高齢者が買い物しやすい店舗環境の検討

年度 2016
学科 介護福祉士科

1.はじめに

現在の日本の高齢化社会における問題として、団塊の世代の高齢化やそれに対する介護人材不足等がある。高齢化が進む中、国の方針でも在宅介護を推進しており、今後在宅で生活する高齢者が急増してくるのではないかと考えられる。
生活の中で買い物をすることは不可欠であり、高齢者が快適な買い物をするための工夫について考えることが今後ますます必要になるものと思われる。現状では買い物に行くための手段や距離などの問題は検討されているが、店舗内での高齢者の買い物のしやすさについて検討した研究は知る限り見当たらない。
本研究では店舗内でも買い物のしやすさを改善できる余地があるのではないかと考え、検証することとした。

2.仮説

高齢者が店舗の中で不便に感じている事を具体的に把握し、それを改善することでより快適な買い物が可能になると思われる。

3.研究方法

1)対象者
自力で買い物が出来る中高年 200 名
男性 126 名 女性 74 名 平均年齢 63.1±13.2 歳

2)研究期間
問題抽出アンケート…2016 年 8 月~9 月改善の実施…2016 年 11 月
改善後アンケート…2016 年 11 月

3)実施場所
埼玉県朝霞市内のホームセンター

4)手続き
①アンケート調査(問題抽出)
店舗内敷地において、高齢者が買い物しやすい店舗環境の検討する為のアンケートを個別に行い、その結果から店舗における買い物の問題を抽出した。
②介入(改善の実施)
アンケートにより抽出した店舗環境の問題点について改善内容を検討し、店舗にて試験的に実施を行った。実施内容は「店内の案内表示がわかりづらくたどりつけない」の結果を受け、店舗内に地図を設置することにした。
③改善後アンケート調査
改善後、来店されたお客様にアンケートを行った。

5)倫理的配慮
アンケートを実施するにあたり対象者に同意を得て行った。

4.結果

1)問題抽出アンケート調査
問題抽出アンケートでは、有効回答100部であった。その中で「買い物時困った事がある」と答えた方が50名(50%)、「買い物時危ないと思った事がある」と答えた方が53名(53%)、「お会計時困った事がある」と答えた方が16名(16%)であった。具体的な内容は以下の通りである。
① 買い物時困ったこと
店内の案内表示がわかりづらくたどりつけない 28 名(56%)
商品の文字が見づらい 23 名(46%)

② 買い物時危ないと思ったこと
段差があって危なかった 24 名(45%)
床が滑りやすく転倒しそうになった 21 名(40%)
その他(通路幅が狭い等,,,) 9 名(16%)

③ 会計時困ったこと
店員が早口で聞き取りづらい時がある
レジの混雑時持っている荷物が重くて大変

結果より、問題点として最も多く挙げられた「店内の案内表示がわかりづらくたどりつけない」という点に着目し、店舗に改善を提案した。

2)改善の実施
店舗内に以下の商品の置場が明示された地図を設置した。(図 1)

3)改善後アンケート調査
改善後アンケート調査では、有効回答 100 部であった。店舗内商品置場の改善後に関するアンケートの内容は、地図があるとわかりやすいかそうでないかの質問から成るものであった。その結果「地図が店内にある事により商品の場所がわかりやすくなった」の回答が68 名(68%)、「今後も地図が設置されていた方がよい」の回答が82名(82%)であった。

5.考察

店舗内での問題点を抽出し、商品の置き場の「案内表示をわかりやすくする」ことを改善点とし地図を作成し、実際にお客に配布するという介入を行った。その結果、「商品が見つけやすくなった」という意見が約7割と、高齢者が買い物をしやすい環境を作るという目的に対して、一定の評価が得られた。また、「今後も地図を設置してほしい」という意見も多く見られた。この結果は、広い店内で、地図があることによって、自分の買いたい商品の場所へ迷わずに行くことができたことが要因と考えられる。
さらに、高齢者にとって見やすい高和はどこであるか、文字の大きさ、掲載している写真の大きさなどについて見当を行い、より改善を加えた上での継続が望まれる。

6.まとめと今後の課題

本研究では、高齢者が買い物がしやすい環境を作るために、地図を設置することが効果的であることが明らかとなった。今回は買い物がしやすい環境について視覚的な手段で検討をしたが、今後は店内放送など聴覚的な手段などでも検討を行う必要があると考える。
今後も高齢者の目線や思いを理解し、介護の専門職として施設内にとどまらず、買い物をはじめ高齢者がすごしやすい生活環境を整えることにおいても専門性を活かしていきたい。

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