保育士の給料で豊かに生活する為に ー 補助金と国の制度を上手に使う ー

年度 2022
学科 保育士科 夜間主コース

キーワード

保育者の給料・補助金・生活

1.はじめに

 保育士はやりがいはあるが、給料は少ないと言われている。保育士の給料では一般的な豊かな生活は送れないのだろうか。たくさんの子どもを保育するにはたくさんのパワーが必要なのを現場で働いて感じ、この仕事をこの給料で続けるには、自分自身のしっかりとした生活の基盤とモチベーションがないとできない。また、仕事とプライベートの充実させることができないと考えた。今一度、就職する前の収支の見通しを持ち見直し、改善策を講じる事、そしてクラスメイトにとっても今後の参考になるものがあればと思い、本テーマを設定した。

2.保育士を支える補助金制度

(1)埼玉県の保育士の給料は、平均年収約 331.7 万円(2017 年)、平均給料でいうと 22.2 万円、平均賞与は 64.5 万円であった。
(2)埼玉県新卒保育士就職準備金貸付というほ制度があり、令和 4 年度に新卒保育士として内定した保育士に 20 万円貸付する制度(2 年間従事した場合返還免除)である。(※先着 500 名)
(3)保育士宿舎借り上げ支援事業という制度では、月々の家賃そのものの負担が軽減される補助されるものである。
※対象施設に採用されて 8〜10 年以内。1 日 6 時間以上かつ 20 日以上勤務
※市によって補助額が違う(約 5〜8 万円)
(4)保育士キャリアアップ研修では 8 つの分野があり、1 つの分野で 15 時間以上の受講と分野ごとに定められた 5 つの項目を受講したことが認められると修了証が交付される。加算金額は 5000 円〜40000 円である。
※経験年数 3〜7 年以上が対象。3 つの役職がある(副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダー)
(5)退職手当共済事業に加入している。

3.自身が工夫できる貯蓄方法

(1)積み立て NISA
小額から長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度
(2)ふるさと納税
生まれ故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度。手続きをすると、寄付金のうち 2000 円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除が受けられる。

4.考察・今後の課題

 埼玉県の平均給料である手取り約 18 万円でどのように生活をすれば貯金をしながら豊かな生活を送れるのかを考えた。基本的に保育士として利用できる支援制度は使えるものは使いたい。まず埼玉県新卒保育士就職準備金貸付制度を使うと 20 万円入金される。これは 2 年間働けば返還が免除される為、利用できる園であれば利用した方がいいだろう。2 年間働けるかわからないという人も、「最悪返せばいいんだ」という楽な気持ちで利用しても良いのではと思う。そして、個人的に一番大きいと思うのが保育士宿舎借り上げ支援事業である。市によって補助してくれる額が違うが、家賃が殆どかからない上に物件を借りる上での初期費用もかからない。後々一人暮らしや家庭を持つ人にとっての園での採用枠もあるみたいだが、利用できるのであれば利用してもいいのではないか。年収ベースでみても補助額 5 万円の市でも、年間だと 60 万円も違ってくるのでだいぶ大きい。
 保育士として 3 年が経過してからはキャリアアップ研修を受けるといいだろう。職務分野別リーダーの役職でも 5000 円の月給アップが見込まれると共に、保育の質も深められるいい機会だと思う。たかが 5000 円かもしれないが、年間だと 5000 円 × 12 ヶ月 = 6 万円である。一回沖縄旅行に行けると考えたら受けるしかない。 退職金についても今から考えておきたい。退職手当共済事業に加入している園では 1 年働くごとに 10 万円程度退職金が支給される。更に 10 年間働けば約 100 万円の退職金が支給されるわけだが、11 年目からはベースが大きく変わり、11 年目で退職すると約 150 万円の退職金がもらえる。公務員の退職金の場合は 5 年毎に退職金のベースがだいぶ変わる為、その境まで働いて、もしやめたいと思っても一歩踏みとどまってあと 1 年頑張ることができるだろう。また、転職の際にも退職金が提示されている通りにもらえる園なのか見極めながら転職活動した方がいいと考える。
 これらの制度を利用していけば、手取り 18 万円だとしても水道光熱費、食費、通信費を抜いても 10 万円以上自由に使えるお金が残り、更に賞与もある為保育士の給料だけでもそれなりにいい生活でき、まだキャリアの殆どないうちから貯蓄も可能だと感じる。

5.さいごに

 保育の現場では先の見通しをもった行動と計画が大切である事を常々感じている。それは自身の生活の面でも同じであり、今の事だけ考えるのではなく、これからの事を予め想定しながら行動していくことで、この先への不安が減るのだろう。その工夫が安定した豊かな生活、モチベーションの保持、そして自分自身納得のいく保育をすることにつながるのではないかと思う。2 年間頑張って通って勉強してきてやっととれる保育士資格だ。この時間を無駄にしないよう公私共に、日々成長していきたい。

6.参考資料

(1) 埼玉県保育士年収 https://nensyu-style.com/1037/
(2) 埼玉県新卒保育士就学準備金貸付 https://jinzai.fukushi-saitama.or.jp/hoikuloan_8.html
(3) 保育士宿舎借り上げ支援事業 https://simple-hoiku.com/media/company-house/
(4) 保育士キャリアアップ研修 https://hoiku.mynavi.jp/topic/2019/08/000087/
(5) 退職手当共済事業 https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/taisyokuteate/
(6) つみたて NISA https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html
(7) ふるさと納税 https://www.furusato-tax.jp/about

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