フラッシュカードを用いた集中力について

年度 2016
学科 保育士科 夜間主コース

1、 はじめに

近年、子どもたちの集中力低下が問題となっている。どうしても一つのことに集中できない子どもや、勉強に身が入らない子どもが非常に増えてきている。じっとしていられない子どもや人の話を聞くことができない子どもを見て、将来に不安を感じていると話す保護者を多く見かける。また、成長してから「小さいころから落ち着きがなかったから……」とお悩みの保護者もいるかもしれない。しかし、集中力はしっかりトレーニングを行えば、どんな子どもにも身につくものだ。集中力を普段の生活の中で身につけさせることはなかなか難しいものだが、専門のトレーニングを行うことで確実に集中力を養うことができる。そこで耳にするのがカードを使った教育である。カード教材にはいろいろあるが、ドーマンが開発したドッツカードが有名だ。それは、ドッツ(点)が描かれたカードが 1 から 100 まであり、それを 1 枚 1 秒程度のスピードで見せていくというもので、『フラッシュする』といい、いわゆるフラッシュカードのことである。このフラッシュカードを教育や保育に取り入れている園も多いと思われる。しかし、NHK・E テレの子ども番組を制作してきた星みつる先生によるとフラッシュカードが与える影響に関しての研究は、未だされていないのが現状だ。そこでフラッシュカードは子どもの集中力にどういう影響があるのか疑問に思い研究に至った。

2、 現状把握

フラッシュカードとは、絵や記号の書いてあるカードをリズムに合わせてテンポよく見せることで、その絵や記号を記憶していくものである。
カードの使い方(テンポ)によって、左脳、右脳両方に刺激を与えることが出来る。特にフラッシュカードはテンポ速く見せることで右脳が鍛えられ、見て記憶するという能力がつく。また、テンポを少し遅らせて、カードの内容を答えさせることで左脳を鍛える方法もある。
ただ、3歳までは右脳が優位に働き、発達速度も早いと言われているので、フラッシュカードの使われ方は右脳教育が一般的である。
まだ字の読めない幼少期の子供は、マークとして覚えるのが非常に早く、2 歳児でも国旗や漢字を覚えることが出来る。
他にも数字、色、乗り物、果物、 日常品、植物、形容詞など様々な事、物を覚えるのにフラッシュカードが約に立てられている。そのフラッシュカードを繰り返し行うことで集中力も身につくと言われている。

3、 仮説

フラッシュカードを繰り返し使うことで集中力が高まるということは、フラッシュカードを使用していない子どもが1ヶ月間フラッシュカードを行うことで集中力がつくのではないか。

4、研究方法

*保育園調査* 期間:9 月~10 月場所:保育園
実施対象:4歳児 3 名(男)
実施内容:
①フラッシュカードを1ヶ月(週5日)続ける
②フラッシュカードを1ヶ月(週3日)続ける
③フラッシュカードを使用しない
→4歳児3名を①、②、③ に割り振り、「戸外遊び」「絵本」「製作」の3点から
1日目の様子と15日目の様子、1ヵ月後の様子を比べ集中力にどれくらい差が出るのか調査する。

5、 研究結果

6、 考察・まとめ

今回3名の子どもを対象に行い、フラッシュカードを使用している子としていない子では1ヶ月間で集中力に差が出た。フラッシュカードは右脳を鍛える効果や瞬時の暗記力、物の名前を覚えることにも有効だが、それにプラスして集中力も養えることが分かった。子どもの落ち着きの面が問題となっている現代ではいろいろな学習が取り組まれているが、フラッシュカードを使うことによっていろいろな物にも興味を持ち楽しく学びさらに集中力もつくのではないかと思った。
今回は3名で研究を行い調査期間も短かった為、長期で調査した場合の結果とは違うこともあると思うが短期でも集中力に差が出ることは分かった。
しかしフラッシュカードの問題点も多くあることが分かった。一つ目は子どもの能力の問題だ。フラッシュカードを実践するときは、カードに合わせて子どもが声を発しながら、テンポ良くリズミカルに連続してカードを繰り出す。問題は、これを 正確に行うことの難しさにある。読むことに気をとられてカードのスピードが落ちてしまったり、反対にカードに気をとられて読み間違えに気づかなかったり、さらに、聴き取りにくさ、見えにくさ、アクセントの間違いなどミスまでを数え上げたらきりがない。二つ目は、フラッシュカード情報のクオリティーの問題だ。フラッシュカードには、厳密なトーン&マナー(フォーマット・ルール・クォリティー)があるにも関わらず、必ずしも守られているとは限らない。 雑誌の写真の切り抜きをカードに使ったり、古い情報が混ざっていたりなど、子どもの教材としては、不適格なものがある。フラッシュカードは知育教材なので、最低でも内容に関する監修者・制作責任者などによって内容が保証されていなくてはならない。三つ目は環境の問題だ。フラッシュカードは、1対1の対面式で行うのが基本である。しかし、教室の中には、フラッシュカードを行う一人の先生に対して、数人の生徒が取り囲む形で行われている場合が多い。幼児学習は、子どもの集中力や疲れ具合に合わせて進めるのが本来の姿。限られた時間の中で、個々の子どもに合わせてフラッシュカードを行うことには、無理があると考えられる。そういった観点からもフラッシュカードは、子どもが一番安心できる家庭で取り組むべき教材だと思った。こうした 点でフラッシュカードは、高い効果が期待できる反面、やり方を誤ると弊害となって現れる可能性があると言えそうだ。

7、 参考文献

http://trendnews1.com/fukaiihanashi/9961/
http://reonreon.com/flash.html

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