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宮本先生

まだ私が、在宅介護支援センターにソーシャルワーカーとして勤務していたころです。近隣や行政の担当者も悩み心配をしていましたが、解決の糸口さえ見つけ 出せずに苦しんでいるクライエントに偶然出会うことになりました。Aさんは60歳代の初老の男性で、借家の自宅に閉じこもり、周囲の人々の支援を拒み続け ました。栄養状態もよくなく、自宅内はまるでゴミ屋敷のありさまで、周囲の人々も無関心を装いつつも「何か事件でもおきてしまうのではないか」と疑心暗鬼 の様子に、私は解決を急がなければならないと思いつつも、じりじりと焦りを感じてきました。

どうにかしたいが、もうどうにもならない!

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とにかく彼の話しを聞かなくてはと自宅を訪問しました。髪と髭は伸び、爪は数センチに巻いて伸び、まるで仙人がホームレスになった様な出で立ちに、しばし 呆然としました。「この爪では買い物ひとつ不便でないでしょうか、切って差し上げましょうか?」の言葉にうなずき、彼の爪を切りながら「私にできることな ら、やらせて頂きたいのですが?」と言葉をかけ、彼の顔を見上げると、そこには、安心したかの表情と凛とした瞳から、彼ならもう一度、自分を蘇らせること ができると感じさせてくれました。それから、彼の生い立ちと人生をじっくり聴かせてもらうことができました。離別した妻や子供達のこと、なくなった母親の こと、一流の技術者でありながら、会社が倒産し、失業したことなど。

蘇る秘策、彼が生きることに自信をもつこと

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彼自身のどうにかしたいという気持ちに添うようにと考え、周囲の人々とコミュニケーションがとれるには、ごく普通の出で立ちが必要とAさんに提案。了解を 得て、何年ぶりの入浴、髭剃り、そして健康状態のチェックのための検査入院。彼の背中を流しながら「何年ぶりのこの垢が落ち、すっきりしたら、どうしたい ですか」と尋ねると、しばしの沈黙の後、「今までに、迷惑をかけ、お世話になった人達に感謝の気持ちを込めて御礼がしたいです。」と語った。この言葉通 り、この後、借家の家主への謝罪、行政への手続きと関係者への御礼と、1ヶ月あまりで、今までの数年に渡る人生の空白を埋めるように、そして自然に振る舞 うまでになりました。スーツをきちんと着こなす初老の紳士に、かつての彼の姿を重ねる人はいません。
Aさんはその後、有料の老人ホームへ入所し、商品管理のアルバイトと年金で生活し、会うことのない息子へと僅かな給料から、毎月貯金を始めました。そんなAさんの姿勢に、深い感動を覚えたことが、今でも昨日のことのように思い出されます。

ソーシャルワーカーとしてクライエントを関わるたびに、人の人生の大切さを思い知り、人の内に秘められた力強さや人の心のしなやかさに触れるたび、ソーシャルワーカーの仕事から、得る物の大きさを感じます。

これから社会福祉士・精神保健福祉士を目指す方へのメッセージ

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クライエントの人生を理解し、クライエントの困難や苦悩に寄り添い考えることが、ソーシャルワーカーに求められます。社会福祉の専門家を目指すなら、家族 や友人の人生を大切にし、家族や友人が「何を大切に人生を生きてきたか。」じっくりと考えてみてはどでしょうか。人として、新たなる魅力を発見することで しょう。

【TEL】048-649-2331 【E-mail】info@scw.ac.jp 〒330-0845 埼玉県さいたま市大宮区仲町3-88-2 FAX.048-649-2305

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