新しい資源を地域の子どもたちに

年度 2016
学科 社会福祉士科

1.はじめに

私たちは、知り合いの小学校教師からの「宿題をしてこない子が多い」という話や、児童相談所で働く方から「子供の宿題を見てくれる場が欲しい」という親の声がある事を知り、児童の放課後の過ごし方に興味を持ち、研究テーマとした。

2.現状把握

①大宮小学校に調査

以上より、放課後チャレンジスクールだけでは対応出来ていない児童に何か出来ないか?と思い至った。
②学童の保護者へのアンケ-ト(22名)

③大宮西小学校の学童で働く指導員さんへのインタビュー
指導員から見て、ニーズがあるかどうか、学童の問題点は何か。子どもと接する上での注意点、全安心な居場所を作る事の難しさを教えて頂いた。
〔これらの調査を通して次の3点に焦点をあてた〕
・既存の資源にあてはまらない児童がいる
・子どもが安心安全に遊べる場所が欲しいという保護者の意見が多い
・気軽に宿題を聞ける相手が近くにいない子どもが多いということ。

3.問題提起

現状把握から、子どもが放課後に安全安心に楽しく過ごせる場所、子どもに対応する人、資源、サービスが不足しているのではないか。

4.仮説

本校の空き教室を有効活用し、福祉を学び、児童分野に興味のある学生が子どもたちと一緒に宿題や遊びをして過ごす場をつくる事が出来れば、地域のニーズに応える事が出来るのではないか。

5.研究方法

埼玉福祉専門学校の空き教室を使用し、『カームホーム』として子どもたちに開放する。

①カームホームの宣伝のために、カラーのチラシを作成。
②カームホームのプレ開催に向けて、宣伝活動。
・本校とも繋がりのある仲町子ども会の会長、副会長に話を伺った。カームホームの紹介をすると「とてもニーズがあると思う」と言ってもらえ、口コミ等で協力して頂ける事となった。
・7 月 31 日にあった地域の夏祭りで、チラシを20部配布。
③8月19日、カームホームのプレ開催を持実施
・チラシを見た小学生6名が参加。
・全員から「楽しかった」「また来たい」「宿題ができた」等の言葉をもらえた。
・保護者からも「宿題が思ったより進んでる!環境が変わる事、第三者がいるのが良かったのだと思う。」と、言って頂いた。
プレ開催の結果、小学生の居場所にはニーズはあったのだと考え、9月から毎週開催する事を決定した。また、直接チラシを配った事で、私たちの顔が見えた事も参加に繋がった要因だと考えた。
④9月から開催するにあたり、チラシを以下の通り配布した。

⑤9月6日から、毎週火曜日(15~17時)にカームホームを開催。
・小学生の参加がたった1人という結果。
・子ども会の方から「平日は習い事をしている子が多く、参加が難しそう」との声。
→10月からは曜日を変更し、平日と休日両方に開催する事を決定。
→チラシに具体性がないという指摘から、プレ開催時の写真や、子どもの目の引くプログラム等を記載したチラシを再作成。
⑥改善を加えた上で、チラシを以下の通り配布した。

⑦10 月 16 日から、毎週水曜日(15~17時)と日曜日(14~16時)に開催。
・毎回、小学生が参加。平均5人程、多い日には9人の参加があった。
・カームホームでの子どもの様子を記した連絡用紙を、毎回保護者に手渡しした結果「子どもの様子、何の宿題をしていたか知れて、とても助かる」との言葉を頂いた。
・学生が見守る中宿題をし、その後、トランプやウノ、ジェンガ、折り紙、ぬり絵、いすとりゲーム等を楽しそうにして、過ごしていた。小学生自身で考案した遊びや、新たな遊び等も積極的に取り入れた。学生が主体ではなく、子どもたちだけで遊ぶものを決める場面が多かった。
→カームホームは、8月19~12月14日の間、23回開催。合計20名の小学生が参加してくれ、そのうち9名は常連となって参加してくれるようになった。
その中で、小学生同士の喧嘩や情緒が不安定になってしまった子の対応への戸惑い、保護者から「こちらの連絡先を教えてないと、何かあった時不安」との声があった。
・なお、カームホームは12月26日まで開催する事が決定している。

6.研究結果

・参加してくれた小学生の中に、障害を持つ子どもが複数いる事がわかった。
・保護者から「障害児を受け入れてくれる所が少ない」「子どもが放課後チャレンジスクール等に馴染めず、行き場に困っていた」「障害児以外の子とも交流が欲しい」との声があった。
→障害児とその保護者にニーズがあったのではないかという発見に至った。
その結果を受け、障害児の対応の仕方、保護者の声等をインタビューするため、放課後等デイサービスに施設見学に行った。障害児への声かけの仕方や注意の仕方、保護者からの「普通学級との交流が欲しい」との声が多数あると教えて頂いた。
・参加してくれた小学生には、初回時にアンケートを行った。(11名)

・3回以上参加してくれた小学生に、再度アンケートを行った。(6名)

・3回以上参加してくれた小学生の保護者にも、アンケートのご協力を頂いた。(4名)

→以上の事により、カームホームを地域に定着した資源にしていきたいと考えた。

7.考察

私たちは、カームホームのチラシ配り等の認知度を広める活動を通して、新たな取り組みを人に知ってもらう大変さを痛感した。地域と繋がり、信頼を得る事の難しさ。地域の方と情報共有していく事の大切さ。ニーズがあっても知ってもらえなければ、応えることができない事。ニーズを把握する事も、それに応える事も、繋がりや連携がとても重要だという事を身を持って感じた。そして、小学生に対する資源、サポートが不足している事も知ることができた。保護者が子育てしやすい環境、子どもが楽しく過ごせる場を、もっともっと増やしていくべきだと思った。
障害児の対応の難しさや保護者の思いも知ることができた研究となった。障害児に対応した学校教育も大切だが、障害児も健常児も分け隔てなく、一緒に過ごせる場所というものも求められている事がわかった。1 人 1 人に対応する場と、全てを受け入れられる場、両方の資源が必要なのだ。カームホームは改善点も多々あり、全てを対応する事は難しいかもしれない。だが、柔軟に対応しながら、様々な児童を受け入れられる資源にしていければ、と思う。

8.まとめ

私たちは、カームホームでの活動を通じ様々な事を学んだ。最初は戸惑う事も多かったが、徐々に子どもたちと接することにも慣れ、1人1人の個性も掴めるようになり、それに合わせた対応も出来るようになった。それを、グループ内で情報共有しあい、改善点、注意すべき点を話し合い、試行錯誤しながら進んでいくことが出来た。
研究結果からも、この活動をここで途切れさせず、地域に根付いた資源にしていきたいと強く感じた。そのために、埼玉福祉専門学校の学生に引き継いでもらいたいと考えている。カームホームが地域に定着した当たり前の資源、サービスのようになってもらえれば、幸いだと思う。
私たちは、新たな資源を作ると一言で言っていたが、その為には地域との信頼関係が大切だという事を強く感じた。その関係を築けた事で、ニーズ発掘、対応に繋がったのだと考える。地域には既存の資源だけでは対応出来ていないニーズがたくさんある。それをどう拾い、応えるかが私たちの目指すソーシャルワーカーの仕事となっていくのだ、と身を引き締められる卒業研究となった。

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