実習生の絵本選び
年度 | 2016 |
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学科 | 保育士科 夜間主コース |
1.はじめに
保育所・幼稚園等の子どもが関わる施設には、必ず絵本が置かれています。私たちは実習を通して、これまで何度も読み聞かせを行ってきました。主活動の導入、午睡前、帰りの会など様々な場面で絵本が使われています。絵本を選ぶ際にどんな絵本を読んだら良いか迷ったり、子どもがどんな反応をするのか、不安に思ったこともありました。そこで私たちの絵本選びに、保育経験の有無は関係あるのかなど、どの様な傾向があるのかを詳細にアンケートを行うことにしました。その結果から、絵本選びに対しての不安を考察し、今後の実習生や私達が保育者になった時の絵本選びの参考にしようと考えました。
2.現状把握
<はじめに>でも述べたように、子どもの頃から身近にある【絵本】は、絵を見ることで想像力を膨らませたり、くり返しの言葉を聞くことで語彙力が高まります。幼児からは、より文章を理解出来るようになるので集中力・思考力が身につきます。さらに年齢が上がってくると登場人物の気持ちと自分の気持ちを重ねるようになり、その中で愛情や思いやりや好奇心が生まれます。このように、子どもへの読み聞かせは自然に心を育てることが可能です。
絵本に関するエピソードについてクラス内で聞いてみました。すると、乳幼時期に印象に残った絵本をはっきりと覚えている人から、全く覚えていない人など様々な意見がありました。その違いによって絵本への興味関心の度合いも変わってくるという事が見えてきました。そのような環境の中で絵本選びに迷いが生じるのは必然ともいえます。
3.仮説
絵本選びに自信を持つには保育経験が必要なのではないか
4.研究方法
○アンケートの実施
対象
埼玉福祉専門学校
こども福祉科 Ⅰ部 2 年 27 名 、3 年 42 名
こども福祉科 Ⅱ部 2 年 39 名 、3 年 45 名
○公益社団法人 全国学校図書館協議会の推薦する図書について調べ、傾向を把握する。
5.研究結果
6.考察
アンケート結果より、絵本選びに困るかどうかについては、本校の2年生は60%、3年生では63%に増加した。この事は。二年次には漠然としていた不安が、実習を経験することにより、「子 どもの反応が良くなかった」など明確に意識するようになってきた為と考える。つまり不安が増え てきた事がマイナス要素になるのではなく、不安を解決する為の手段になるのではないかと考えた。
これを踏まえ、子どもと接する機会があり絵本選びに困った人に着目してみると、2年生では38%、3年生では28%に減少していた。また、子どもと接する機会がない人に着目すると、2年生では23%、3年生では35%に増加していた。
このことから、絵本選びには子どもと接し、絵本を実際に読む機会が必要であると考える。しかし、実際に子どもと接する機会がなくとも迷わないと言う意見も2、3年ともに15~17%あり、困っていない人の意見を分析してみると、絵本に書いてある対象年齢を参考にするなど、明確な指標があった。
7.まとめ
私たちは、「絵本選びに自信を持つには子どもと接する機会が必要なのではないか」と仮説し、アンケート調査を進めていくと、子どもと接する機会が重要であることがわかった。保育経験を積むことで、子どもたちが、どんな内容を求めているか、どんな本が適切なのかが分かり、それを良いタイミングで読むことが出来るとも考える。
しかし、全ての学生が保育経験を積むことは難しく、そのような環境の中で絵本選びに困らないためには明確な指標が必要である。その指標のひとつに『授業内容』や『絵本に書かれている対象年齢』があるのだが、それでも不安を持つ学生はいる。
そこで注目したいのが《全国学校図書館協議会》である。同協議会では毎年33項目の選定基準を設け《よい絵本》を選出している。これを参考にすることで幅広い絵本の中から適切なものを選ぶことが出来る。これは絵本を選ぶ際の基礎とするには十分な要素を含んでおり、まずはこの中にある絵本を試していくことをアドバイスをしたい。