレーションまでを大胆に見直しました。
多角的な商品展開でイートインでは、ハンバーグをメインとしたワンプレートを提供。さらにテイクアウト需要を取り込むため、チョコレート菓子を筆頭に、和菓子を含む計6種のバラエティ豊かなラインナップを用意しました。
前回の反省を活かし、混雑時でもスムーズに提供できるよう人員配置を細かく設定。一人ひとりが「自分の役割」を全うできる体制を整えました。緻密な準備と広報活動が功を奏し、客足は途絶えることなく続きました。その結果、見事15万円以上の売上を記録し、累計目標の20万円を突破する結果となりました。
数字としての成果はもちろんですが、それ以上に「課題を見つけ、チームで解決策を練り、結果に繋げる」という一連の成功体験は、1組の学生たちにとって大きな自信となりました。彼らが提供した料理とおもてなしは、コンセプト通り、お客様と自分たちの双方に「HAPPY」をもたらすものとなりました。

2組の店舗名は「Winter Magic Kitchen」、「ひと皿に心を込めて」という温かなコンセプトを掲げ、2回の販売実習で累計約33万円という売上を記録しました。1回目の実習で約12万円の売り上げがあったので、2回目に向けてさらに高いハードルを課しました。「1回で20万円を売り上げる」という野心的な目標を掲げ、クラス一丸となって戦略を練り直しました。
イートインでは、ターゲットを感謝を伝えたい家族や友人に限定。完全予約制のコース料理を提供することで、一人ひとりのお客様に対してコンセプト通り「ひと皿に心を込めた」最高のおもてなしを実現しました。この「特別感」の演出が、顧客満足度を最大化させる鍵となりました。一方で、テイクアウトでは1回目に来店したお客様からのフィードバックを徹底的に分析しました。 「もっと気軽に、すぐに食べたい」というリアルな要望に応え、今回は焼き立てのパンや、冬の寒さに嬉しいホットココアを含む6種類のラインナップを展開。「特別な時間を提供する予約制のコース料理」「気軽に楽しめるテイクアウト」この二段構えの戦略が噛み合い、当日は飛ぶような売れ行きを見せました。結果、2回目のみで目標の20万円を突破。累計売上は約33万円に達し、当初の目標を大幅に上回る大成功を収めました。

自分たちの料理が「いくらの価値を生むのか」をシビアに追求し、かつお客様の要望に応える柔軟性を見せた2組。数字に裏打ちされたこの自信は、彼らがプロの現場に立った際、困難を突破する大きな原動力となるでしょう。
