寝たきりの利用者でも楽しめる、生活史を取り入れたレクリエーション

年度 2015
学科 介護福祉士科

1.はじめに

これまでの実習を通して、私たちは余暇時間の際に、利用者が何も行っておらず、退屈に時間を過ごしているのが最も気になった。そのため職員に「利用者になぜ余暇時間に何もしないのか」と聞いたところ、「寝たきりの利用者も多く、身体を動かすことができないため、レクリエーションを実施しても、効果を得ることが難しい」と話を聞いた。そのため、寝たきりの利用者の方が身体を動かさなくても、余暇時間を使って、楽しい時間を作ることができないかと考えた。

2.現状把握

実習中にレクリエーションの見学および職員の方に実施の頻度について質問を行った。「1.はじめに」で前述した通り、寝たきりの利用者が多く、実施が難しいことを理由に、1 週間に 1 回か、施設によっては 1 ヶ月に 1 回の所もあり、レクリエーションを実施している回数はかなり少なく、余暇時間もほとんど何もせずに過ごしている方が多かった。

3.仮説

今回の研究にあたって、レクリエーションの意味について調べたところ、「生活の再創造」(スポーツ、趣味活動など)および「休養」(睡眠、入浴など)の二つの意味があり、何もしないことも「休養」にあたり、これもレクリエーションとは言える。しかし、その何もしない時間が毎日続くことによって、意欲や QOL の低下にも繋がっていると感じ、レクリエーションとしては効果的ではないと考えられる。そのため、「休養」よりも「生活の再創造」のレクリエーションが重要ではないかと捉えた。高齢者の方は、昔経験したことは、思い出として持ち続けていることが多く、その生活史を取り入れたレクリエーションなら、寝たきりの利用者でも楽しむことができ、意欲や QOL の向上にも繋がるのではないかと考えた。

4.研究方法

<実施施設・実施日>
[F施設]平成 27 年 10 月 24 日 [S施設]平成 27 年 10 月 27 日
<対象の利用者> ※要介護度は、4~5
寝たきりで身体は動かないが、意思疎通は可能である。
身体状況などについては、個人情報に関わることを理由に教えて頂けなかった。
[F施設]80 代:1 名、90 代:2 名 [S施設]80 代:3 名、90 代:2 名

<レクリエーションについて>
① 神経衰弱(昔の生活用品の写真が載ったカードを使用し、同じカードを集める。)
② クイズ(昔の有名人の写真が載ったカードを使用し、誰かを当てる。)
③ 合唱(当時の時代に合わせた流行歌・童謡を、メンバーで合唱を行う。)

<生活史を調査>
年代によって生まれ育った時代が全く違うため、身に付けている知識や考え方、人生の思い出もかなり異なる。そのため、レクリエーションを実施する際、年代にそれぞれ合わせた内容にした方が良いと考え、年代毎の生活史を調査した。調査対象は、利用者の方が身近に感じるものが良いと考え、生活用品、有名人、歌の 3 つに絞り、年表にしてまとめた。また、その年表に基づいて、生活用品などを各年代に合わせて幅広く選定を行い、レクリエーションの実施に使用した。

<実施方法>
寝たきりの利用者が見やすいようにするため、高さ90cm×横70cmほどのパネルを用意する。そこに、カード(縦 4 枚×横 4 枚の 16 枚)を貼り付けてレクリエーションを実施した。実施後、利用者および職員から、アンケート調査を行った。

5.研究結果

<利用者アンケート結果>
① 3 つの中で、一番面白かったのはどれですか?

② 神経衰弱で一番気に入った生活用品のカードはどれですか?(複数回答可)

③ クイズで一番気に入った有名人のカードはどれですか?(複数回答可)

④ 合唱で一番気に入った曲はどれですか?(複数回答可)

⑤ レクリエーションの感想
・また、歌を唄って見たい。クイズ(美空ひばり)が良かった。
・若い子らしくて、とても良かった。
・歌があまり得意じゃないけど、楽しかった。

<職員アンケート結果>
① 3 つの中で、取り入れたいレクリエーションはありましたか?(複数回答可)

② レクリエーションに対する意見
・「楽しめた」との声や、普段入眠傾向の強い方が目を覚まし、興味を持つ様子など、とても良い刺激になったと思う。
・合唱は皆で楽しめていて良かったと思う。
・神経衰弱とクイズの量を減らした方が、スムーズに進むと思う。

6.考察

実施して見た結果、普段入眠傾向のある利用者の方も目を覚まし、興味を持って参加していた。理由としては、昔の写真などを見ることにより、当時の記憶を呼び覚まして、意欲も沸いており、誰もが知っている有名人や曲の方が、記憶を呼び覚ましやすいことも確認できた。よって、昔の生活史を取り入れたレクリエーションは寝たきりの利用者でも楽しむことができ、意欲や QOL の向上にも繋がる。
一方で、「神経衰弱」に関しては、寝たきりの利用者にとっては困難な様子だった。理由としては、カードの枚数が多くて、途中で疲れてしまうのではないかと考えられ、途中で眠ってしまう方もいた。そのため、実施が困難な内容だと、意欲を失い、QOL の低下にも繋がってしまうと考えられる。

7.まとめ

今回の研究により、昔の生活史を取り入れたレクリエーションは、寝たきりの利用者の方でも楽しむことが可能であることが分かり、意欲や QOL の向上も確認したため、今後、利用者の方が余暇時間の際に充実した生活を過ごせるように活かして行きたい。しかし、一方で、実施が困難な内容だと、意欲・QOL の低下にも繋がってしまうことがあるため、利用者が参加しやすい工夫を考えることも必要である。

参考文献
「介護現場で使える 会話の引き出し便利帖」 布施克彦・著 翔栄社
「一人ひとりが輝く レクリエーションプログラム」 妹屋弘幸・著 中央法規

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