地域の高齢者の不安や課題 ー ~団地で生活する介護保険サービスを利用していない高齢者の悩みや不安をアクティブな活動を通して解決する~ ー

年度 2017
学科 社会福祉士科

はじめに

 私たちは今までの実習を通じて施設に入所している高齢者について深く学んできた。しかし在宅で生活している、特に健康な高齢者については、今まで学ぶ機会が少なく具体的にどんな心配があるのか知らなかったため今回、地域に住んでいる健康な高齢者がどんな不安悩みを日頃持っているのか、その解決のために私たちに何が出来るのか知りたいと思い当テーマについて研究したいと思った。

現状把握

 現在の日本では、65歳以上の高齢者のいる世帯は、2,242万世帯と、全世帯の44.7%を占めている。国は、一人暮らし高齢者の増加に伴い、安全安心の確保、孤立化の防止、地域活動の活性化によるコミュニティの再構築を行っている

一人暮らし高齢者の生活上の心配ごとや困りごと等を始めとした意識について取り上げる。「日常生活の不安」についてみると、健康や病気のこと(58.9%)とする人が最も多く、次いで、寝たきりや身体が不自由になり介護が必要となる状態になること(42.6%)、一人暮らし高齢者のリスクとして指摘されている「介護」、「社会的孤立」、「貧困」に関連した不安が挙げられている。

仮説

 現状把握から、健康状態が大きな不安であることが分かる、多くの一人暮らしの高齢者にあっては、日常生活の中で病気や介護が必要な状態になることなどに不安を感じるとしており、これらの不安要因を軽減し安全で安心な暮らしを営むことが必要だと考えた。そのためには、地域住民の相互的な関わりが大切となり、サロンなど『住民が気軽に集える場』での継続的な健康づくりが大事だと考えた。

研究内容

 私たちは、URが直営する狭山台団地内ある、ほっとサロン[けやき]を利用している高齢者を対象に不安に対してのアンケートを取った。また、4回の訪問を行い会話を通してニーズを聞き出した。
人数:30人
対象:ほっとサロン「けやき」利用者
年齢:20歳以下:1人 20~65歳:1人 65歳以上:21人 無記入:7人
期間:8/10~8/24(2回訪問)

このアンケートの結果から、図1と同じように、当団地でも健康面に対しての不安を持っている人が多いことがわかり、継続的な健康づくりをするために、サロン内で交流会を含めた体操を行うことにした。K施設で行っている、地域の方に向けた介護予防の体操を教えていただき、当サロンで実施することにした。実施するにあたり今後も高齢者の方が笑顔で生活を続けられるよう「にこにこ体操」と名付けた。

体操内容
①ラジオ体操
②ストレッチ
③パワーアップ体操(筋トレや日常生活動作を使った運動)
→体操後アンケート実施

研究結果

11/21(火)ほっとサロン「けやき」内にて体操を実施
人数:約15人
年齢:65歳以上

考察

 研究の結果、参加者の満足度が高く今回のにこにこ体操は好評だったと感じた。事前のアンケートで不安を聞き出し、参加者のニーズに合った企画を実施したことが成功に繋がったのではないかと考えられる。「一人だとやる気がでない」「皆でやるから楽しい」という意見もあり、仮説で述べたように地域住民の相互的な関わりが健康に対する意識を高め、健康に対する不安軽減になるのではないかと考える。引継ぎについては、サロンやURの方と検討中である。

まとめ

 今回研究を進める中で、利用者のニーズを把握し、ニーズに添った支援を展開することで対象者の満足度に繫がると考えられる。そのためにもフォーマルとインフォーマルな資源の双方のメリットを活かした地域福祉を推進させていくことが大切だと考えられる。その他、その人にあったコミュニケーションで関係性を築き、会話の中からニーズを引き出すことが大切だと改めて感じた。今回私たちが行った、ニーズ把握からイベント実施までの過程は、ソーシャルワークにおいても大切なことだと考えられる。今後私たちがソーシャルワーカーになり相談援助を展開する際にも今回学んだ経験を活かすことができると確信した。

参考文献

内閣府 一人暮らし高齢者に対する意識調査平成26年度※対象は65歳以上の一人暮らしの男女

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