保育の違いによる就学前での落ち着きの差とその改善方法 ~工夫した遊びが子どもの落ち着きに繋げられるのか~

年度 2015
学科 こども福祉科

1 はじめに(背景)

現在、就学後の子どもの落ち着きのなさが問題視されている。
しかし、その要因には就学前の幼稚園、保育園の保育も少なからず影響しているのではないか、と考えた。
今回の研究では、どのような保育活動が就学後の落ち着きに影響を与えるのかを調べ、就学後の落ち着きのなさと保育の関係を研究することにした。

2 現状把握

文部科学省の調査によると平成 17 年から急激に小学生の暴力が増えているということがわかる。平成 24 年には 8000 件以上にも上っている。この中には学級崩壊も含まれており子ども達の落ち着きのなさがエスカレートして問題行動に繋がっていると考えられる。

3 仮 説

・就学後の落ち着きにバラツキがあることに対し、幼児期の集中力を養う遊びが効果的だと考えた。
・そこで私達は、「既存の遊び(フルーツバスケットなど)にルールの変化を加える」を題材に、 子ども達に自分たちでルールを決めるための話し合いの場を設け、そこで集団で話し合うなか、意見を聞いて貰えなかった場合の気持ちや人の話を聞く重要性を自身で体験し学習することで、聞いてもらえない人の気持ちを知ることや就学後の落ち着きに繋げられるのではないかと考えた。

4 研究方法

(1)研究の流れ
①学校内アンケート
②アンケートを基に指導案作成
③製作した指導案を見てもらい、現場経験者の方々に意見をいただく
④意見を元に指導案を改善する
⑤研究結果(指導案作成)

(2)アンケートの実施及び結果(上位3つ)
Q1.就学後に授業などで集中できる様に保育の中で心掛けていることや、実践していることはありますか?
回答・挨拶を心掛け、幼稚園に行きたいと思わせる。
・人の話を聞くように声掛けをする。
・椅子に座り活動する。
などが多く見られた。
Q2.人の話を聞く等の集中力を養えるような遊びを教えてください。(その理由も)回答・絵本の読み聞かせ(楽しいから)
・手遊び(保育者の真似をするから)
・椅子取りゲーム(ルールを理解したり、音に注意を向けるから)
Q3.今までに子ども達が普段より、とても集中していたと感じた遊びがあれば記入して下さい。回答・この項目については子どもが興味を持った活動や普段と違うルールを説明し、遊んでくれた時など、決まった遊びではなくその時の状況に寄って違うことが分かりました。
Q4.子ども達が集中しなくなるときは、どんなときですか?回答・遊びや話が長い
・飽きた
・興味がない
・誰かの集中が切れたとき

(3)指導案の作成
このアンケート結果を元に指導案を作成した。
今回の指導案はアンケートの下線の意見を参考に、フルーツバスケットを元に子ども達の意見を取り入れ、変化を加えることができるようにした。

5 研究結果

作成した指導案に意見をいただき、修正・加筆したものが次のページのものになる。
なるべく普段の遊びの流れと同じように使用できるように、ポイントとなるところ以外の流れはあまり変化を加えないようにした。

●指導案のねらい
・子ども達自身で既存の遊びに変化を加える。その際子ども自身が説明することで、人に伝える大切さや難しさ、話を聞いてくれないときにどんな気持ちになるかを体験できる。
・なるべく意見を出す人が偏らないように気をつけ、説明する立場と説明を聞く立場を何度も体験する環境をつくることで、聞くときと話すときのメリハリを身に付ける。

●指導案使用の際の注意点
・遊びや人に伝えることなど、失敗したところで終わらせてしまうと嫌な思い出になってしまうので、楽しかった、やってよかったと思えるように保育者は適切な援助をする必要がある。
・意見を言う人が固定されないように配慮する。

6 考 察

・アンケートや先生方の意見として「保育園は子どもの生活の場」なので、優先するべきものが ずれないように気をつける必要があるという意見をいただいた。ねらいは持ってやるべきだと思うが、そのことのみにとらわれないように柔軟に行う必要があると言える。
・伝わらなかったことを体験することも大切だが、嫌にならないようにどうフォローするかが大事である。嫌になったまま終わってしまうと「話したくない」や「誰も聞いていないのだから自分も聞かなくてもいいや」という思いが大きくなってしまう可能性もあるので、クラスにあった対応をいくつも考えておかなくてはいけないと言える。

以上の注意点を意識する必要があるが、今回の指導案は園の特色などにもよるが、集中力をつけるための一つの場という位置づけとして行えるものだと言える。

7 ま と め

幼稚園・保育園での遊びは日常からあるもので、子ども達の工夫もよく見られる。今回の研究では、仲の良い友人のみで遊んでいるときとは少し違う環境を用意し、提案をする体験や人数が多い故に集中して話を聞いてもらえない体験ができると考えた。トラブルも考えられるが、相手の気持ちを理解できるようになる時期ならばこのような体験をすることで一つの気づきを得られるチャンスになると考えられる。今後の課題としてはそういった取り組みを行っている園や、行っていない園があるので、どこでも効果のあるような工夫を考えることができれば良いと思う。さらに、あまり意見を言わない子どもに対して、主体性を持って意見を出してもらうための工夫をどのようにするかといったことや、気づきにつなげるためにその後どのようなアプローチをするべきかといった点を深めていくと、より保育の中で使用しやすくなると思われる。
五歳児クラスになると就学に向けて意識する園もある。相手の気持ちを考えるきっかけを作りたいと思ったときに今回作成した指導案が日々の遊びの中の一つの選択肢として考えることができると少し幅が広がると考えられる。

8 参考文献

文部科学省 http://www.mext.go.jp/

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