言語聴覚士の仕事

「話す・聞く・食べる」の
スペシャリスト

話す、聞く、表現する、食べる・・・。誰でもごく自然に行っていることが、病気や事故や加齢などで不自由になることがあります。また、生まれつきの障害で困っている方もいらっしゃいます。
こうしたコミュニケーションや飲み込みに問題がある方を支援し、自分らしい生活を送って頂けるよう支援するのが言語聴覚士です。

どんな方を対象にするの?

  • 小児

    • 発達障害(自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害、学習障害、言語発達障害など)
    • 吃音
    • 聴覚障害
    • 摂食嚥下障害
    • 構音障害
  • 成人

    • 失語症
    • 高次脳機能障害
    • 認知症
    • 音声障害
    • 摂食嚥下障害
    • 構音障害

どこで働くの?

医療

  • 医師や看護師やリハビリスタッフと連携しながら、病気を発症されたばかりの急性期の方や病状が落ち着き回復の著しい回復期の方々に対して、機能回復や社会復帰に向けたリハビリを提供します。
  • 【働く場所】

    • 病院
    • クリニック
    • リハビリテーションセンター

福祉・保健

  • 介護専門職や介護支援専門員や栄養士などと連携を図りながら、病状が安定し生活を拡げていく生活期の方々に対し、機能の維持回復や自宅で安全に生活できるためのリハビリやQOLを向上させるリハビリを行います。小児の施設では保育士とも連携を図り、コミュニケーションや摂食嚥下の専門的な訓練を提供します。
  • 【働く場所】

    • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
    • デイサービス(通所介護事業所)
    • 心身障害者福祉センター
    • 肢体不自由児施設
    • 重症心身障害児(者)施設
    • 介護老人保健施設
    • デイケアセンター(通所リハビリテーション事業所)

在宅

  • 様々な事情で外出が難しい方の自宅を訪問しリハビリを行います。家庭でできる活動を見出したり、その方に合った社会参加を段階的に支援します。
  • 【働く場所】

    • 訪問リハビリテーション事業所
    • 訪問看護ステーション

教育

  • 通級指導教室は教員免許が必要になりますが、特別支援学級や特別支援学校は外部専門家などとして勤務しています。教員と連携を図りながら学校生活を豊かにする支援をします。
  • 【働く場所】

    • 通級指導教室(ことばの教室・きこえの教室)
    • 特別支援学級
    • 特別支援学校

疑問を解決!
言語聴覚士のQ&A

言語聴覚士に向いているのはどんな人?

人の役に立ちたい方

言語障害のある方は、病気やケガで突然言葉が話せなくなってしまい、相当な絶望感やストレスを抱えています。また、言葉や発達に遅れのあるお子さんのご両親は、今後について困惑されていたり落ち込んでいることがあります。それらを受け止め、障がいのある方々のお役に立ちたい気持ちが大切です。

相手の立場や気持ちを理解できる方

言語聴覚士は、言葉だけでは上手く伝えられない方々を支援していきます。相手のこれまでのご職業や生活やご性格などを踏まえ、どんなことを言いたいのか想像していける力が必要になります。

コミュニケーションが好きな方

言語聴覚士は言語障害のある方から言葉を引き出していきます。自分からお話することが好きなだけでなく、人のお話を聞くことが好きな方が向いているでしょう。子どもや高齢者との関わりを楽しめることや、関連する多職種と協調してコミュニケーションができることも大切になります。

新しい知識や情報をキャッチできる方

医学やリハビリの分野は、日々研究が進み新しい知識が生み出されていたり、新たなネットワーク作りが進められています。また、医療保険や介護保険や児童福祉に関する法律も数年毎に改定され、それに合わせた対応が求められていきます。新しい知識や情報をキャッチし続けられる方は適性があるでしょう。

根気のある方

言語障害は数ヶ月・数年単位で長期的に改善してくることが多いので、長期的な支援が求められます。少しずつ良くなっていくということは、ご本人様やご家族様の生きる希望になります。つまり、希望を与え続けられる仕事です。ご本人様に合った方法や教材を工夫し、やる気を引き出しながら、根気強く支援していく力が必要になります。

言語聴覚士の学校に入学する前にやっておくと良いことは?

言葉が理解できない・話せない言語障害の方に、分かりやすく短い言葉がけをしたり、言葉という見えない障害の症状をご家族などに分かりやすく説明する力が必要になります。このため国語力は重要です。また、生物や保健体育の体に関わる勉強も、解剖学・生理学といった授業に役立ちます。

言語聴覚士はどのくらいいるの?

1997年に言語聴覚士法が制定され、1999年から毎年1500〜2000人が国家資格を取得しており、2018年には3万人を超えました。しかし、リハビリテーション専門職である理学療法士は約16万人、作業療法士は約9万人であり、まだまだ少ない現状にあります。

言語聴覚士 人数の累計

言語聴覚士 人数の累計

言語聴覚士の需要は?

言語聴覚士という仕事が世の中にあまり知られていない反面、社会にとても求められています。次のような様々な社会背景によって言語聴覚士の需要や活躍の場が増えています。

超高齢社会

日本は高齢化が深刻に進んでいます。2065年には、75歳以上が人口の25.5%を占め、平均寿命は男性85.0歳女性91.4歳へ延長することが推計されています。高齢化に伴い、認知症によるコミュニケーション障害や、加齢による摂食嚥下障害や、麻痺や失語症や構音障害など後遺症を抱えたまま生活する高齢者が増加しています。また、高齢者が高齢者を介護しなくてはいけない老老介護という状況にも直面しています。このような背景の中、高齢者のコミュニケーション障害や摂食嚥下障害を支援する言語聴覚士の必要性は年々高まっています。

地域包括ケアシステムの構築

超高齢社会を受け、厚生労働省では「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けられるよう、地域単位での支援・サービス提供を整備しています。重度の要介護状態の方から、軽度の介護予防を主とする方に対し、生活の維持や社会参加を目標とする様々なサービスや事業が行われています。言語聴覚士も地域包括ケアシステムを支える大事な一員です。

救急医療の高度化

医療の進歩に伴い、救命医療も高度化し、医療的ケアを必要とする子どもや重度の後遺症を抱えた高齢者が増加しています。食物を全く食べられない重度の摂食嚥下障害や、話し言葉でのコミュニケーションは難しい重度の言語障害の方々への支援の必要性はとても高いと言えます。また、外出が困難で医療機関にかかることも難しい場合は、訪問リハビリテーションの活用が求められています。

支援の必要な子どもの増加

自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害、学習障害などといった発達障害をお持ちの子どもや大人が増加しています。小さい頃は「言葉が遅い」「発音が曖昧」などの言葉に問題のある場合が目立ちます。一方、医療的ケアが必要な子どもたちも前述のような背景によって増えています。病院・クリニック、施設、通所・通園、在宅、学校など、様々な場で言語聴覚士の需要は年々高まっています。

言語聴覚士のキャリアアップは?

認定士の取得

複数の分野の認定士が設けられており、取得することで高度の専門性を身につけていることの証明になり、その分野の指導を任されることなどがあります。規定の経験を積んだ後、言語聴覚士協会や関連学会が開催しているプログラムを受講し、試験に合格すると認定士になることができます。

Wライセンスの取得

言語聴覚士の資格を有し所定の経験を積むことで介護支援専門員や相談支援専門員になるための要件を満たすことができます。その他、手話通訳士などの民間資格を取得したり、更に別の国家資格を取得するために専門学校等へ入学する場合もあります。Wライセンスを取得することで、任される仕事の幅が広がり、役職につながることもあります。

Wライセンスの取得

結婚、出産、育児

結婚や育児なども、人生におけるキャリアアップの一つと考えられます。子どもが小さい頃は産休育休などを活用したり非常勤として働き、その後正職員として復帰すると、保護者対応が上手にできるようになり、育児経験を活かして後輩指導を任されることなどもあります。

  • 子育てしながら、働きたい!
  • 育休→時短→復帰

これからはどんな言語聴覚士が求められるの?

これからは、医療職である医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士・栄養士などの連携はもちろんのこと、障害のある方が住み慣れた地域で生活を続けられるために医療と福祉の多職種連携が必須になります。例えば、高齢者施設や在宅では、介護福祉士や介護支援専門員や地域包括支援センターなどの職員、小児の分野では、保育士や相談支援専門員などとの連携です。
これからは、医療と福祉を学び、幅広い多職種連携能力のある言語聴覚士が求められるでしょう。

どんな言語聴覚士が求められるの?

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