バイキングを導入している高齢者施設の取り組みと工夫について~自己決定・自己選択という視点から~

年度 2016
学科 介護福祉士科

1.はじめに

私達は、高齢者施設の実習を通じて、食事の場面では配膳された食事を食べるのが当たり前の光景として見てきた。一方で、介護福祉士養成課程の2年間の学びの中ではレクリエーション、入浴、衣服を選ぶ時などに一人一人の思いや希望をうかがい、利用者自身の自己決定・自己選択をもとに個別的にケアをする視点を学んできた。実際に、3回の実習の際にもこれらの視点を職員の方のケアから学び、利用者に対する日常的な声かけや介護計画の立案の際に意識して取り組み、実践してきた。
しかし、食事の場面では、召し上がる順番やタイミングについては介助の際に伺うことはあるものの、メニューそのものを自己決定・自己選択をする機会が少ないことに気づいた。
その中で私達は、食事の提供場面でバイキングを取り入れている高齢者施設があることを知り、バイキングなら利用者の自己決定・自己選択の機会が増えるのではないかと考えるようになった。しかし、クラスメイトにヒヤリングしたところ実習でバイキングの食事を経験した学生は少なく、インターネットでも埼玉県内で取り組んでいる施設は少ないことが分かった。
そこで、本研究では、食事の提供場面にバイキングを導入している施設の取り組みを調べ、その効果や課題を明らかにしていきたいと考えた。

2.仮説

バイキングを導入している施設におけるメリットや課題、工夫点を明らかにすることで、食事場面での利用者の満足度が向上するヒントが得られるのではないか。

3.研究方法

施設での食事にバイキングを導入している3施設を選定し、見学・インタビュー・フィールドワークを実施した。

① 対象施設
介護老人保健施設 S施設 介護老人保健施設 M施設
デイサービスセンターY施設 (見学のみ)

② 訪問日
平成28年8月17日・平成28年8月28日
平成28年10月9日
平成28年10月29日

③ 研究手順
1.研究対象施設に連絡し、目的や方法を説明して同意を得る。
2.研究対象施設宛に研究依頼書を送付し、研究対象施設で働いている介護職の方や栄養士の方や利用者に研究協力の依頼をする。
3.研究対象施設に行きバイキングの様子を見学させて頂くとともに介護職の方・栄養士の方・利用者にバイキングについてのインタビューを行う。

4.研究結果

4-1.バイキング形式の食事におけるメリット

4-2.バイキング形式の食事における課題と工夫点

②施設における課題及び工夫点
施設における課題
身体が不自由な人にとっての負担の軽減雰囲気作り
メニューの見易さ効率の悪さの改善
食事制限のある利用者への対応

工夫点
全職員でバイキングの準備
目の前で職員の方が調理する。
ソフト食を施設なりにアレンジしておいしく摂取してもらう和、洋、中のバイキングがある
ランチマットを敷く
中華料理の際には職員がチャイナ服を着て雰囲気作りを行っている
食事を取りに行く際は、男女に分かれていて、混雑してきたら3列に並ぶ

5.考察

3施設での見学やインタビューを経て、バイキングでは、身体的に不自由がある人にとっては自 分で取りに行くということで身体に負担があるという意見が出たが、それでも種類の豊富な食事を 選択する事のできる方が良いという意見が多い結果となった。また実施にあたって、それぞれの施 設が食事の楽しみを演出する為に雰囲気作り・嚥下状態の効率化や食事制限等の個別的な対応など、様々な工夫をしていることが分かった。
これらの工夫を発信し、共有していくことで、食事場面での利用者の食事に対する満足度を向上する一つの手段として、バイキングを導入する施設が増えるのではないかと考えた。

6.まとめ

今回、バイキングを導入することが利用者の自己決定・自己選択の機会となり満足度が向上するのではないかと考え研究を始めた。実際に施設を見学したところ利用者同士で待ち時間に楽しそうに笑顔でコミュニケーションを図っていて生き生きしている様子が印象的だった。
食事のメニューを提供する場面において、利用者の自己決定・自己選択を尊重したケアを行う上でバイキングは一つの手段であり、他にもメニュー作りに利用者も参加すること、一緒に買い物や調理をすることなどが考えられる。これから団塊世代が 75 歳以上になり、一人一人の思いや考えに対応できるケアをしていくことがさらに求められる中、私達介護福祉士はさらに個別ケアの機会を作り、利用者の満足度向上を目指していくことが必要である。その為にも卒業後は、他の施設の取り組みから学ぶ姿勢を持つとともに、自分たちが取り組んでいるケアを発信し共有していくことに取り組んでいきたい。

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