埼玉福祉における留学生と日本人学生の交流 ー ~関わりから始まる意識の変化~ ー

年度 2017
学科 社会福祉士科

1. はじめに

 私たちは、昨年度の留学生に関する卒業研究を聞き、日本で暮らす外国人の支援に興味を持ち始めた。研究をするにあたり「日本で暮らす外国人」では規模が大きく研究対象としては範囲が広すぎると考えたため、身近な存在である埼玉福祉・保育専門学校の留学生を対象として研究を始めた。

2. 現状把握

 まず私たちは「留学生は日本の生活に困っていて、助けを必要としている」と仮定し研究を始めた。先生に話を聞いたところ、埼玉福祉・保育専門学校の介護福祉士科・保育士科に留学生が在籍していることを知った。調査への協力をお願いしたところ介護福祉士科1年生の留学生3人に協力を頂けることになり、大宮のお祭りに参加することで交流を図った。交流を通して各国の福祉の現状や学校生活、日本での生活に対する思いについて情報交換を行い、現状の把握をすることができた。実際に関わってみたところ、介護福祉士科の留学生は生活に対する不安や悩みを自分なりに解決していることを知った。
 この交流を通して私たちは、「留学生は、日本の生活に困っていて、助けを必要としている」という先入観をもっていることを自覚したと共に、留学生と私達の間には認識のずれがあることを知った。その理由として、私たちのグループ全員が留学生と関わりの機会が無かったことが原因のひとつとして挙げられると考えた。よって、留学生と関わる機会をつくり実際に交流することで、日本人学生の留学生に対する意識にも変化が見られるのではないかと考え、研究を進めることにした。

3. 仮説

 以上の現状把握をふまえ、私たちの班は二つの仮説を立てた。
(1)私達が留学生と関わりがなかったことで留学生に対して先入観を持ってしまっていたのと同様に、留学生と関わりのない学生も留学生に対して先入観を持っているのではないか
(2)交流会を行い留学生と関わる機会を持つことで、先入観を取り払うことが出来るのではないか。

4. 研究方法

① 留学生に対する意識についてのアンケートを実施

《アンケート対象者》
 介護福祉士科1・2年生(留学生含む)、社会福祉士科1・2・3年生

《アンケート内容》
・今まで留学生と関わった事があるか
はい と答えた方→留学生との関わりを通してどのように感じたか
いいえと答えた方→留学生と関わることについてどう感じるか

② 留学生と日本人学生の交流会

 社会福祉士科3年生の『留学生と関わったことのない方』を中心に、留学生1人に対し日本人学生3~4人の割合でフリートーク形式のグループワークを3回行う。
実際に関わることで意識に変化が見られるのか実証を行う。

③ 交流会を行った学生に対し、再度同じアンケートを行う

《アンケート内容》
・実際に留学生と関わり、どう感じたか
・留学生と関わって、意識的な変化はあったか

5. 研究結果

 上記の内容をふまえ、実際に交流会を行うことで留学生に対する意識にどのような変化がみられるか、実際に留学生と交流会を行った。
 交流会は、留学生1人に対し日本人学生3~4人の割合で3度行い、フリートーク形式でグループワークを行った。

 ②の交流会後アンケートを行い、意識の変化が見られるか調査した
また、②で実際に留学生と交流を行った日本人学生から、交流会を通してどのように感じたのか、またどんな印象を持ったのかアンケートを行った。

交流会やアンケート内容を通して、実際に交流会という機会を作ることで意識に変化がみられることが分かった。

6. 考察

 交流会の中では、日本人学生側に留学生の母国への関心が見られた。また、留学生の母国の料理や福祉・文化の話題では、留学生が主体的になって話せる場面が増えコミュニケーションが活発になっているように見えた。
 また、学校生活や卒業研究、就職活動など共通の話題を通して、思っていたよりも留学生は身近な存在だと日本人学生に気がついてもらうことができた。
 留学生との関わりの機会を設けることは、先入観を取り払い上記に挙げた意識の変化を起こすことに繋がると考える。

7. まとめ

 今回の研究を通して、留学生を交えて交流する場が増えることで、留学生・日本人学生が共に視野を広げる事が出来たと感じる。しかしそれは留学生に限ったことではない。関わる機会を作りお互いを知ることは、先入観を取り払うことに繫がるのではないだろうかと考える。今後、学校にそのような関わりを持てる機会を設けることを提案していきたい。

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