体調不良児に対しての対応方法 ~保育園、幼稚園にアンケート調査~

年度 2015
学科 保育士科 夜間主コース

1.はじめに

私たちは、3年間の実習を通して、流行風邪などの病児と接する機会があり、その際の保育者間の連携やすばやい対応を実際の現場で目のあたりにし、他の園ではどのような対応をしているのか興味を持った。よく言われる病児保育のボーダーラインとして、体温37.5度という基準があるが、もっと自分たちにとって身近なテーマにするために、病児保育に行かないまでの体調不良児に着目し、調査した。

2.現状把握

病児保育とは、病気になった時に子どもを預かってくれることを指す。しかし単に保護者の代わりに子どもの世話をすることを意味しているわけではない。
本来子どもは、健康なときはもとより、病気のときであっても、あるいは病気の時にはより一層、身体的にも、精神的にも、そして社会経済的、教育、論理、宗教的にも子どもにとって最も重要な発達のニーズを満たされるべくケアされなければならないのである。つまり、子どもの健康と幸せを守るために、たまたま病気である子どもでも世話をするという考え方で、病児保育とはあくまでも育児支援としてのセーフティネットである。

病児保育の対象と形態

1966年に東京都世田谷区に病児保育施設ができたのを初めとして、2011年には全国1026ヶ所にできた。しかし、その多くは配置職員の確保ができないことから、施設が機能しておらず経営として赤字になっている。
病児保育の施設や、体調不良児施設、また嘱託医や看護師がいる園では、受け入れ体制が整えられているが、そういった施設、園が多くあるわけではなく、軽度の病児であれば、通常の保育園や幼稚園に預けざるをえない家庭が多いのも現状である。よって、園で病児の対応をしなければいけない。

3.仮説

幼稚園、保育園が病児保育の現状を理解しているので、軽度の病児の受け入れ体制ができていると考え十分な対応ができている。しかし、園によっては対応に差があるとも考え、3園の良いところや自分たちの考えを付け加えより良い対応方法を考える。

4.研究方法

(1)対象場所
・保育園2ヶ所
・幼稚園1ヶ所
(2)対象者
・保育士
(3)実施内容
・病児保育に関するアンケート
〈アンケート内容〉
・子どもが熱を出したときの、園独自の対応方法がルール化またはマニュアル化されているか
・病時保育のボーダーラインとして、体温37.5度以上とあるが、この体温より0.1~0.2度低いときの対応方法について
・保育園で子どもが熱を出した場合などで、保護者がどうしてもお迎えに来ることが出来ないときの対応方法について
・病児・体調不良児が出たときに困ったこと
・病後児の対応また、対応で困ったこと
・体調不良の子どもが、乳児の場合と幼児の場合で対応方法はどのように変わるか

5.アンケート結果

Q1子どもが熱を出したときの、園独自の対応方法がルール化またはマニュアル化されていますか。

Q2病時保育のボーダーラインとして、体温37.5度以上とありますが、この体温より0.1~0.2度低いときの対応方法を教えてください。

Q3保育園で子どもが熱を出した場合などで、保護者がどうしてもお迎えに来ることが出来ないときの対応方法を教えてください。

Q4病児・体調不良児が出たときに困ったことがあればどのようなことか教えてください。

Q5病後児の対応はどのようにしていますか。また、対応で困ったことがあれば教えてください。

Q6体調不調の子どもが、乳児の場合と幼児の場合で対応方法はどのように変わるか教えてください。

6.アンケート結果のまとめ(基本的な対応)

Q1子どもが熱を出したときの対応
・上司、保護者に連絡・別室にて安静、アイシング
Q2体温37.5度より、少し低い熱が出たときの反応
・様子を見て具合が悪そうであれば保護者に連絡・臨機応変の判断、対応Q337.5度以上の熱を出しても保護者が迎えに来られない場合の対応
・別室にて安静、アイシング・緊急の場合は病院に連れて行く・他に迎えに来れないか連絡する。
Q4病児、体調不良児が出たときに困ったこと
・熱性痙攣が出たときなど未経験の保育士は慌てる為、知識が必要
Q5病後児の対応
・子どもの状態を保護者からよく聴取し、注意深く様子を見る。
Q6乳児に対する対応
・乳児の場合は特に注意深く観察する必要がある。

7.考察

保育園2ヶ所、幼稚園1ヶ所にアンケート調査をした結果、3園とも子どもの顔色や体調を注意深く見たり、すぐに保護者に連絡したりなど、素早く的確な対応をしていることがわかった。以上のアンケート調査から保育園や幼稚園が体調不良児に対しての受け入れ体制ができていると考える。
結果として、自分たちの仮説では、他の園と差があると考えていたが、対応方法に大きな差はなく、自分たちでも考え出した対応方法と3園の対応方法がほとんど一致しているため、現状においてはこれが最良な方法と考える。また、自分達の考えとして、いかなる時でも全ての保育士が対応できるように携帯電話を持ち、連絡を取れるようにしておくことである。

8.まとめ

今回、体調不良児に対して3園とも、子どもたちに素早い対応と的確な対応ができていて、とてもよい結果が得られた。ただし、これらの対応は現場のやり取りによるもので保育士の負担が大きいと考えれる。そこで、保育士の人員増加や定期的な講習を行い、全ての保育士が対応できるようにし、一人ひとりの負担を減らすことも重要である。そして、アンケート調査の中で、熱性痙攣の対応方法が知識として知っていても、実際に目の当たりにしたら、冷静な対応ができるとは限らないという答えがあった。よって、私たちが保育士になり現場で熱性痙攣や発作等の緊急時にあった場合、対応できるようにするのが今後の課題ではないだろうか。

9.参考文献

病児保育の概念-全国病児保育協議会よりhttp://www.byoujihoiku.net/about/
病児保育の基礎知識と現状[医療情報・ニュース]AllAboutより
http://allabout.co.jp/gm/gc/440303/

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