保育時の片付けについて ー ~保育者の声掛けにより子どもの行動はどう変化するのか~ ー

年度 2017
学科 こども福祉科II部

1.はじめに

 子どもは大人との関わりの中で様々な社会的規範を身に付ける。私たちは実習を通して、片付けに意欲的に取り組む子どもとそうでない子どもがいることに気が付いた。片付けは幼児の基本的習慣の時期が目指される幼稚園、保育所にあって、どの園でも毎日行われる園生活には必要不可欠な活動の一つである。また、大人と子どもが接する中で子どもたちの意欲を高める重要な時間であると感じられた。
 そこで、子どもが嫌がる片付けを、自発的に取り組むためにはどのような声掛け、対応を保育者が行っているのかを調べ、今後保育の現場で生かしたいと思い、研究を進めることにした。

2.現状把握

 保育園や幼稚園でも片付けの際に、「まだ終わってない」「まだやりたい」と自分のやりたいことを伝えてくる子どももたくさんいる。自分がまだやりたい、集中したいものがあるということはその子どもにとっても喜ばしいものであり、成長を感じる瞬間でもある。しかし、物を使い終わった時に、次の活動への興味のために片付けることを忘れてしまうこともある。みんなで取り組む活動や時間に展開していく遊びの中では、複数の者が使い、結局誰が使っていた物であるかはっきりしないこともありうる。自分が使っていない(あるいは使ったと思っていない)物を片付けるということは、子どもにとっては動機付けの難しい行為である。とはいえ実際の園生活では、「誰かの物」や「みんなの物」を片付けなければならない場面が多くある。

3.仮説

 保育者の声掛けによる違い( 褒めながら声を掛ける / 丁寧(お願い)口調 / 子どもの目線に立ち一緒に片付けをする )により、子どもの片付けに対する意欲や、取り組む時間は異なるのではないか。

4.研究方法

(1)目的・ねらい
 仮説から、保育者の声掛けにより子どもが片付けに取り組む意欲に変化が見られるのではないかと考えたため、保育園・幼稚園・施設でアンケート調査、ワーク先(保育園/4歳児)で実際の様子観察を行うことにより、声掛による子どもの動きに変化が見られるかを知る。
(2)対象場所
 保育園 : 1箇所
 幼稚園 : 2箇所
 施設  : 1箇所
(3)対象者
 アンケート
 保育者
 フィールドワーク
 4歳児
 保育者(担任)
(4)実施期間
 平成29年10月17日~平成29年11月17日

5.研究結果  (アンケート結果)

(1)おもちゃの使用頻度

(2)片付けを行う時間

(3)片付けに掛かる所要時間

(4)声掛けの伝え方
※1: 褒めながら声を掛ける
2: 丁寧(お願い)口調
3: 子供の目線に立ち一緒に行う
4:その他

6.考察

 私たちは研究を始める前、3,4,5歳児は保育者の片付けの際の声掛けの仕方、片付けに掛かる時間に差はないと考えていた。
 しかしアンケート結果から、3,4歳児においては[褒めながら声を掛ける ]が上位になっているのに対して、5歳児においては、[丁寧(お願い)口調 ]が上位となっている。この事から、低年齢児に関しては褒める事で子どものやる気を向上させる保育者が多いが、高年齢児に関してはお願いをする事で子どものやる気を向上させる保育者が多い。3、4歳児、5歳児の片付けに掛かる時間は3,4歳児は、[10分程度]で終わるのに対して5歳児は[5分程度]で終わるという結果になった。
 この事から、保育者の声掛け一つで子どもの意欲向上を左右してしまう。普段当たり前にしている、片付けでも子どもにとってはとても意味のある行動である事を、保育者が理解をし、その場に応じた対応・行動をとることにより、より良い保育へと繋がっていくのではないか。

7.まとめ

 私たちは、片付けに意欲的でない子どもをどう意欲的に片付けをさせるか、行動に移させるかを考え研究を進めてきた。片付けの声掛けは、新人保育者、年数を重ねた保育者にとても難しい課題だと思う。その理由は、子どもの年齢、理解力、やる気がそれぞれ違っているからである。一定の声掛けをするより声のトーンを変えてみたり、ゲーム感覚で片付けをするなどの工夫が求められている。
 遊び=片付け、これは子どもにとっても大人にとっても切っては切れない法則であるともいえる。 大人でも嫌になる、片づけをいかに子どもに楽しい、やりたいと思ってもらえるようにするのかがこれから保育者として子どもに関わる私たちにとっての課題である。
 しかし、どんなに[褒めながら声を掛ける ]・[丁寧(お願い)口調 ]を心がけたとしても 保育者と子どもとの信頼関係、関わりの深さがなければ、成立しない法則であるともいえる。
 今回の研究を通じて、片付け一つでも子どもが楽しいと思えるよう試行錯誤していくことが大切と考える。

8.参考文献

先行研究 子どもへの言葉かけに関する研究 
永田良太 三崎千尋 森敏昭 (2004.11.29)
先行研究 「片付け」場面における熟達した保育者の実践知
内藤由紀 山内淳子(2012)
保育者経験者による子供の片付けしつけ術~声かけの仕方編~
http://iku-share.jp/kodomo-kataduke-koekake/ 最終アクセス日 2017.06.07

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