介護福祉⼠の年収・給料について

〈本当に介護福祉士の給料は安いのか?!〉
これから介護のお仕事しようと思っている方、専門学校で介護を学んでみようかと考えている方、「介護福祉士になっても給料が安いんじゃ・・」と心配になっていませんか?
3K+低賃金のイメージが未だ払しょくできない介護業界のお給料について、実体験をもとに解説します。
ぜひ、今後のお仕事&進学の参考にしてみてください。

【INDEX】
■介護福祉士の平均給与について
■介護福祉士として給料を上げるには
■まとめ:本当に介護福祉士の給料は安いのか?!

****************この記事を書いた人****************


社会福祉法人めぐみ会 障害者支援施設かしの木ケアセンター 副施設長
介護福祉士 大川空湖
【経歴】
普通科高校の進路指導の先生に介護の仕事について教えられ興味を持つ。2001年埼玉県三芳町の社会福祉法人めぐみ会に介護職員として入職。9年間介護職として障害者支援に従事したのち、グループホーム、通所生活介護の事業所立ち上げと事業所のマネジメントに携わる。2014年障害者支援施設かしの木ケアセンター副施設長に着任。現在は法人本部事務長、相談支援センターかしの木管理者を兼任。
【資格】
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員
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介護福祉士の平均給与について

私が介護職員として働き始めた時、高卒・無資格の基本給は129,000円でした。実家ぐらしの私は生活に困ることはありませんでしたが、一人暮らしがしたくてもなかなかできない、と悩んだこと今でも覚えています。現在私の所属する社会福祉法人めぐみ会では、高卒・無資格者の初任給は221,000円(基本給)と、当時に比べると初任給はおおよそ200%もアップしています。こうした実態は、めぐみ会に限ったことではありません。「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員等特定処遇改善加算及び介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所における、介護職員の平均給与(月額)は、336,000円という調査結果が示されています。他の産業に比べてもイメージにあるような極端に低い給与水準でないことが分かると思います。

介護福祉士として給料を上げるには

介護職員等処遇改善加算を取得している事業所を選ぶ

介護職員の処遇改善(賃金UP)のための国の政策に「介護職員等処遇改善加算(新加算)」があります。平成24年度に介護職員処遇改善加算、令和元年に介護職員等特定処遇改善加算、令和4年に介護職員等ベースアップ等支援加算が創設されていますが、令和6年度の報酬改定においてこれらの加算が一本化され、介護職員等処遇改善加算が創設されました。

「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、令和4年12月31日時点で介護職員等ベースアップ等支援加算の届け出を行った事業所は91.3%(n=6,861)に上っています。新加算では事業所の負担軽減が図られていることから、今後より多くの事業所が加算を取得できるのでは、と期待されます。加算の取得要件に処遇改善の見える化が規定されており、自社ホームページのほか、独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・保険・医療の総合情報サイト「WAMNET(ワムネット)」でも検索が可能ですので、ぜひ参考にしてみてください。

夜勤のある事業所を選ぶ


夜勤のある事業所では夜勤1回につき所定の額が手当として支給されます。夜勤の回数によって給料アップが可能ですので、夜勤の手当額にも注目して事業所選びをするのもいいかもしれません。
夜勤のある事業所を選んでほしい理由は給料アップだけではありません。ご利用者の生活をトータルでケアする入所型の施設のお仕事では、数年で高い知識や技術を身に着けることができます。研修制度が充実している事業所も多く、専門学校等を卒業した新卒者の進路としても非常におすすめです。私自身も入所型の施設での経験が、その後の礎となっていると自覚しています。

管理職を目指す


厚生労働省がおこなった令和5年賃金構造基本統計調査によれば、「役職別にみた賃金(男女計)」(統計を基にした介護職に限らない全産業の平均)で、非役職者:291.1万円、係長級:370.8万円、課長級:490.8万円、部長級:596.0万円と、部長級では非役職者に比べ204%もアップしていることが分かります。給料アップを目指す方は、積極的に管理職を目指したいものです。
一方、近年は管理職になることを希望しない人が増えています。労働政策研究・研究機構がおこなった「多様な働きかたの進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(2018)」によると、「現在の勤め先企業で、今後とも働き続けるとした場合、どこまで昇進したいと思っていますか」との質問に対し、医療・福祉関係専門職(n:295)による回答では、「管理職に昇進したいと思わない」が72.5%、「管理職以上に昇進したい」が25.8%であるという結果が示されています。
また、「管理職を望まない理由」で「責任が重くなる」が69.3%、「やるべき仕事が増え、長時間労働になる」が64.4%、「現在の職務内容で働き続けたい」が55.8%となっています。

管理職になることのメリットは、給料アップにつながるほか次のような意義があると私は考えています。

私たち介護福祉士の専門職としての倫理的責任と行動規範について、日本介護福祉士会の倫理綱領では「(後進の育成)介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます」と示しています。そもそも介護福祉士には、管理職にならずとも教育水準の向上と後継者の育成を行う責任があるのです。私は10年以上にわたり管理職としてお仕事をしてきましたが、どうすればより良い介護を後輩たちに伝えられるか、世界に誇る日本式介護を伝えられる人材を育成するには何が必要か、と考え仕事をすることにやりがいを感じています。管理職は、給料が上がる、という実益以上に、「責任ややるべきことの増加」の裏側にある“介護福祉士としてのさらなるやりがい”を与えてくれる役割であると思っています。

まとめ:本当に介護福祉士の給料は安いのか?!

本当に介護福祉士の給料は安いのか?!をテーマにお伝えをしてきましたが、最後に今は昔「介護の3K」を払拭する“私の”介護の新3Kについてご説明します。


私たちの「働く」ことの満足度は、給料とやりがいのバランスに見出すことができます。給料が高くてもただ辛いだけでやりがいを感じられない仕事も、やりがいがあっても給料が低く生活ができない仕事も長く続けることができません。介護の仕事は「稼げて(kasegeru)」「かっこいい(kakkoii)」「価値ある(kathiaru」仕事であり、給料とやりがいのバランスの取れたお仕事の1つであると言えます。ここまで解説した処遇改善への制度的な変遷や、働き方の工夫によって介護は「稼げる仕事」へと変化しています。さらに、日本の介護は世界に誇る産業へ成長し、AIやDXが豊富に取り入れられたかっこいい仕事へ進化を遂げています。外国人人材が活躍を始めた介護業界では、福祉×海外事業も盛んにおこなわれるようになってきました。そして元来、高齢・障害などにより生活が困難な方たちの一番身近な存在として、感謝や感動を感じることができる福祉業界は、何より価値のある働き方のできるお仕事と言えます。

これから介護の仕事をはじめようか、介護福祉士を目指そうかと迷っているみなさん、いかがでしたでしょうか?
まだまだ不安な方には、専門学校への進学がおすすめです。介護福祉士の専門学校では介護の基礎学習から専門的学習に加え、実習をはじめとする体験の機会が豊富にあり、介護福祉士としての知識・技術・マインドを身につけさせてくれる最適の場所です。まずは専門学校の門をたたいてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました!

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