乳幼児期の睡眠について保育者の役割

年度 2016
学科 保育士科 夜間主コース

1、 はじめに

睡眠は子どもから大人まで人間に欠かせないことであり、心身の健康に影響をもたらす。私達は、保育施設での実習や勤務経験から、保育園に通う子ども達の午睡と家庭では睡眠をどの程度取っているか、日中の活動と関連があるのか興味を持った。また、睡眠に関する保護者の悩みがあるのか、あるとしたらどのような内容の悩みであり、保育者として子ども・保護者へどのような援助を行う事が出来るのかを研究し、保育者となった際に活かしていきたい。

2、現状把握

保育園に通う子ども・保護者の現状を把握するため以下の調査を実施した。

■事前調査
対象場所:さいたま市のM保育園
対象者:通っている子どもの保護者10人実施内容:アンケート調査
アンケート内容と結果:
① 休日の家庭で、日中よく行っている遊び

②休日の昼寝の有無・時間
どの家庭でも昼寝をしていた。睡眠時間の平均は93分になった。
③家庭での入眠時間・起床時間・夜泣きの有無

④家庭の睡眠環境(寝具・寝かしつけ方)
寝具は何を使っているか聞いたところ、ベッドと布団が挙げられた。
寝かしつけ方では、多くの家庭で、添い寝や絵本が挙がった。哺乳瓶を吸わせる家庭もあった。

⑤子どもの睡眠についての悩み
お気に入りのぬいぐるみを抱かないと寝ることが出来ない。
哺乳瓶でミルクを飲まないと寝付けず、止めさせたいのだが、哺乳瓶を出さないと泣き続ける。

3、 仮説

乳幼児期の睡眠において保育者の役割は、家庭との連携を密にし、日々の保育の中で子どもの生活リズムを整え子ども一人ひとりの発達を保障していくことなのではないか。
家庭との連携をする際に、寝かしつけ方や日中の生活リズムの整え方を保護者に伝えることで保護者と子どもとの関係性が変わるのではないか。

4、研究方法

事前調査にご協力頂いた M 保育園の保育者に、保育を行う上で保育者の役割や睡眠に関する保育中の取り組みなどを伺う。

5、研究結果

M 保育園の保育者への質問とその回答は以下の通りである。

質問1:アンケート調査で保護者からお気に入りのぬいぐるみが無いと子どもが眠らない、入眠する際に哺乳瓶が止められずに困っているという悩みが挙がったが、これらの悩みに保育者としてどのような対応をしているのか。

回答1:まずは、子どものお気に入りの物を無理して離したりはしない。
そして、何故その物に執着しているのか、肌触りが気に入っているのか、安心感を求めているのか子どもの様子を観察する。
どの年齢の人間でも入眠する際の儀式的な行為がある。
止めた方が良いと思われる物は、それを禁止したりするのではなく、代替品を与えたりする。もしくは、寝る前にお話を読んだり、親子のふれあいの時間を作ったりし、保護者の関わり方を変えるような提案をする。

質問2:子どもの睡眠と家庭環境・家庭での生活リズムはどのような関係があるのか。

回答2:入眠時間が遅い子は生活リズム、例えば父親の帰ってくる時間に合わせた生活をしている等があげられる。日中覇気がないことが多い。
入眠時間の早い子は、生活リズムというよりは、本人の体力の限界で眠ってしまうことが多いようである。早起きの子が多く、保育園に来るまでに完全に覚醒していることが多いので活動的であるという傾向がある。 家庭環境が良くない子は、眠りが浅く家庭では夜泣き、保育園での午睡中でも、ちょっとした事で起きてしまう等の傾向がある。
保護者との関わりに不安を抱えている子へは保育士が安心させるような関わりを持つ。生活のリズムが整わない子へは、個別に保育中にも生活リズムを整えるなどの援助を行う。 保育園でも家庭的な雰囲気を持ち、優先順位を付けて関わっていく事が大切だ。

6、考察

保護者へのアンケート調査や保育者へのインタビューの結果を鑑み、私達は子どもの睡眠は個人差も大きいが、家庭環境や入眠の際の保護者の関わり方で保護者の悩みが軽減されるのではないかと考えた。 どの年齢にもある、入眠の際の儀式的な行為について、保護者が悩みを抱えているのであれば、その点について援助できるのではないかと考えた。

例えば添い寝しないと眠れないという悩みであれば、その子どもの入眠の儀式は保護者が隣で寝るという事である。この行為を子どもと保護者とのふれあいの場にする提案を行う。隣で添い寝しないで、絵本を1つ読む、保育園であったことを話す等保護者の負担にならない範囲で、子どもとの心のふれあいの時間を持つことを提案してみる。保護者と子どもの関係性が変化すれば、子どもの生活リズムや保護者の子どもへの関わり方が変化する。そして、子どもの睡眠環境が整う事で、より良い発達につながると私達は考える。

7、まとめ

乳幼児期の睡眠において保育者の役割は、家庭との連携を密にし、日々の保育の中で子どもの生活リズムを整え、子ども一人ひとりの発達を保障していくことなのではないか、家庭との連携をする際に、寝かしつけ方や日中の生活リズムの整え方を保護者に伝えることで保護者と子どもとの関係性が変わるのではないか、といった視点で研究を進めてきた。 私達は、保育者へのインタビューで子どもの生活リズムや日中の様子、家庭環境の関連について詳しく教えて頂き、その内容から保護者への援助について考えた。私達が保育者となった際は、子どもの成長発達を保障する為に、保護者や子どもへ積極的な関わりを持てるよう、更なる研究を重ね、活かしていきたいと考えた。

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