こどもの遊びの改善について ~幼少期の活動が健康につながるか~

年度 2015
学科 保育士科 夜間主コース

1.はじめに

私たちは「こどもの遊びの改善について」というテーマについて研究を行うことにした。動機としては、近年、こどもが被害者になる事件が増加したことやゲームの普及、習い事の増加により、こどもが外で遊ぶ機会が減少しており、それによってこどもの運動神経が年々落ちているとメディアで取り上げられていることに関心を持ったからである。
そこで、現代のこどもと昔のこどもの生活・環境の違いから、こどもの活動にもたらす影響について研究し、さらに現代のこどもの遊びの改善を研究していこうと考えた。

2.現状把握

(1)子どもの犯罪被害について
「平成 26 年警察白書」によると、子どもの犯罪被害全体では 2004 年以降、減少傾向にあったが、こどもへの強制わいせつ犯罪が 2009 年以降目立って増えており、保護者の不安を増大させている。

(2)こどもの体力・体格の変化
下記の表で比較をすると、1980 年代と 2000 年代の体力テストの結果では男女ともに 2000 年代のこどもの記録の方が下がっている。
また、体格の比較をすると、1980年代のこどもより2000年代のこどもの方が身長・体重ともに上回っている。

3.仮説

幼少期に活発に活動しているこどもは、心身ともに健康になり、運動能力の向上にもつながる。

4.研究方法

(1) 現代の幼児の活動について把握
・日時:平成 27 年 10 月
・場所:A保育園
・方法:園児の行動観察と保育士への聴き取り
(2) 現代の大人の幼少期の活動について把握
・日時:平成 27 年 11 月
・方法:埼玉福祉専門学校こども福祉科Ⅱ部3年生へのアンケート

5.研究結果

(1) 現代の幼児の活動について把握
積極的に体を使った外での遊びを進めているA保育園を訪問し、園児の遊びの様子を見ながら、その遊びの活動について内容と意図を保育士に聞いた。
⚫️ 土踏まずが必要。
生まれたときは土踏まずが形成されておらず、足の裏が平らに近い形をしている。土踏まずが形成されないまま成長すると体のバランスが取りづらく、疲れやすくなる。そのため、土踏まずの形成は非常に重要である。

⚫️ 裸足の遊びから心身の発達を促す。
裸足で室内遊びや外遊びをすることを意識して保育活動を行っている。理由としては、乳幼児期から裸に近い格好をすることで五感を刺激して、脳の発達を促すことが挙げられる。足の指で自然に触れたり、足の裏で自然を踏むことで感覚を養うという目的がある。それに伴い、安全と衛生面から時間設定をすること、保育者も裸足になり見本を見せることが大事である。

⚫️ 散歩・遊びをとおして体を育て、ダイナミックに遊ぶ。
保育者と園児たちで相談して散歩に出かけ、砂利道、坂道、階段などの起伏のある道を探検しながらたくさん歩くことで楽しみながら体力をつける。また、自然を生かした遊び(木登り、川遊び、大きな岩を使って高鬼など)をすることで園児たちがそれぞれ自分で考えて遊びを続けていけるようになる。

(2) 現代の大人の幼少期の活動について把握アンケートの回答人数 45名

Q1.こどもの頃、外で何をして遊んでいましたか?
ドッヂボール・けいどろ(どろけい)・缶けり・鬼ごっこ・木登り・サッカー・バスケットボール・野球・キックベース・鉄棒・ローラーブレードなど

Q2.大人になって、こどもの頃の体を動かす遊びが今の健康につながっていると思いますか?
「はい」と答えた方 32名 「いいえ」と答えた方 13名

Q3.大人になってやっておけばよかったと思う遊びや、スポーツはありますか?
サッカー・ラグビー・ダンス・バスケットボール・バレーボールなど

Q4.運動しておけばよかったと思いますか?
「はい」と答えた方 40名 「いいえ」と答えた方 5名

6.考察

(1)の研究から。今の保育園では、活発に外で活動している様子が見られ、こどもの発達を促 していることがわかった。こどもたちも楽しんで活動に取り組んでいるので体を動かすことに良い意識を持っていけると感じた。また、自宅では遊びがインドア化しつつあるが、保育園においては、外遊びに向けた保育が、さまざま工夫しながら意欲的に進められていることが確認できた。ただ、今回調べたのは保育園での状況であるが、小学校にあがってからも体を動かしていかないと健康にはつながらないと思うので、そうした遊び方が継続されているかどうかを調べていけなかったのは課題である。

(2)の研究から。アンケート結果をまとめるとこどもの頃の体を動かす遊びが健康につながっていると実感している人は7割を超えていた。また、何をして遊んでいたかの質問の答えから外で活発に活動していたことがわかった。つまり、外で活発に遊んでいた現代の大人の多くがその頃の遊びが健康につながっていると感じているということになる。この遊びを現代のこどもに教え、広げていくことで現代のこどもたちの健康や運動能力の向上につながるのではないかと考える。

7.まとめ

私たちの仮説を根拠に基づいてまとめることはできなかったが、アンケートの結果から仮説に 近い答えが出た。実感としてこどもの頃の活動が、健康につながっていると感じている大人が多 いことから幼少期に活発に活動しているこどもは、心身ともに健康になるというまとめになった。
このまとめから、私たちは保育の現場に立ったときにこどもたちが活発に活動できるように環境を作り、活動を促していくことが大切であると思ったので今回の研究を無駄にせず、将来に生かしていきたい。

8.参考文献

・文部科学省のホームページより引用
・nippon.com「小さな子が狙われている」
http://www.nippon.com/ja/features/h00076/

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