障害を持つ人への見方を肯定的なものにするためには

年度 2015
学科 こども福祉科

はじめに

授業内で Facebook に投稿された「親子でスクリーンに映った人の表情の真似をする」という動画を見た。
最初は映し出された人を親子で真似をしていた。最後に映像の中で脳性麻痺の子供が映し出された際、見ていた親は複雑な顔をし、真似をしなかったが、子供のほうは偏見を持たないため素直に表情の真似した。

現状把握

大人が真似をしなかったのは、大人になるにつれてその人の中での障害を持つ人への情報が増え、真似することによって障害を持つ人に対して「かわいそう」などといった偏見意識が芽生え、無意 識に差別をしてしまうのではないかと考えた。「真似をするということは差別をしてしまい、失礼に当たる」という考えでもあるが、虐待で挙げられる代表的な 5 つの虐待に加え、最近では思想的な思い、考えてしまうことも挙げられるようになっており、この考えは心理的・精神的差別となってしまうのではないかと考えた。
福祉の専門的な知識を学んでいる人に FW を実施することで、障害がある人に対しての意識が適切なのかそうでないのかをはっきりさせる。

仮説

専門的な知識を学んでいる学生に FW を行い、障害を持った人への意識・知識を調査することで、肯定的な意識・正しい知識を持っていれば、そのような差別をすることは少なくなるのではないかと考えた。調査の際、「卒業研究である」ということを伝えなければ、構えて取り組むことがないと考えたため、障害を持った人へ無意識の中での認識がわかるのではないかと考えた。その認識が肯定的なものであればあるほど、心理的・精神的な差別は少なくなるのではないかと考える。

研究方法

障害についての授業を行い、知識を身に着けている専門学校の生徒、1 年生 30 人・2 年生 41人に対して調査を行う。

調査内容

・「スクリーンに映し出された表情の真似を親子で行う」という映像を見て真似をしてもらう。また、学生の映像への反応を見る。
・アンケート調査
1.障害を持つ人へのイメージ(複数回答可)
 ① 大変そう
 ② かわいそう
 ③ 難 し い
 ④ こ わ い
 ⑤ わからない
2.今まで障害を持つ人と実習以外でかかわりを持ったことがあるか
3.どこでかかわりを持ったことがあるのか
 ① 親 族
 ② 知 人
 ③ ボランティア
 ④ そ の 他
4.いつかかわりを持ったことがあるか
 ① 幼稚園・保育園
 ② 小 学 生
 ③ 中 学 生
 ④ 高 校 生
 ⑤ 専門学校入学後
 ⑥ そ の 他
5.映像の感想
6.障害について勉強を始めてから、障害を持つ人への印象が変わったかどうか、その理由、どのように変化したか

研究結果

① 学生の観察結果
1 年生は初めの方は隣同士で顔を見合わせながらも真似をしていたが、最後の脳性麻痺の女性の映像になると映像の中の親のように複雑な表情をして真似をしなかった。しかし、2 年生は最初から真似をする人もいれば、真似をしなくても、複雑な表情をする生徒はいなかった。2 年生は以前ほかの授業で同じ映像を見ていたため、無意識の中での反応を見ることができなかった。

②学生のアンケート結果
専門的なことを自発的に学んでいるということもあり、実習以外で障害を持った人と関わりを持ったことがある人が多いことが見られた。
障害について 2 年生は 1 年生よりもより授業内でたくさん学んでおり、2 年生は「障害について学習を行ってから印象が変わった」と回答した学生が 41 人中 26 人いた。「変わっていない」と答えた学生は 41 人中 15 人いたが、その中には「私たちとは何も変わらない」という意見が 15 人中 7人に見られた。 1 年生は「変わった」と答えた学生が 30 人中 18 人、「変わらない」と答えた人が30 人中 12 人だった。 「変わらない」という回答の中身は 2 年生と同じようにもともと肯定的な印象があったために変わらないと答えた学生が 12 人中 4 人いた。「変わった」と答えた学生のうち、「知識を身に付けたことで、変に意識をすることがなくなった」や「自分たちと変わらないと感じるようになった」といったといった意見が得られた。
下のグラフは「実習以外で障害を持つ人と関わりを持ったことの有無」「障害を持つ人へのイメージ」への回答である。下の表は「障害を持つ人と関わりを持ったことがある」と答えた人に質問した「初めて関わりを持った時期」「初めて関わりを持った場所」に対しての解答である。障害を持つ人へのイメージは「大変そう」という回答が多く、71人中 50 人がそう答えていた。障害を持つ人と関わりを持ったことがある学生は 71 人中 48 人が「ある」と答えていた。
映像の感想では、「子どもは素直だから真似をしないのだと感じた」「面白がってはけないと感じ、真似をしなかったのではないかと感じた」「偏見は大人になるにつれて強くなるのではないかと感じた」「戸惑いという反応は間違いではなく、いやな気持にさせないという配慮でもあると感じた」という回答が得られた。

考察・まとめ

以上の結果から、FWを行い、1年生に比べ2年生が映像に対して複雑な顔をする学生がほとん どいなかったのは、学習や実習による知識・認識・意識の差や、2 年生は他の授業で同じ映像を見ていたためだと考える。もし見ていなければ無意識の中での反応が見られるのではないかと考えた。
当初の予定では小・中・高等学校の生徒や児童館、小学生が所属するクラブチームなどを対象にフィールドワークを行う予定であったが、学校やクラブの都合で断られてしまった。その理由として、「学校やクラブの行事で忙しい」「障害児を受け入れたことがない」「すでに共生教育を行っているため」ということがあげられた。今回は時間がなくできなかったが、もう少し早い段階で依頼を行っておけば調査が可能だったのではないかと考える。今回の反省をもとに、対象者募集に時間をかけることでより多くのデータを集めることができたのではないかと考える。
今回は年齢が低い人たちに調査を行うことができなかったが、学生に行ったアンケートとフィールドワークの結果より、生まれてから身近に障害を持った人がいた場合、マイナスなイメージを持つことが少なくなる、精神的・心理的な差別をすることが少なくなる、ということが見られた。さらに、障害についての学習を行い正しい知識を身に付けることで、障害を持つ人へ見方が肯定的なものになることが多いということがわかった。そのことにより私たちは、障害を持った人と関わりを持つ時期が早ければ早いほど肯定的な認識を持ちやすく、正しい意識を持つことができれば、認識・意識が肯定的なものになると考えられる。
そして、私たちが保育の現場に出た時に幼少期から関わる機会や、早い段階で正しい知識・意識・認識を持てる機会を作り出すことで、子どもたちが成長しても障害に対する認識を持ち続けることができるのではないだろうかと考えられる。

参考資料
「親子で変な表情をマネっこある場面で親たちの表情が固まる…理由に考えさせられる」  http://grapee.jp/45005

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