子どもの食事に対するこだわり ~ペープサートによる食育~

年度 2015
学科 こども福祉科II部

1.はじめに

私たちは実習をとおして、好き嫌いのある子ども達に関する様々なケースを学んできた。とある園で、給食のご飯・おかず両方をまったく口にせず、箸で食べ物を転がして遊んでいる子どもを見た。その子どもに「今日の給食もおいしいよ、先生はご飯が好きなんだ。一緒に食べてみようか」と声をかけ、促すことで何とか、一口二口を食べてもらえた。しかしその子は、楽しそうな表情を見せず苦い顔をしながら食事をしており、その様子を見て「好き嫌いのある子ども達にも、楽しみを感じながら様々なものを食べられるように、どのように働きかければいいか」を研究しようと思った。

2.現状把握

インターネットを使い、子どもが嫌いなものを調査した結果、「1位ゴーヤ、2位なす、3位レバー、4位セロリ、5位グリーンピース」と出た。(平成22年度日本スポーツ振興センターの調べ)
一方、子どもの偏食の弊害として「①成長・発育に必要なビタミンやミネラルなどの栄養素が不足しがちになる。②子どもが好むからといって偏食を容認することは、わがままを助長するだけでなく、将来の生活習慣病の原因になりかねず、意欲や好奇心など心の発達や性格形成などの阻害要因になる」との指摘がある。(千葉県栄養士会ホームページから)

3.仮説

① 食事の前に、好き嫌いのある子どもをテーマにしたペープサートを見せることにより、子どもは嫌いなものを食べられるようになる。
② ペープサートを見た後の結果が良くなかった場合、現場の保育者の工夫を取り入れることで、子どもの好き嫌いを減らすことができる。

4.研究方法

(1) 目的:ペープサートをご協力家庭の子どもに見てもらい、その後、嫌いな食べ物が食べられるようになっているかを検証する。
(2) 実施内容
① ペープサート劇(オリジナル)の制作
(ストーリー)
子ども達が、夕飯(カレー)を作っているお母さんに、自分の嫌いな具だけ抜いてほしいと頼んだ。それを聞いて怒った野菜や肉などの食材達が家から出て行ってしまう。
その後、自分達のわがままに気がついた子ども達が探しに行くが、森に住んでいる悪い熊に食材たちが拾われてしまった。悪い熊に食べられることを嫌がる野菜たちはそれぞれの特徴(ジャガイモ:丸みを生かして転がって逃げる、人参:自分の体を真っ赤にしながら熱くなりひるんだ隙に逃げる。玉ねぎ:目をしみさせ、涙を出させる。肉:平べったい体で手にくっついて気味悪がらせる)を生かし、熊を退治した。食材たちは、子ども達の謝る声が聞こえたので、子ども達を許すことにし、家に帰り調理してもらう。その後、子ども達は好き嫌いせずに、それぞれの具材をおいしく食べるようになった。

②ペープサートの DVD を使用しての検証
・場所:ご協力者家庭(2世帯)
・対象者:3歳児の男女、各1名
・方法:ペープサートを見せた後、嫌いなものを食事に出してもらう。

(3) アンケートについて
問1、貴園の3歳児の子ども達が、比較的好きな食べ物を3つ教えてください。
問2、貴園の3歳児の子ども達の、比較的嫌いな食べ物について3つ教えてください。
問3、給食時、子どもの好き嫌いへの対応は、具体的にどのようなことを行っておりますか。調理法や声掛け、取り組みを教えてください。
問4、子どもの好き嫌いへの対応について、家庭での対応に問題があると感じますか。また、あるとすればどのようなことか教えてください。

5.研究結果・考察

●アンケートの結果

問1「3歳児の比較的好きな食べ物」の回答

問2「3歳児の比較的嫌いな食べ物」の回答

問3「給食時、子どもの好き嫌いの対応は、具体的にどのようなことを行っていますか。調理法や声掛け、取り組みを教えてください」について
(回答)・無理強いをしない
・初日は舐めるだけ、次の日は一口だけ等、段階を踏んで指導する。できたら褒めることを忘れない。
・「頑張って食べようね」「大きくなるよ」等の子どもが興味を持つ、食べたいと思うような、声掛けをする。

問4「子どもの好き嫌いの対応について、ご家庭での対応に問題があると感じ、あるとすればどのようなことか教えてください。」
(回答)・親がおいしく食べるところを見せていない。
・子どもが嫌だというとすぐに引いてしまう。
・苦手な食材を出さなくなってしまう。
・味の濃い調味料を使いすぎ。(子どもが好きなものしか食べさせない)
・食事前の遊びが足りない。(まだ遊びたいので食事に意識が行かない)

●ペープサート上映結果
・ご協力者家庭A 5ヶ月ほど前から、大根の煮物(味噌汁の大根は食べていた)を嫌っており少しも食べられずにいた。
ペープサートを見た後は、一口だけだが、食べることに成功した。
・ご協力者家庭B 以前はネギを嫌がりながらも食べていたが、ペープサートを見た後は嫌がることなく口にしていた。また、ペープサートを気に入って、その後も何度となく見たいと話していた。
好き嫌いのある子どもに対して、食事の前に好き嫌いを題材にしたペープサートの劇を DVD にして見せたところ、少しだけ食べることができたという変化が見られた。

6.まとめ

まず私達は、子ども達の好き嫌いが、実際どうなっているのかアンケート調査してみた。上記の結果のとおり、好き嫌いの実態があることがわかった。
次に好き嫌いの改善について実験を試みた。好き嫌いのある子どもに対して、食事の前に好き嫌いをなくすることを題材にしたペープサート劇を DVD にして見せるものである。
その結果、少しだけ食べることができるという変化が見られた。
しかし、この研究結果は、数ある支援方法の一つでしかないことを実感した。同時に、保育園の3歳児を担当する保育士に偏食への対応についてアンケート調査を行い、そこから私達は広い視野で子どもの好き嫌いへの対応を学ぶことができた。
今回の研究をとおして得た経験を、すべての子どもが、楽しく食事をすることができるよう、将来現場で活かして行きたい。

7.参考文献

日本スポーツ振興センター ホームページ
千葉県栄養士会ホームページ

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