絵本の読み聞かせに対する意味や意図に教育的下心は必要か

年度 2015
学科 こども福祉科II部

1.はじめに

私たちは実習や保育の現場を経験してきた中で、絵本は保育園などの子どもたちの生活に欠かせないものだと感じた。しかし実際には絵本の売上げが減少していて、絵本の読み聞かせの場面も減少している。
平成 27 年 10 月 20 日の朝日新聞の記事では、保育者が絵本を読み聞かせることに「教育的下心」があり、本来面白い作品であっても子どもたちが保育者の「教育的下心」を敏感に感じ取り楽しめないと記載されていた。
だからといって絵本をただ楽しむだけのために用いると、絵本の作者の伝えたいことや文章の正しい解釈が正しく伝わらないため、私たちは絵本の読み聞かせる意味や意図に「教育的下心」が必要であることを証明し、今までの保育を改めて肯定し、絵本の読み聞かせる場面を増やしていこうと考えた。

2.現状把握

全国出版協会・出版科学研究所の調べによると絵本の売り上げは、1991 年の約 1000 億円をピークに一度も売上高が回復することなく下落し、1998 年には約 800 億円の売上高となった。書店での販売数は全体的に落ちているが、わずか 10 年にも満たない期間で売り上げが 2 割も減少したジャンルは絵本以外他にはない。つまり、絵本の売り上げが減少していることから絵本の読み聞かせる場面も減少していると考えられる。

3.仮説

子どもに絵本を読み聞かせる際に教育的下心(ねらい)を持って行い、その後子どもが保育者の教育的下心(ねらい)を達成し、影響があることで絵本の読み聞かせに対する意味や意図に教育的下心(ねらい)が必要であると証明する。

4.研究方法

【教育的下心】
●保育士への意識調査。
●午睡が苦手な子どもの睡眠を促す。

【影響の判断】
●午睡への自発性、午睡の質の向上
絵本を読み聞かせた開始時と終了時の子どもの活動の変化を基準にする。

(1)対象
・保育士30名
・年少児23名、年中児24名の午睡が苦手な子ども
(2)期間
・平成 27 年 11 月 2 月(月)~平成 27 年 11 月 13 日(金)
(3)場所
・K 保育園
(4)研究目的・ねらい
・午睡が苦手な子どもの睡眠を促すという教育的下心を掲げ子どもに絵本を読み聞かせることで、子どもの睡眠に影響が出ることをねらいとし、目的とする。
(5)検証方法
①保育士へのアンケート
・保育者に絵本に関する質問をすることで、現代の絵本の必要性や絵本に対する考えを把握する。

②絵本の読み聞かせ
・午睡前にクラス全体で絵本の読み聞かせを保育士が行う。その後、午睡が苦手な子どもに焦点を置き、下記の検証リストに沿って午睡の経過を記録する。そしてそのまとめを元に、絵本読み聞かせた開始時と終了時の子どもの午睡への自発性等の影響の有無の確認と変化を検証する。

5.研究検証内容

6.結果

(1)アンケート集計結果
質問内容:絵本を読み聞かせることの利点とは何ですか?

1位 想像力を豊かにする 20票
2位 心の発達 12票
3位 集中力の向上 11票
4位 コミュニケーション能力の向上 6票
5位 心の安定 4票

(2)【絵本の読み聞かせの結果】
●絵本を読む前の状況
・検証はじめは室内で自由遊びを行っていた。3日目から変化が出始めて、絵本を楽しみにしている子どもが数名現れた。その後徐々に絵本を楽しみにしている子どもが増えていき、最終日には大半の子どもが絵本を楽しみにしていた。
●絵本を読んだ後の状況
・検証はじめは自ら布団に入る子どもが数名おり、声がけをしないと布団に入らない子どもが大半だった。早くも2日目から変化が出始めて、自ら布団に入る子どもが徐々に増えていき、最終日近くには全員が布団に自ら入るようになった。
●気になる子どもの変化
・検証はじめは声がけを行っても布団に入るのに時間がかかり、さらには入眠に入るにも時間がかかった。しかし3日目からは、すぐにではないが周りの子どもの様子を見て自ら布団に入るようになった。最終日近くには、他の子どもと同じように布団に自ら入り、午睡ができるようになった。

7.考察

これらの検証結果をもとに、絵本を読む際に子どもが教育的下心を敏感に感じ取ってしまうと言 われていました。しかし検証を始めると、徐々に絵本の読み聞かせを楽しみにしている子どもが増 えた。つまり保育士が読み方を工夫することや決まった時間に効果的に絵本を読み聞かせることで、教育的下心があっても絵本を楽しく伝えることができる。さらに、保育者の教育的下心(ねらい)が達成されると考えられる。

8.まとめ

今回の研究で「絵本の読み聞かせの意図や意味に教育的下心は必要か」という結果は教育的下心があっても絵本の読み聞かせは成立するとわかった。また、絵本を読む保育者の工夫で絵本本来の面白さも欠けず、保育者の狙いを子どもが達成できたことから教育的下心を持って絵本を読み聞かせることは子どもの成長に必要だと言える。
これらのことを保育者に伝えていき、絵本の素晴らしさを知ってもらうことで、絵本の需要を増やし、絵本を読み聞かせる場面が増えることが子どもにとっても保育者にとってもの望ましいのだと私達は考えた。

9.参考文献

http://papimami.jp/4183 絵本の読み聞かせ効果
http://www.hoiku-shigoto.com/report/trouble-at-work/storytelling/ 効果的な読み聞かせ
http://socialmediawosirou.jp/page6-1.html ソーシャルメディアを知ろう 長所
http://socialmediawosirou.jp/page6-2.html ソーシャルメディアを知ろう 短所
http://www.ehonnavi.net/ 絵本ナビ

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