親子のコミュニケーションと子どもの表現力の関係性について

年度 2015
学科 こども福祉科

はじめに

現代における家庭環境の中で、親子のふれあい時間が減っており、子どもの『感情・表現力・言葉を発するのが苦手・消極的になる』などの問題点が見えてきている。そこで、エンゼルキッズとりとるかずのこの中で、複数の親子を対象にスキンシップや言葉掛けなどの褒め方を工夫することにより、子どもの感情表現が向上する効果があるのではないかと考えた。

現状把握

〈家庭環境の変化〉
文部科学省の「コミュニケーション教育推進会議」(2011)によると、「近頃の子どもたちはコミュニケーション能力がない」「子どもたちの表現力が著しく低下している」といった発言があげられている。その背景として家庭や地域の中で自然に身につけられたものが、少子化や地域社会の崩壊によって習得が難しくなっている、と述べている。
〈親自身の表現力が不足〉
法政大学文学部の渡辺弥生教授の「人前での叱り方・言い聞かせ方」(2012)によると、昔は人々の表情や言動を目にすることにより、感情表現が豊かになって、感情にかかわる知識を学んでいた。しかし近年は、親自身の感情表現も豊かでなくなり、気持ちを大事にして伝えるというかかわりが少なくなってきているように思う、と述べている。
〈地域社会との交流の減少〉
前述の「コミュニケーション教育推進会議」によると、インターネットがグローバルな情報通信基盤となり、インターネットを通じたコミュニケーションが子どもたちに普及している一方、外での遊びや自然体験等の機会の減少により、身体性や身体感覚が乏しくなっていることが、他者との関係づくりに負の影響を及ぼしているとの指摘もある。
〈一人遊びの増加〉
厚生労働省心身障害研究の「生活環境が子供の健康に及ぼす影響に関する研究」(1992)によると、近年室内・一人遊びへの顕著な偏りが指摘され、子どもの健康や発達への影響が懸念されている。テレビゲーム、テレビに費やす時間の増大、社会的背景に伴う学習時間の増加は、相対的に運動時間や人と接する機会を減少させる、とのことである。

仮説

普段、子どもが当たり前に行っていることを褒める(スキンシップ+言葉掛け)ことにより、子どもの笑顔が増え、感情・表現力・言葉の表現力向上に繋がるのではないか。

研究方法

(1) 研究対象
「エンゼルキッズ」に参加している親子 20 名
「りとるかずのこ」を利用している親子 30 名 計 50 名中 19 名

(2) 研究期間
平成27年6月26日~平成27年10月30日

(3) データ収集および分析方法
① 言葉掛けとスキンシップの方法をスケッチブックに描き、保護者に説明する。
② 保護者向けに、スキンシップと言葉掛けを記した「いちごちゃんカード」を製作し、配布する。
スキンシップ:拍手・抱きしめる・ハイタッチ・頭をなでる
言葉掛け:『あいうえお』の褒め言葉(ありがとう・いい子だね・うれしいな・えらいね・おりこうさん)
③ アンケート用紙を配布し、2 週間後に回収する。

研究結果

現在 19 名分のアンケートを回収した。

〈親の変化〉
アンケートをきっかけに、スキンシップと褒め言葉を日常的に使えるようになった。(4 人)
怒ることが減ったため、楽しみながら生活できるようになった。(3 人)
子どもに常に関心を持って接することができるようになった。(1 人)
子どもに優しく声掛けができるようになった。(1 人)
夫も私と息子の真似をしてスキンシップが増えた。(1 人)

〈兄弟〉
ニコニコして姉らしくなった。(3 歳女の子)
やきもちを妬くようになった。(3 歳女の子)

〈子どもの笑顔の変化以外〉
自ら褒め言葉やスキンシップをするようになった。(5 歳男の子、2 歳男の子 2 人)
言葉で言ったことを理解してくれるようになった。(3 歳男の子、2 歳男の子)
言葉が著しく増えた。(2 歳女の子、3 歳女の子)
兄弟喧嘩が減った。(3 歳女の子、5 歳女の子)
兄弟に優しく接するようになった。(5 歳男の子、3 歳女の子)
何をしたら褒められるか考えるように見えた。(0 歳女の子)
顔つきもやわらかくなり、落ち着くようになった。(3 歳女の子)

考察・まとめ

今回行った研究の結果、親子間で褒め言葉やスキンシップをよく取り組むことにより、子どもの笑顔が増加し、自ら褒め言葉やスキンシップをするようになった、兄弟喧嘩が減ったなどの感情・表現力・言葉の表現力向上に繋がる結果が見られた。また子どもだけではなく親・兄弟にも、怒 ることが減ったため、楽しみながら生活できるようになった、ニコニコして姉らしくなったなどの変化が見られた。しかし、取り組み状況から 2 週間という期間が長く、もう少し短期間の方がよいのではないか。対象年齢が低かったため、本人の成長の発達状況なのかこの研究による結果なのか判断が難しい。また、取り組まなかった親子に取り組みを促すにはどうしたらいいか。などの改善点が挙がった。今回の改善点として挙がった課題を現場に出た際に活かしていけるよう日々努力を重ねたいと考える。

謝辞

今回の研究を行う際、親子へアンケートを依頼しましたが、実施をしていただけるよう、どのように説明していくのか、不安を感じながら一生懸命行いました。つたない説明を聞いていただき、きちんと取り組み、協力していた皆様にはとても感謝しています。ありがとうございました。

参考文献
文部科学省の「コミュニケーション教育推進会議」(2011)
法政大学文学部の渡辺弥生教授の「人前での叱り方・言い聞かせ方」(2012)厚生労働省心身障害研究の「生活環境が子供の健康に及ぼす影響に関す

保育士科【昼間2年制】

こどもたちとふれあいながら「保育」と「福祉」を学び、 こどもに関わる幅広い分野で活躍できる人材を目指します。

詳細はこちら