遊びを通して知的障害をもつ方とコミュニケーションをとるには

年度 2016
学科 こども福祉科

1. はじめに

私たちは三年間幼稚園、保育園での部分実習や責任実習など、さまざまな実習を経験するなか で絵本、紙芝居の読み聞かせや手遊びで子どもが興味を示し感想を伝えるなどの反応が見られた。また、実習中に自分たちが提案した遊びを行うことで喜怒哀楽の感情を共有でき、子どもの性格 や好みを知ることが出来た。そのことから興味関心を持つことや相手の性格、好みを知ることは 円滑なコミュニケーションをとる上で必要不可欠であると考えた。しかし、実習先の中には障害 児(知的障害)の方もいたが、一人でいることや集団に馴染めていないことが見られた。そこで私 たちは遊びを一緒に行うことで障害のある児童ともコミュニケーションをとり易くなるのではないかと思い研究することにした。

2. 現状把握

(1) コミュニケーションについて実習や文献から学んだこと
① 私たちの考えるコミュニケーションとは
・感情や思考、意志を共有する
・文字や言葉を使わなくても身振り手振りを使って表現する
② 実習で学んだコミュニケーションのとり方
・天気や朝ごはんなど何気ない日常会話から話を広げる
・身振り手振りを使う
・笑顔や感情豊かな表情で接する
・利用者の障害に合わせて筆談やマカトン法などを活用し意志伝達をする
③ コミュニケーションの種類(「コミュニケーション・マナーの基本」より)
一般にコミュニケーションとは言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションに分けられる。

<言語コミュニケーション>
・話す
・聞く
・書く
・読む

<非言語コミュニケーション>
・顔の表情
・アイコンタクト
・身振り手振り
・対人的空間(空間、位置、距離)

(2) 知的障害についてインターネットで調べたこと
① 知的障害の特徴
知的障害は発達期までに生じた知的機能の障害によって、認知に対する能力(理解力・判断力・思考や記憶力・知覚など)の発達が全体的に遅れた状態でとどまってしまっていることを言う。
知的障害の特徴としては、理解力・表現力に乏しい、記憶の容量が少ない、注意するとパニックになるなどがある。
② 知的障害をもつ方との有効な接し方
・分かりやすく伝える
・自信をつけさせる
・適切なポイントで褒めてあげる
・曖昧な表現は使用しない
つまり、コミュニケーションにおいては非言語コミュニケーションが重要である。知的障害の特徴を学んだうえで、非言語コミュニケーションを重視した遊びを行うことでコミュニケーションがとり易くなると考える。

3. 仮説

障害をもつ方々と身近にあるものを使い理解のし易い遊びを行うことで感情や思考、意志を伝達し合うことが出来るのではないだろうか。

4. 研究方法

(1) 研究内容
施設にいる利用者、職員と理解しやすい遊び(個人主体:的当て、集団主体:爆弾ゲーム) をする。そして、ゲームを取り組む様子を観察、職員に意見を聞く。また、コミュニケーションの手段が確立している障害者の方と手段が確立していない障害児も同じ内容を行うこ とで障害のある方とのコミュニケーションの方法として有効であるか検証する。最後に職員の方にアンケートをとり、学生の意見をまとめる。
(2) 検証方法
以下の様子をコミュニケーションがとれているとする。
・ゲームに参加しているか
・リアクション(笑顔、発声、動きなど)
(3) 研究対象、人数
A 障害者施設 対象:大人 20 名
B 障害者施設 対象:大人 23 名
C 放課後デイサービス 対象:児童 2 名

【検証手順】的当てゲーム
① 椅子や床に的を立てる。
※学生は「一緒にやりませんか?」「上手ですね!」「どれに当てますか?」などの声掛けをする。
※ゲームを開始したと分かり易くするために音楽を流す。
② 利用者は的の前の椅子に座る。
③ 学生からボールを貰い的に当てる。

爆弾ゲーム
① 利用者は円になり椅子に座る。
② 利用者にボールを渡し学生が曲を流す。
③ ボールを右にいる利用者に渡す。
※学生は「ボールきましたよ」「こちらに渡してください」「順番来ましたよ」などの声掛けをする。
④ 曲が止まったらボールを渡すのを止める。
⑤ 曲が止まったときにボールを持っていた利用者に質問をする。質問内容(好きな食べ物、色、キャラクター、歌や誕生日など)
⑥ 繰り返す。

5. 検証結果

6. 考察

フィールドワークとアンケートの結果から、コミュニケーションの手段が確立している障害者の方も確立していない障害児も同じような結果となった。コミュニケーションを意識した遊びを一緒に行うことで、障害のある方や児童ともコミュニケーションをとり易くなると言える。
ただ、フィールドワークを行ってみて的当ては個人主体のゲーム、爆弾ゲームは集団主体のゲームであるためゲームごとに利用者の動きや反応(得意不得意、好みなど)に差が見えた。個人主 体のゲームと集団主体のゲームではコミュニケーションのとり方も変わってくる。今後一人ひとりの不得意や好みに合わせて行うという課題が残るフィールドワークとなった。
このことからも障害をもつ方や児童と身近にあるものを使い理解のし易い遊びを行うことで感情や思考、意志を伝達し合うことが出来る結果だった。

7. まとめ

今回の研究では障害を持つ方々と身近にあるものを使い、理解のし易い遊びを行うことで感情 や思考、意志を伝達し合うことができ、コミュニケーションがとり易くなると知ることが出来た。フィールドワーク中では、遊びをとおしてコミュニケーションがとり易くなることがわかったが、個人主体と集団主体のゲームによってコミュニケーションのとり方が違うのではないかという課題が残った。
今後保育園や幼稚園、福祉施設で働く際には障害のある方や児童と関わるときに好みや得意不得意をより知った上で、利用者の苦手なことも少しでも興味を持ってもらえるような関わりや活動を取り入れることで、今回の研究よりもよりよいコミュニケーションがとれるのではないかと考えた。
この研究で学んだことや気付いたことを元に、現場に出たときによりよいコミュニケーションを図ることで、より障害のある方や児童たちが安心して自分の力を発揮できる環境を整えていきたい。

参考文献
・コミュニケーション・マナーの基本 大竹榮 監修 出版社 株式会社太洋社 2005 年発行
・知的障害とは - 特徴や接し方|LITALICO ジュニア-発達障害・学習障害の子供への教育・支援https://junior.litalico.jp/personality/hattatsu/chiteki/
・自閉症と知的障害の特徴、言葉の違い! http://自閉症障害.jp/508.html

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