視覚的効果を使ったお片づけ ~1歳児・2歳児~

年度 2016
学科 こども福祉科II部

1はじめに

私たちは学校の授業の中で、障がい者・児の「視覚的構造化」支援について学んだ。
「視覚的構造化」とは、何をするのか・どうするのかを目で見るだけで分かりやすくし、自分の判断で自立的に活動する手助けを行うことである。
「視覚的効果」とは、構造化を用いて不特定・多勢の方を対象についての効果がある。駅の案内表示、トイレの案内板・広告・チラシ・字の色や大きさで重要性を示すことである。
「視覚的構造化」と「視覚的効果」の関係性は、全体が把握できるため、指示・情報の重複を回避しやすくし、どこで何をするのか・どのようにするのか学的に伝え、分かりやすくする事にある。たくさんある支援の中で「視覚的構造化」は障がいのある方だけでなく、視覚的効果で実践されているように誰に対しても適応することが分かった。

言語や生活習慣がほとんど確立している3・4・5歳児と違い、五感の発達がめざましく表情や身体の動き、喃語などで自分を表現し始める、1・2歳児では構造化を用いて「視覚的効果」はどのように適応するのか検証してみたいと考えた。
そこで、A園に「視覚的構造化」を用いている時と用いていない時ではどのような違いがあるのか、私たちが作成した「片付け手順書」で実践・視覚的効果の実用性があるか検証したいと考えた。

2現状把握

・「視覚的効果」という言葉の認知度は低いが、実際は公共の場等で多く使われている。
・今回、研究先のA園では「視覚的効果」用いた取り組みは行っていない。
・A園では、現在自ら進んで片付けを行う子どもが少ない。

事例
B園では、写真を用いて片付ける場所等、保育室を子どもたちが目で見て分かるよう工夫している。そのため、子どもたちは写真を見て片付けが行えていた。
先行研究によると、片付ける場所を明確にし、固定する。すると、片付けがスムーズに行える様になるということが明らかになっている。(平成18年度 実践女子大学 松田純子 子どもの生活と保育-片付けに関する-考察-から)

3仮説

園児にとって玩具の場所が分かるようにA園の園児が好きなキャラクターのイラストを玩具箱 に貼り、表示する。「視覚的効果」を使うことで1歳児・2歳児が片付けを行う際に、「自ら進んで 片付けを行う事」、「目で見て確認する事」に繋がるのではないかと考えた。また、1歳児はイラス トのキャラクターに興味を示し片付けに意欲的になると予想される。2歳児は環境の変化に戸惑う 子どももいると思うが、イラストのキャラクターに興味を示し片付けに意欲的になると予想される。

4研究方法

(1) 研究内容

「1歳児」 ・視覚的構造化を行い、楽しんで玩具を元の場所に片付けを行えるよう、きっかけを作る。
・8人の子どもたちに写真やイラストなどの視覚的効果を使い、片付けが行えるかについて行動観察を行い、片付け手順書を基に研究記録冊子に記録する。
・写真やイラストを玩具箱の中央に貼り、文字を入れる。
・効果を用いている時と用いていない時の違いを見るため、片付けの時間を計測する。

「2歳児」 ・視覚的構造化を行い、自発的に片付けを行えるよう、きっかけを作る。
・8人の子どもたちに写真やイラストなどの視覚的効果を使い、視覚的理解力を生かして、自発的に片づけが行えるよう分かりやすく表示し、子どもたちの行動観察を行う。
・棚の位置で玩具の場所を覚えている為、新しい環境で適応されるのか検証を行いたいと考え、棚と箱の位置を変える。
・写真やイラストを玩具箱の中央に貼り、文字を入れる。

また、1歳児よりも比べ自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになるため、3人の子ども(A自ら行う、B…促したら行う、C…ほとんど行わない)に着目し、観察を行い、片付け手順書を基に研究記録冊子に記録する。

(2) 研究実施日

平成28年8月15日(月)~平成28年9月23日(金)
研究はこの期間毎日実践し、毎週水曜日にその日の片付けの様子を記録する。

5研究結果

☆「1 歳児」観察対象:8人 朝の会前のお片付け(9時ごろ)

【玩具の種類】
プラスチック玩具①・②・人形・鞄
【手順書抜粋】
保育者が「お片付けをするよ」と声をかける。
保育室の壁中央に箱をセットし、時間の計測を行い、保育者は子どもの様子を見ながら最低限の声かけを行う。

開始4、5分後には飽きて玩具の山を作り出す子どもがいる。
最後までがんばっていた子どもは1人。

今回は自ら片付けを行う子どももいたが時間がたつにつれ、飽きてしまう子どももいた。

結果
1歳児は、玩具の種類にもよるが、声掛けによって変わってくることも分かった。
視覚的効果で玩具の弁別が出来る様になった。

☆「2歳児」観察対象:3人 午睡、おやつ後(16時ごろ)

【玩具の種類】
ブロック・積み木・おままごと
【手順書抜粋】
保育者が「お片付けをするよ」と声をかけ、保育室の壁中央に箱をセットする。保育者は子どもの様子を見ながら最低限の声かけを行う。

Aは最初に片付け始め、最後までできた。
Bは途中違う遊びに気をとられたが「片付けようね」と促すとまた始めた。
Cは興味を示さなかった。

玩具箱のキャラクターを意識するような声掛け(積み木はどっちの箱?ブロックは誰の箱?) を行ったところ、自ら行う子どもが多く見られた。

その他
最終記録日、観察対象外の子どもも片付けにとりかかりが早く、箱を見分ける様子もみられる。

結果
始めは環境の変化に戸惑う子どもが多く見られた。しかし、写真やイラスト玩具箱が一致し片付けを行うことが出来るようになった。また、対象の3人では、Aは毎回片づけを行うことが出来た。
Bは保育者の声掛けより途中から片付けに参加することが出来た。Cは始め全く片付けを行えなかったが、保育者の声掛けで片付けを始めた。

6考察・まとめ

今回の研究を行うことで、視覚的効果を用いて「自ら進んで片付けを行う事」、「目で見て確認する事」が出来るようになったとわかる。視覚的効果を使っていなかった時よりも、効果を使うと子ども達が分かり易く片付けが出来ている様子であった。
1歳児の最終記録日に時間がたつにつれ、飽きてしまう子どもがみられたが、片付けに対し興味を示すきっかけ作りになると感じた。
私たちがこれから保育者や支援者になるにあたり、子どもの心身発達を理解し、この研究を生かしていきたいと考える。

「参考文献」
平成18年度 実践女子大学 松田純子 子どもの生活と保育-片付けに関する-考察-

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